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第六十七話「洗濯女中の娘の伽(下)」

「お、お母さんとのことを思い出しながら? ひええ、わ、分かりました。ねえ、ロゼ! わたしの手を握っていて? ご満足いただけるよう応援していてほしいの!」
「わたしでしたら喜んでいくらでも。お兄さま、よろしいですか?」
「うん、いいよ――え?」

 てっきり枕元に回って、ヴェラナの背後からそっと手を握ってやるのかと思いきや、ロゼはウィルの背にいっそう強く、その剥き出しの乳房をべったりと押しつけ、後ろから長い左右の腕を伸ばしてきたのだ。
 それを、仰向けのヴェラナが両の手のひらを向けて受け止める。
 豊満な肢体をもつ同年代の裸の少女たちの手と手が、ウィルを挟んで、ギュッと握り合わされた。

(うお、なにこの状況!?)

 若い裸の女体に押し挟まれるがまま、ウィルの両手の指がむっちりとしたヴェラナの白いふとももに沈み、少女の股を左右に押し開く。
 さらにウィルの尻に後ろからロゼがグイグイと剥き出しの股を押しつけてきた。

(ロゼ、鼻息荒いって……)

 耳の後ろに熱い息が吐きかけられ、少年の尻の谷間で少女の陰毛が擦れ合う。背後に意識を向けていると――

「あっ!?」

 気がつけば膣口の手前で待ち構えていた亀頭が前に押し出され、ヴェラナの濡れた蕾のような大陰唇の間にすっぽりとめり込んだ。

「まあ、お兄さま!?」
「ちょっと、ロゼ! かさないでったら! ぼくが自分のタイミングで挿れるんだからね!?」

 挿入を介護されているような倒錯感に、令息は思わず抗議の声を上げた。

「あら、申し訳ありません。ヴェラナをお手折りになる瞬間を早く見たくて、つい――」
(ついじゃないって。トリスといい、ロゼといい、どういう性癖してるんだよ!?)

 気を取り直して目の前のヴェラナに集中する。
 ふくよかな肢体をもつ少女は、ロゼの手をギュッと握りしめ、股の入り口で少年のじょうついを受け止めたまま到来する痛みの予感に震えていた。

「ヴェラナ、もらうよ?」
「ど、どうぞ。覚悟はできてます。お好きなようにお使いください! ロゼ、ずっと握っててね?」
「もちろんですとも」

 ウィルが腰を押し出すと、ヴェラナの濡れた処女膜の組織が亀頭に絡みつき、侵入を阻む。

「つ……う、う……」

 ヴェラナの肌にポツポツと汗が浮き出し、肉づきの良い少女は繫いだ両手をプルプルと震わせていた。

(イグチナにお手つきして、いまその娘の初めてをもらっているって、本当に凄いことだよね!?)

 腰を押し出すと、グジュッと音がして肉の薄膜が極限まで張り詰め、

「ひぎゃ!?」

 竿先でブチンと千切れる手応えがあった。豊満な肢体をもつ少女はその瞬間ビクンと大きく身を痙攣させる。
 その勢いのままぬるりと亀頭が侵入し、陰茎の中ほどまでが生温かい膣の感触に包まれる。

(おお!? 気持ちいい! 入っていく。ヴェラナの中にどんどん入っていくよ!?)

 イグチナに似て肉厚でねっとりとしているだろうか。だが、つい先ほどまで処女だった少女の中は比較にならないほど道が狭い。
 そしてどうやら痛みが強かったのは破瓜の瞬間までだったらしく――

「……わ、わたしの中に、あの、憧れのウィルさまが……」

 少女は自身の股が少年の陰茎に貫かれていることに目を丸くしていた。

「おめでとう、ヴェラナ。わたしも嬉しいわ……はあっはあっ」

 下を向くと結合部に血が滲み、誓約書の上に朱が滴り落ちているのが見えた。
 少年の心の中にゾクゾクとした愉悦が広がっていく。

「これでヴェラナの身も心も一生お兄さまのモノですわ。結婚しようが子を産もうが、お望みのときにいつでも股を開かせられる女中の一人にございます」

 まるでトリスが言っていると錯覚するような言葉であった。
 ただ、ウィルの感覚的にはまだちょっと気が早い。
 これからが本番であり、膣内で果てないことには女中の身も心も手折った本当の満足感が得られていないように思うのだ。

「どう? ヴェラナ。もうそこまで痛くはないでしょ?」
「あ、はい。最初はビリっとしましたが、いまはちょっとヒリヒリするくらいで――ん……」

 さらに亀頭を沈み込ませ、ぬるりと奥まで突きこむと、ヴェラナはわずかに心地良さそうに反応した。
 それを目敏く察したウィルはヴェラナの両の足首をつかみ、膣内の当たる場所を変えて、ゆっくりと腰を前後させはじめる。

「んん……んん……あ、あっ」
「ね、ここ当たると気持ちいいでしょ?」
「っ!? ど、どうして、お分かりに!?」

 ヴェラナは、自分でも知らなかった身体の弱い部分を的確に言い当てられ、動揺を露わにする。

「きみのお母さんがだったからだよ。ああ見えてイグチナは足首つかまれて激しくされるのが好きだからね」
「……っ!?」

 思わぬ母親の性癖を聞かされてヴェラナは息を呑む。
 つい先日――あの年増の洗濯女中は、ウィルに足首をつかまれながら娘を産んだ穴を攻め立てられ、よだれを垂らし、みっともなく達したのであった。
 令息はヴェラナの両足首を握り直し念入りにグリップを確かめたのち、ガンガンとハンマーでも振り下ろすように腰を振りはじめる。

「ひゃあ!? んんっ、あん!」

 いきなり強烈な快楽に全身を貫かれヴェラナは身を捻ろうとするも、四肢をつかまれた少女が逃れられるはずがなかった。
 特にロゼなどは親友のヴェラナの両手をギュウッと万力のように握ったまま決して離そうとはしない。

「ひっ、んっ、あんっ、あん! んん、んんっ!?」

 豊満な少女の大きな乳房が跳ね、汗が飛び散るとともに、ヴェラナの膣内が不意にキュッと締まる。

(うおうっ……締めつけたときの具合の良さはやっぱりイグチナ譲りだなあ!)

 その間もロゼはまるで円舞曲ワルツでも踊るときのように、ウィルにぴっとりと腰を触れ合わせてくるのだから、奇妙な一体感を覚えずにはいられなかった。

(あれ? なんか、だんだん、ぼくが腰を振っているのか、ロゼが腰を振っているのか分からなくなってきたぞ)

 ためしに腰を引くと、ヌルリとした快楽とともに亀頭の傘の部分が少女の肉襞を引っかけながら、膣内の浅い位置まですべり降りてきた。
 そこからがロゼのターンである。
 すぐさま少女はグズグズしているウィルの尻に自身の股を宛てがい、溝に嵌った馬車が進むのを後ろから手助けするように――その実、生温かい沼底に突き落とそうと――少年よりも幅広の腰をぐぐっと力強く押し当ててくる。
 人の手による開発のあまり進んでいない少女の獣道が、メリメリと押し広げられ、膣内の浅い位置から深い位置へと亀頭が移動した。
 初めて経験する――他者に腰の動きを委ねて挿入させられる感触――それを何度も何度も繰り返す。

(うああ、ぼく、ロゼに腰を振らせているよ!? ああ、き、気持ちいい!)

 少年の腰の前ではヴェラナの陰毛が触れ合い、腰の後ろでは少年の尻たぶが押しつぶされ、肛門にロゼの陰毛が当たっているのを感じる。

「はあ、はあ、お兄さま、ロゼはロゼは――なにかに目覚めてしまいそうですっ!」

 不穏なことを口にしはじめたので、少年はあわてて自分で腰を振る動きに戻る。なんだか背筋がぞくっとするものを感じたからだ。

「……むう、お兄さま、いけずですわ!?」
「ま、また別の機会にねっ――」
「つまり、ほかの子をお抱きになるときにわたしも参加させていただけるということですわね――ああっ、なんと素晴らしい。お約束ですわよ? お兄さま」

 容赦なく言質を取られてしまった。
 目の前のヴェラナは首を左右に振って乱れている。一緒に大きな乳房もたゆんたゆんと揺れた。

「あんっ、ひっ、んんっ! ウィルさま、ウィルさま、っ……うっ」

 ロゼに手を握られている安心感なのか、それともウィルが何度もイグチナを抱いて勝手が分かっているからなのか、初めてにしては思った以上に感じてくれているように思う。

「ヴェラナ、ぼくも気持ちいいよ」
「ああ、本当ですかっ!? 嬉しいですぅ!」

 ふくよかな少女は感極まったように反応し、驚いたことに自分からその野太い腰を合わせてきた。

(母親そっくりじゃないの!?)

 イグチナも達しそうになると、我を忘れて自分からその洗濯女中の仕事で鍛えたあの分厚い腰を振りはじめるのだ。気がつくと、いつのまにか攻守が逆転していることすらある。

「はあ、はあ、はあっ、わたしでお楽しみくださって、光栄です! ウィルさま、どうか最後まで存分に存分にっ」
「はあ、はあ、お兄さまっ、女中をお手折りになっているお兄さまは素敵です。本当に素敵ですわ!」

 荒い息が前後から吐き出され、少女たちが互い違いにウィルよりも大きな腰を押しつけ合う。
 そのたびにブジュッブジュッと結合部が下品な音を立て、少年の背筋に強烈な快楽が駆け抜ける。
 三人の中で一番軽いウィルの腰が、少女たちの汁まみれの股の間でパン生地のように容赦なくこねられる。

(ちょっ!? キツっ! ふ、二人がかりはズルいって!? あっ……)

 汗でつるりとすべり、ついヴェラナの足首から手を離してしまう。
 タイミングがズレたところに、ロゼにスパンと後ろから――ウィルがいままで手折った女中たちにしてきたように――しこたま強く尻を打ちつけられた。

(いっ!?)

 倒錯感によるものだろうか――一瞬、睾丸がヒュンと引き締まった気がする。
 膝立ちの体勢を維持できず、バランスを崩してヴェラナの上に覆い被さることになった。

「うぷっ」

 ヴェラナの汗で湿った豊満な肢体――特に豊かな胸がたぷんと少年を受け止める。少女の大きな若い乳房が上からのしかかる少年の胸板に押しつぶされ、張り替えたばかりのソファーのように柔らかく肌を押し返してくる。

(ああ、ヴェラナの身体は柔らかくて抱き心地がいいな。おっぱい大きいし……)
「はあ、はあっ、お兄さま、ロゼはもう我慢できません」

 さらに背中から鼻息荒く大きな乳房がべっとりと貼りついてきた。

(うわわあ!? は、挟まれてる! 上も下も柔らかい!)

 ヴェラナの乳房がウィルの胸板で、ロゼの乳房がウィルの背中でそれぞれつぶれ、サンドイッチのようにウィルを押し挟んでいるのだ。
 同世代の少女たちの柔肌が張りついてくる感触がたまらない。コリコリと突き立った二人の乳首を身体の表と裏に感じるのだ。
 ロゼは、そのべっとりと貼りついた大きな乳房で少年のゾクゾクと高ぶる背中をねぶり上げながら、突き込む少年の腰に自身の腰を合わせていく。
 ヴェラナは奥まで突き込まれ、さらに駄目押しのようにロゼに腰を被せられたものだから――イグチナが達しそうになるときにたまにやるように――舌を突き出していた。
 口づけを求められているような気がして、ねっとりと舌を絡みつけてやる。

「んまあ、お兄さまァ」

 長身の少女は上手くベッドのシーツの上に両手を突き出して体重を分散させながら、少年の肩ごしに背を丸めて顎を近づけてくる。
 荒い息を吐くロゼの唇が色っぽくて仕方がなく、視線で許可を与えると嬉しそうに唇を寄せてきた。
 空間を三つに分け合うように、三人の唇が触れ合う。

(ぼく、いま二人に同時に口づけしてるよ!?)

 すぐに押し合う唇の均衡が崩れ、少年の舌に二人の少女の舌が絡み合う。ヴェラナの口内に舌をねじ込もうとすると、唇の端からロゼの舌がウィルの口内に侵入してきた。
 しかも互いに顔を寄せ合うものだから、ロゼとヴェラナの大きな乳房が少年の肋骨に回りこみ、ぐるりと一周、パイ包みのようにウィルの上体周りに貼りついてくるのだ。

(うおおおっ!)

 少年は二人の少女と唇を重ねたまま、激しく腰を振りはじめた。にゅるりにゅるりと処女であった道をさらに拡げていく。
 少年の腰から背筋にかけて、ぞわりと射精の前兆のような刺激が立ち昇ってきた。

(あ、あっ……そろそろいきそうっ!)

 ヴェラナはウィルの激しい腰使いに健気に応えようとするが、上から二人分の腰を被せられると身動きできない。
 イグチナも上から抑えつけられると、もどかしそうに腰をうずかせたものだ。
 ウィルは顎を震わせながら、そこに至るための最後のひと突きを繰り出す。

(うっ、い、いくううう!)

 睾丸がきゅっと引き絞られ、最後に残った精液が尿道を駆け抜けていく。
 今日何度目かも分からない絶頂に、ドクンと精を放出するたびに意識が持っていかれそうになる。

(お、お……気持ちいい……気持ちいい!)

 そのままどくどくと少年の陰茎が脈動し、ヴェラナの――イグチナの娘の膣内に埋まった亀頭の鈴口から溢れ出していく。
 頭が真っ白になる放出感に身を委ねた。
 やがて射精の律動がゆったりとしたものに変わる。
 少女たちの柔肉に挟まれ、精を出し切るこのやり切った感――射精した量は少なくても精神的な満足度は大きい。

(ははははは……)

 なにせ先日イグチナの膣に射精をしたばかりだというのに、今度はその娘であるヴェラナの初めてをもらい、膣内に射精を済ませたのだから、口元も緩もうというものだ。
 ウィルは少女たちの柔肌に包まれた状態を少しの間堪能したのち、片側にヌルリと汗で湿った身体を抜け出させる――ヴェラナが息苦しかろうと思ったからだ。
 そして仰向けにひっくり返り、はあ、はあとまだ荒い呼吸を整える。
 左側を見ると、ヴェラナとロゼも仰向けにひっくり返って大きな乳房をそろって上下させているのが見えた。
 情事後に裸の女中と一緒に仰向けになって呼吸を落ち着けたことがこれまで何度もあったが、大きな乳房が四つ並んで上下に揺れていたことが、これまであっただろうか。

「えへへへ……」

 少年は満足げに笑い、目蓋を閉じた。
 そして次に目を開けたとき、隣にはふくよかな少女の乳房が静かに上下しているのが見えた。乳房が二つ足りない。
 身体の反対側を向くと、枕元にすでに女中服に着替えた長身の少女が立ち、じっと素っ裸のウィルに嬉しそうな視線を注いでいるのが見えた。

(ロゼは着替えちゃったか。まだじっくり身体を見てないのに……)

 それを惜しいと感じつつも、その機会はロゼの初めてをもらうときに取っておくべきだとも思った。

「ロゼ。ぼく、何分くらい寝てた?」
「ほんの十分ほどですわ。お清めさせていただきますね」

 そう言ってロゼはベッドの上に膝を突き、ウィルの下半身の方に這い寄ってきた。

(え? それ、さっきまでヴェラナの中に入っていたやつなんだけど……ひゃっ!?)

 躊躇なくパクリと咥えられ、尿道が吸い上げられる感触に少年は、うっと顎を上げる。

「少しだけお精が残っておりました」

 少女はそう言って、口を開けて舌の上のわずかな白濁を見せたあと、喉を鳴らした。

「なるべく下着に精液の染みを残さない方が良いと思いますわ」
「あ、そっかァ……洗濯場への口止めを済ませるまでは用心した方がいいね。すぐに気づかれちゃうもの。あれ? ということは女の子の中に出してしまったのはマズかったかな」

 ウィルは困ったなと苦笑を浮かべる。
 膣内に残った精液はどうしても垂れてきて下着を汚すだろう。
 トリスなら自分でどうにでもするだろうが、ヴェラナが洗濯場に自分の下着を出そうものなら、すぐに勘づかれてしまうに違いない。

「ひとまず股のところに布でも当ててもらうおうか。その布も捨てる場所に困るよね。暖炉にでもくべてもらうかな」
「お兄さま。より確実でてっとり早い方法がございます。わたしにお任せを。ヴェラナ、よろしいですわね?」

 ヴェラナは恥ずかしそうに顔を赤らめながらうなずき、その白いふとももをゆっくりと左右に開く。
 ロゼは今度はヴェラナの下半身に上体を寄せ、てっきり布でそこを拭うのかと思いきや、なんと白濁と破瓜の血にまみれたヴェラナの膣口に顔を寄せ、そこに唇をつけて、ズズッと吸い出しはじめたのだ。

「え、え!? ロゼ、なにをしているの!?」
「ぷはっ、膣に溜まった精液を吸い出しております。ヴェラナ、なかなか降りてこないわ。わたしの顔の上で四つん這いになってもらえるかしら」
「ええ、分かったわ。まさか、ウィルさまの前でロゼにこうする日が来るなんて……」

 ロゼが仰向けに寝そべると、裸のヴェラナが四つん這いになって這い寄り、ロゼの顔の上に跨ったのだ。

「え? え? 二人はそういう関係だったの?」
「まさか。シャルロッテはそういう場所ですが、わたし個人はエリーゼと違い、女の子どうしでまぐわう趣味はございません。もちろんこれが初めてにございますわ」

 こちらに大きな尻を向けたヴェラナの膣口からは、こぽりと白い液体が漏れ出し、それが滴り落ちそうになっている。
 仰向けになったロゼは、顔の上から垂れ落ちる赤い血の混じった白濁に向かって嬉しそうに舌を伸ばす。

「む、無理しなくてもいいんだよ!?」
「無理などではありません、むしろご褒美ですわ!?」
(ご、ご褒美って……うっひゃあ!?)

 垂れ落ちてきた白濁がロゼの舌と触れ合い、少女はヴェラナの膣口にべっとりと唇をつける。
 すぐさま、じゅるじゅると吸い出す水音が聞こえてきた。
 以前、トリスが生理の血で濡れた眠れる客間女中の股ぐらを前にして、もしウィルがお手つきしたらどう処置するかを語っていたことを思い出す。

『フローラのと生理の血で汚れた膣口に唇をつけて、ご主人さまのお出しになった精液を吸い出します。こう、じゅるじゅると。時間をおいて膣内に精子が馴染まないほうが良いので、なるべくフローラの下腹を動かさないよう、すぐに処置をします』

 ヴェラナの膣内に生理の血は混ざっていないし、妊娠の心配もないが、まさにそれをいまロゼは実行しているのだ。
 ロゼは唇を離すと、親友の少女の性器に、そのトリスに似た細く長い指を突っ込んで精液を掻き出しはじめた。舌では奥まで届かなかったらしい。
 少女は仰向けの体勢のままクチュクチュと指を動かしながら、おもむろに口を開く。

「女王蜂候補そして女王蜂ともなると、シャルロッテの子たちから性的なお誘いを受けるのですが、いままですべてお断りしてきました」
「う、うん……」
「お兄さまに身も心も捧げていない女の子と絡むことにどうしても抵抗感がありますわ。それに同世代の女の子って瑞々しいけれど青臭くて、まるでドレッシングのかかっていない生野菜サラダのようで」
「ドレッシング……?」
「はい」

 黒髪の少女は、掻き出した白濁をチュルリと飲み込んだ。

「っ!?」
「ああ、お兄さまのお味がしますわ! まるでブルーチーズドレッシングのようなお匂いがして、癖があってコクがあって、ロゼはもうさきほどから病みつきなのです。生野菜ってドレッシングを楽しむためにあるのですね」

 ロゼのようなだれもが振り返る美少女が嬉しそうに膣口に舌を差し入れ、自分の精液を吸い出し、喉を鳴らしているのがいまだに信じられない。
 この幼なじみの妹分がこのような性癖をこじらせてしまったのは、二度も口内に射精して、精液を飲ませてしまったからなのだろうか。
 あんぐりと口を開けているウィルの様子を察したのか、少女は申し訳なさそうな視線を向けてくる。

「お兄さま、ロゼはお兄さまと初めてお会いした瞬間からこうなんです。ロゼはいまも昔もお兄さまのすべてが好きすぎる変態にございます」

 このロゼの台詞セリフには決定的な既視感を覚えずにはいられなかった。

(ああ、やっぱりそうなんだ……)

 こうして令息は一つの結論にたどり着いたのだ。
 それから、たっぷり時間をかけて、ロゼが自身の指と唇、そして舌によって、念入りにヴェラナの膣内から精液が吸い出された。



   ‡


 少年少女たちは着替えを済ませたのち、ヴェラナの誓約書を囲んでベッドの上に座っていた。
 ヴェラナはウィルに手折られたあとの気恥ずかしさか、あるいはロゼに下の世話をさせた羞恥によるものか――おそらくは後者であろう――真っ赤になった顔に両手で隠し、うつむいている。

「――ロゼ、ぼくは確信したよ」

 いつもの紳士服姿であぐらをかき、ウィルはそう切り出す。

「トリスとロゼ、きみたち二人は母娘だ。歳の離れた姉妹なんかじゃない。間違いないよ」

 そう断じることになんの迷いもなかった。
 二人のことを知れば知るほど、根っこの部分でそれぞれの母親とどうしようもなく似通っていることを実感させられてしまうのだ。二人のどうしようもない性癖や母娘を繋ぐ抑えきれない情念のようなものは、歳の離れた姉妹ではなく母娘の間柄でないと絶対に醸し出されないと確信が持てる。

「ロゼはお兄さまのご判断を信じます。お兄さまはこういうとき絶対に間違えません。それにお兄さまには『正しいとお感じになる道をお進みになればよろしい』というマリエルの裏書きまでありますもの。やはり、やはり――わたしはトリスお姉さまの娘だったのですね……」

 ロゼは、トリスの淡褐色ヘーゼルとは違う、その桃色の瞳を見開き、どこか呆然と感慨を露わにする――と思いきや、すぐにウィルの方に顔を向けた。

「ちなみにお兄さまはトリスお姉さまの歳の離れた妹を抱くのと、トリスお母さまの娘を抱くのとどちらがお好みだったりするのでしょうか?」
「そりゃトリスの娘である方が間違いなく興奮するかな。ヴェラナもすごく良かったしね」

 ロゼは華奢な拳を握りしめたあと、興奮を抑えられないように手近にあった大きな枕をポスポスポスと叩き、バタバタと足を振って感情を露わにする。
 どうもウィルの答えが本気でお気に召したらしい。
 喜び方が意外に年相応の小娘らしく、さきほどの痴態のあとでは逆に安心するものを感じる。

「でも、できれば裏を取りたいところだよ。答え合わせというか。うーん、どんなにトリスを問い詰めたところで答えてくれるはずがないし、ロゼの両親もシャルロッテの関係者も口を割らなかったって言ってたよね。ほかにだれか事情を知らないもんかなあ」

 そのとき、ヴェラナがおそるおそる顔を上げたのだ。

「あの――いま思い出したのですが、わたしが子供のときに、お母さんが酔っ払って口をすべらしたことがあるんです。ええっと――『トリスとロゼ、あのぎこちない二人の関係をどうにかしてあげたいんだけどトリスもああ見えて相当意固地だし、にも関わってくるから、自分にはどうすることもできない』って」

 ウィルはしばし考え込む。
 ロゼにとってヴェラナが友人であるなら、トリスにとっては地盤を築くのに貢献してくれたイグチナこそが、屋敷の中での良き理解者であり、秘密を握っている存在かもしれない。
 そうでなければ、いくら屋敷の中で地位を築くのに貢献してくれた部下であろうとも、わざわざその娘の学費の援助までしないだろう。

「ヴェラナ、イグチナの口を割らせるの、きみにも協力してもらうからね」
「えと、わたしでお役に立てるならなんなりと――え、協力というと、まさかさっきのロゼみたいに……うううっ……」

 この令息は顎に手を当てながら、今度こそあの年増の身も心も手折り尽くし、女中長ハウスキーパーとの個人的なゆうよりも令息自身の意向を優先させるくだについて思索を巡らせるのであった。


◇ 屋敷の女性一覧 ◇

女中長   1人 (トリス◎)
蒸留室女中 2人 (リサ◎・サリ◎)
洗濯女中  6人 (第一:ジュディス◎)
         (第二:イグチナ◎・ブリタニー◎・シャーミア◎)
         (第三:アーニー◎・レミア◎)
料理人   1人 (リッタ◎)
調理女中  4人 (第一:ジューチカ、マイヤ◎)
         (第二:エカチェリーナ・フレデリカ)
皿洗い女中 2人 (ルノア・ニーナ)
乳母    1人 (アラベスカ◎)
酪農女中  3人 (ケーネ)
客間女中  1人 (フローラ◎)
家政女中  9人 (ウィルマ・ロゼ△・エリーゼ△・ナタリヤ△・ユーリ△・フランチェスカ△・ヴェラナ◎)
雑役女中  8人 (ルーシー・チュンファ・デイジー・ターニャ)
側付き女中 2人 (ソフィア○・レベッカ◎)
修道女   1人 (ヘンリエッタ◎)
その他   1人 (オクタヴィア)
    計42人
お手つき 17人 ※済み◎、一部済み○、途中△
         ※△は数に含めず



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