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第六十八話「幼なじみの女中たちと銀狼の娘」
室内のタンスの引き出しの一つには――いったいいつの間に準備をしたのか――ごく当たり前のように高級な女物の下着が詰まっていた。おそらくウィルが寝ている間に、リサ・サリあたりに運びこませたのであろう。
少年少女の情事の余韻の残る室内を壁の燭台の火が照らす中、サイズの合う下着をベッドの上に並べてヴェラナに一つ一つ宛てがい、ときおりロゼの意見なども参考にしながら一番似合うと思われる下着を選んだのであった。
ヴェラナは女中服に着替えを済ませたのち、気恥ずかしそうに、そして紛れもなく嬉しそうに膝を折って一礼をする。
「ご、ご主人さま、お情けをいただいた上にこのように高価な下着までくださり、本当にありがとうございました」
「あ、待って」
それを紳士服に着替えたウィルが呼び止める。
「以前のようにウィルさまって呼ばれるのも好きかな。呼びやすいように呼んでくれていいよ? イグチナもそうしてるし」
令息はにっこりと笑って歩み寄ると、処女を捧げたばかりのヴェラナの大きな尻を無遠慮に撫ではじめた。
ぽっちゃりした身体つきの少女は、まだし足りないのだろうかと小首を傾げてウィルの意向を伺ってくる。
「ううん、さすがにもう満足したよ?」
「それでもまだお触りくださるのですね? ほかに綺麗な子はいくらでもおりますのに……」
心底不思議そうに尋ねてきたイグチナの娘にウィルは苦笑を浮かべる。
(綺麗とか綺麗でないとか、そういうことじゃないんだよなァ)
手折ったばかりの――今後自由に使えるようになった女中の尻に触れて、支配欲と所有欲が満たされていることをこの手で実感したかったのだ。悪趣味であることは自覚しているがどうにも止められない。
「ぼくはね、お手つきすればするほど、自分の手垢がつけばつくほど愛着の湧いてくるタイプの主人なんだよ?」
「わたしなんかでも、まだ飽きられていないと分かって嬉しいです」
「そんなに簡単に飽きたりしないって。きみのお母さんだって少なくともあと十年くらいは抱くんじゃないかな。ヴェラナを抱いたから次はイグチナを抱きたくなってくるし、イグチナを抱いたら今度はまたヴェラナのことを抱きたくなってくるから、延々終わりがないよね?」
随分と身勝手で明け透けな実感を口にした気がするが、ヴェラナからは不快に感じた様子が欠片も見受けられなかった。
少女はイグチナ似のふっくらとした頬にえくぼを作って微笑むと、
「母娘ともども可愛がってくださり光栄です」
厚みのある尻を令息の手のひらに押しつけるように突き出してきた。
「お兄さま。ヴェラナばかりズルいです。わたしのお尻もお触りいただけませんか?」
「うん、いいよ」
こうして、女にして間もない女中の尻と、まだ男を受け入れたことのない女中の尻をじっくり触りくらべることになった。
遠慮なく二人の尻の谷間に指を這わせると、低い方にある大きな尻が破瓜の感触を思い出したようにブルっと震える。
「ロゼ、きみの親友の初めてをぼくにくれてありがとうね?」
「親友の処女くらい捧げられずして、お兄さまの妹は名乗れませんとも」
マイヤあたりに聞かせれば「おまえら頭おかしいんじゃねえか?」と言われかねない会話を交わしつつ感慨に更ける。
「……それにしても凄いことだなあ。ヴェラナの前はロゼの人生が始まった穴に――トリスの中にたっぷりと吐き出したんだ」
トリスとは何度身体を重ねたか覚えていないくらいだが、屋敷に帰ってきてからのあの射精は本当に気持ちが良かった。
「まあ、お兄さま。そのようなお顔をされるとわたし妬いてしまいますわ」
「あれ? ぼく、いまそんなイヤラしい顔してた?」
「少なくともわたしに向けていただきたいお顔をされていました。いますぐにでもあの避妊薬が効いてくださればよろしいですのに……」
ロゼは軽く頬をふくらませながら下腹のあたりをさする。
(いますぐだと、ぼくの精力のほうが保たないよ……)
屋敷に戻ってきてからいったい何回達したことか。特にこの妹分の口内には、すでに二度も白濁を放出してしまっているのだ。
「でもロゼは聞き分けます。ロゼはおあずけされても待てる妹なんです。お兄さまに初めてをお捧げするというのは、トリスお母さまを持ってしても絶対に為しえないことですから」
ロゼの言葉に、ヴェラナがこらえかねたようにクスクスと笑いはじめた。
「そうよねえ。トリスさまだけでなく、わたしのお母さんもウィルさまに処女だけは捧げられませんもの」
一緒に尻を撫でられる状況が、井戸端会議のように気安く軽口を叩く空気を生んだのかもしれない。
「ヴェラナって結構タフだよね」
心身ともに頑丈でなければ、破瓜を迎えた後の局部を親友に舌で念入りに掃除をされ、その親友と尻を触り比べられながら笑い合うことなどとても出来はしないだろう。
「あ、あの……それは良い意味で仰ってくださってます?」
「うん、もちろん。なんかこう、使い減りしないというか。適度に大雑把で神経質なところがないから。こちらとしても気楽に夜伽を命じられるのが良いよね」
褒めるどころか結構酷いことを言ってしまっている気がするのだが、ウィルに尻を撫でられている二人は嬉しそうにギュッと互いの手を握りあうのであった。
「ヴェラナ、お兄さまが、あなたの美点を分かってくださったわ。良かったわね?」
「……うん、えへへ。嬉しい」
「ヴェラナはずっと自分のことを卑下してるけど、すごく抱き心地が良かったよ? 白い肌がタプタプとして柔らかくて温かくて。ぽっちゃりしてるのも悪くないよ」
「え、本当ですか!? わたし、なんとか腰回りの肉だけでも落とさないとって思っていたんですけど……」
「痩せてもいいけど、いまのまんまでも十分良いよ? 柔らかい肉のベッドに沈みこんでいくあの感じがすごく良かったんだ」
(って、さっきから生々しいことばかり口走っているけど大丈夫かな)
さすがに少し控えようかと思っているところに――
「ちなみにお兄さまは、前から為さるのと後ろから致すのでは、どちらがお好みですか?」
令息の性癖を助長するような問いかけが発せられた。
ロゼには幼少期、ウィルの後ろをアヒルの子のようにくっついてきた少しおしゃまな妹分のイメージが染みついており、その綺麗な桃色の瞳で見つめられながらお兄さまと呼びかけられると、つい乗せられてしまうのだ。
「うーん、甲乙つけがたいかな。さっきみたいに揺れるおっぱいを目の前にして腰を振るのも楽しいんだけど、イグチナのときみたいに後ろから挿れるとお尻の肌がパンパン鳴って楽しいんだよね。次はヴェラナにも後ろから挿れてみたいかな?」
「んまあ、んまあ! わたしのときはどちらからでも大丈夫です。とても参考になりましたわ!」
「つ、次の機会をいただけるのでしたら、ぜひ!」
蕩けるように頬を染めるロゼの尻と、拳を握って勢い込むヴェラナの尻を、グッとわしづかみにしてやった。
ヴェラナの方は処女膜が張ってないだけあって、情事前にくらべると尻の奥にある青い芯のようなものがほぐれ、だいぶん手になじんだような感じがする。
汗びっしょりになるほど肌を合わせ快楽を共有した二人と、こうして屈託なく笑い合うこの空気感が令息はたまらなく好きだなと感じる。
(この二人に限らず、シャルロッテの子たちは、こうして権力に仕えることをごく当たり前のように受け入れてくれるのが良いよね)
ここまで露骨に性のはけ口として扱おうものなら、たとえばあの誇り高い銀狼族の神子などは、たちまち不快感を露わにしたものだ。
(あ、そうだ。そろそろソフィアも回復したかな?)
それで次はソフィアの様子を見に行くことに決めた。
‡
三人の少年少女は一番奥まった場所にある寝室から、壁のランタンがポツンと照らす薄暗い廊下に出る。
「お兄さま、ここに立ち入りを認めるのは、わたしたち以外にはお手つき済みの女中に限りませんか?」
ロゼの言う「ここ」というのは、ウィルの新しい寝室とそこに続く七部屋の使用人の寝室のことを指す。ウィルもさきほど知ったのだが、ここにはシャルロッテの六人の女中たちに加えてソフィアの部屋が割り当てられていた。
「うん、そうしようか。ぼくもきみたちの部屋を訪ねるのに、いちいち女中の格好をしなくて済むのはすごく助かる」
いつもトリスが身近にいた幼少期を除き、異性の寝室がここまで近かったことはない。そのことに妙な興奮を感じてしまう。
ロゼは玄関ホールへ続く緑の羅紗地のドアの前に立つと、ウィルの方を振り返った。
「お兄さま、今後はいつでも、お好きな組み合わせでお好きなだけ、シャルロッテの女中たちをお兄さまの寝室にお呼びください」
長身の少女はベッドに毛布でも足すような口調でそう言ってくる。
「そして、もし逆にお兄さまがわたしたちの部屋をお訪ねになりたい場合にはノックの必要はございません。このことはエリーゼたちからも全面的な同意を得ておりますわ」
(……たしかさっき、ぼくの寝室から出て行くときに、エリーゼやフランチェスカは自分で慰めて処理するとか言っていたような――)
ロゼはヴェラナとともに軽く膝を折って一礼を済ませると、緑のドアを押して立ち去って行ったのだ。
この場に残った令息は、シャルロッテの女中たちの寝室のドアを開ける誘惑に駆られ、しばしの間手を彷徨わせたが、結局ソフィアの様子が気になり、ソフィアが休んでいると聞いた部屋のドアをノックした。
「入っていいぞ!」
意外に張りのある声が返ってきたことに安堵しながらドアを開ける。
「足音ですぐにおまえだと分かった。ん、どうした?」
薄手のスリップだけのソフィアがベッドから上体を起こし、無警戒に柔らかく微笑みかけてきたのだから戸惑いもしよう。
「いや、元気そうでなによりだよ」
ひとまずウィルはホッと安堵をして、ベッドの縁に無遠慮に腰をかける。
肌着姿のところに気安く身を寄せても、以前までと違い身構える様子がない。
「おまえに嘘はつきたくないから正直に言うぞ。まだ本調子ではない。脱臼した肩もしばらくは熱をもつだろう。体調がひととおり戻るまで、まだあと二、三日はかかる」
「……そっかあ」
それが力の代償なのだ。どおりで歴史の表舞台には出てこないはずだとウィルは改めて実感する。
「機嫌が良さそうだから、てっきりもう良くなったのかと思っちゃった」
「なにを言っている。わたしの機嫌がいいのは、おまえが見舞いに来てくれたからだぞ?」
「え? ぼくが来たから?」
「そうだ。わたしのことを気づかってくれていたんだろう?」
そう言って、ソフィアはこてんとウィルの肩に銀髪の頭を乗せてきた。そして琥珀色の瞳で至近距離からじっと見つめてくるのだ。
(ん? んん!?)
「どうした?」
どうしたもこうしたも――
「口づけしてもいい?」
気がつけばそう言葉にしていた。ソフィアは呆れたような表情を浮かべている。
「おかしなやつだな。わたしの唇など、おまえが好きなときに好きなだけ吸えば良かろう? ん……ちゅ……」
なんと自分の方から唇を重ねてきたのだ。この柔らかい感触が一瞬信じられなかった。
(え!? あのソフィアが自分から口づけしてくるなんて!?)
口元を舐めるのは、相手のことを上位だと認める狼や犬の親愛の表現だとか――ふいに昔、屋敷で飼っていた大型犬ペロにやたらと顔を舐められいたことが思い起こされた。
(ああ、ソフィアが無茶苦茶可愛いんだけど!?)
たまらずその唇を割って舌を差し入れると、すぐに舌で応じてくれた。
ぴちゃぴちゃと絡めてくる舌先には少女の主体的な意志が込められているのが感じとれる。
その華奢な肩を抱き寄せると、ソフィアは「ん」と声を漏らしただけで、さして気にした様子もなく身体を委ねてくれた。
無遠慮にスリップの胸元に指を這わせたところ、少女は触りやすいよう自分から胸を広げて差し出してくる始末である。
(あれ、ソフィアって前よりおっぱい大きくなった?)
銀髪の少女は唇を離すと、少年の膝の上で無防備に仰向けになる。そして広げた両手を向け、身内に向けるように柔らかく微笑みかけてきたのだ。
「好きにしていいぞ」
(っ!?)
もし屋敷に戻ってきた直後にこのような反応をされていたなら一も二もなく覆いかぶさり、この手負いの少女の身体を激しく求め、我慢できず純潔まで奪っていたかもしれない。
それほどまでに、いまのソフィアは魅力的であった。
ただ、性欲を搾り尽くしたいまのウィルには、あの誇り高い銀狼が腹を見せて懐いてくれているように見えて仕方がない。
「むう。もしかすると、わたしは汗臭いのか? ここ数日ろくに垢を落とす余裕もなかったからな」
ソフィアは首を傾げながらクンクンと自分の身体の匂いを嗅ぎはじめた。
実のところ、臭いはまったく気にならない。思春期の少女特有の甘酸っぱい芳香が多少強く漂ってくるくらいだ。
令息は慈しむように少女の腹に手を伸ばす。
「こ、こら、くすぐったい! 変な触り方をするな!」
「今日のところはこうして撫でておくよ。激しくすると絶対きみの身体の負担になるから」
「むうう、ひとがせっかく覚悟を決めたというのに、ままならんものだな。ちょっとくらいならべつに良いんだぞ?」
「ソフィアって本当に従順になったなァ。でも、お風呂にも入ってない女の子のお尻の穴に挿れるのはアレだしね……」
身も蓋もなくそう言うと、銀髪の美少女は顔を真っ赤にして口をあぐあぐとさせ、腰の後ろに手を回し自らの尻を庇う。
「ううううっ!? だからと言って犬っころみたいに腹を撫でるんじゃない!」
「あはは!」
無理をすれば、もう一度くらいできそうだが、せっかく従順になったソフィアの身体を愛でるなら精力が満ち満ちているときでないとあまりにもったいない。
これまで夜伽の務めを果たした女中は、トリスの方針もあって、せいぜい下着を選んでやる程度ですぐに自室に下がらせていたのだが、あの隠し部屋の寝室にトリスが介入してくることはない。女中たちと朝まで臥所を共にすることができるのだ。
(ソフィアの身体を嬲り尽くし、ソフィアのお尻の穴を徹底的に開発してやるんだ。疲れ切って裸で抱き合って寝て、朝になって目が覚めたら、またそのまま押し倒すのもいいな。へへへへ)
「お、おい、なんだか目つきがイヤらしいというか、妙にネチっこいぞ!」
ソフィアは無防備に寝転ぶのをやめて、ウィルのすぐ隣に腰をかける。
令息は、スリップを身につけただけの格好のソフィアに手を伸ばし、そのふとももの内側に手を置いた。
「元気になったら、一晩かけてじっくり相手してもらうからね?」
「うむ、分かった」
ソフィアは意外にあっさりとそう返事をした。奴隷市場で出会ったばかりのころの関係性を思うと嘘のようである。
「ソフィアって、もうぼくに抱かれるの嫌じゃないんだ?」
「むう、答えにくいことをはっきり聞いてくるやつだな。嫌ではないが、尻の穴を使われることには困惑している。だが、マリエルを取り戻すまで待ってもらっているんだ。断るわけにはいかんだろう?」
銀髪の少女は少年がふとももを撫でやすいように、股を左右に開きながらそう答える。軽く指で股の上をなぞってみたが、ソフィアは股を閉じたりはしなかった。
まるで主人にどんな悪戯をされても嫌がらない狼犬のようだ。
「だったら、ぼくのを咥えるのは嫌? ぼくは女中に咥えてもらうのが好きでたまらないんだ」
「以前までは服従を強いられているようで嫌だったが、おまえのことを主人として認めたから、いまはべつに嫌ではない」
(あのソフィアがぼくのものを咥えるのが嫌じゃないだって!?)
「じゃ、じゃあ、咥えろって言ったらいつでも咥えてくれるの?」
「そりゃおまえが望むならしてやる」
令息はいますぐ咥えさせるか真剣に迷ったあと、やはり後日にとっておくことに決めた。もうそろそろ部屋に人が来るはずなのだ。
「あ、そうそう。ソフィアに話があってね、それでマイヤも呼んでいるんだ」
「なんについての話だ?」
「ぼくはきみのことを孕ませてあげるって約束したじゃない? これでもウチは結構大きな屋敷だから、段取りや根回しをしておいた方が物事が円滑になる。マイヤにも協力してもらおうと思ってね」
おあつらえ向きにコンコンとドアがノックされる音が聞こえ、ガチャリとドアが開けられた。赤毛の頭がひょっこりと顔を覗かせる。
「あ、ウィル、こっちにいたか。ん? ソフィアにちょっかいをかけていやがったんだな?」
マイヤはすぐにソフィアの股の間に少年の手が差し込まれていることに気がついたようだ。
トコトコと近づいてきて、ふとももを寄せるようにウィルの空いた隣に腰をかけると、少年の手を引っ張った。そして、自分にも構えとばかりに、プリント地のスカートのふとももに少年の手を挟み込んだのだ。
(あ、マイヤが嫉妬を露わにしてる。こういうマイヤも可愛いんだよな)
せっかくなので遠慮なく触らせてもらうことにした。
(さっきはロゼとヴェラナのお尻を触りくらべて、いまはソフィアとマイヤのふとももを触りくらべているんだよなァ)
だんだんと手つきが大胆なものになっていき、ときおり股に触れるが、二人とも顔を赤らめ無言でこらえている。
少年が調子に乗って左右の少女の股ぐらにグッと指を充てがったとき、たまり兼ねたように左右から苦情の声が上がった。
「いい加減さっさと話をはじめてくれよ! そりゃ張り合ったオレも悪いけどよ!」
「そうだ。そろそろ話に入ってくれ。マイヤには世話になっているし結構気まずい」
こうして三人の少年少女の今後についての話し合いが始まったのだ。
気がつけば随分と更新が遅くなりました。
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