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第五十八話「女王蜂二人」

 ベッドの縁に座る令息の足は床から浮いており、その足下の絨毯の上には女中長ハウスキーパートリスが腰を落としていた。
 トリスの女中服の黒地のスカートと白地のエプロンが花びらでも咲くように全円に広がっている。

(この女中のスカートの広がる感じ、華やかで好きなんだよね……)

 トリスが腰を屈めウィルの股間に顔を寄せると、ベッドの縁に座るウィルからは白い女中帽とそこからはみ出した髪の編み込みを見下ろす体勢となる。
 美貌の女から漂う豪奢さにゾクゾクしていると、女の顔がウィルのきつりつに向けられ、くぱっとあかい唇が開かれた。

「うっ」

 いとも容易く少年の亀頭が呑みこまれる。ぞぞっと背筋に快感が駆け上った。
 亀頭の敏感な溝の縁に舌先が絡みつき、同時に女の唇がゆっくりと陰茎の表面を滑り、女の頭が深く沈んでいく――温かい。
 少年の若い性器を、一回り以上も年上の女性が口に含んでいくさまには妙な切迫感が漂っていた。
 ちろりちろりと女の唇からその舌がはみ出すたびに、陰茎の裏側がトリスの長い舌でねっとりと嬲り上げられる。
 やがて、ぬちゃりと女の喉奥に突き当たった――と思いきやトリスはそこからが深い――止まらない。

「うっ」

 喉奥の軟口蓋が亀頭を膣襞のように嬲り上げ、呑み込むような動きでさらに亀頭が沈んで行く。足先が浮いているせいか浮遊感を覚えた。

(相変わらず、凄いやっ……)

 寄る辺を求めるように、女の胸元に両手を伸ばし、その大きな両の乳房を服の上からむにゅっとわしづかみにしたが、柔らかすぎてより深く快楽の底無し沼にズブズブと沈み込んでいくだけであった。
 じゅぼじゅぼっとトリスの女中帽が上下しはじめると、早くも絶頂に導かれそうになっていることに気がつき、少年はぎゅっと足の指を握りしめる。

(うおお……最初にトリスの中に出しておいて良かったよ。口だったら間違いなくすぐに出しちゃってたし……)

 女中に咥えさせるのはウィルの性癖の一つだが――より征服感を満たすために、屋敷に戻っての最初の射精は女中たちの長たるトリスの膣内で果たしたかったのだ。

「ねえ、トリスも脱いでよ。ぼくだけずっと裸なんてずるいよ」

 自分から脱いでおいてずるいもなにもないのだが以前よりも心に余裕があるのは、快楽に押し流されてそのまま達してしまって問題ないと感じているせいであろう。
 口内深くに入り込んだ男根がぬらりと女の唇の中から引き抜かれた。濃い唾液が絡みついており、喉奥に至るほど含んでいたことに改めて驚かされた。

「承知いたしました」

 女は腰の後ろに両手を回しエプロンを脱いだあと、首の後ろのドレスのボタンを外していく。
 襟が開き、複雑に編み込まれた三つ編みと、そこにまとめきれなかったうなじの後れ毛が露わになり色香を放つ。
 トリスは自身の黒地のお仕着せの両の肩口をつかみ、引っ張り上げて首から引き抜きはじめる。
 絨毯の上に広がったスカートのすそがシュルシュルと縮み、下半身の薄手のペティコートとスリップが露出した。
 黒いドレスを首から抜き取ると同時に、白い女中帽が脱げ落ち、透けたスリップの奥で黒いレース地に包まれた大きな胸の柔肉が上に引っ張られ――大きくたぷんと上下に揺れる。

(うわっ、凄い迫力!)

 トリスは一度こちらを窺い、唾液で濡れた性器が興奮でピクピクと揺れているのに気を良くしたのか、紅い唇に艶やかな笑みを含ませながら素肌を覆う薄手のスリップを首から引き抜いた。
 座ったまま下半身を包むペティコートを脱ぎ下ろし、白いふとももが露わになる。
 黒いガーターベルトの間には、黒い陰毛と先ほど少年が精を放った桃色の陰部が顔を覗かせていた。
 トリスの膣内が自身の精液で濡れているという事実に征服感が満たされ、女肉のうごめくあそこに再び分け入っていくことを想像すると、ぞくぞくたかぶるものを感じる。
 さらに屈み込むと、ふとももの内側が愛液でびっちょりと濡れているのが見えた。

(トリスも興奮してるんだ……!?)
「先ほども申しましたが、女は歳を取ればむしろ性欲が強くなっていく生き物でして……」

 女中長はやや恥じ入るようにそう口にして、亀頭の張り詰めた少年の屹立をうっとりと凝視したのちに、自身の背中に両手を回した。
 レース地の胸当てが外され、抑え付けられていた白い柔肉が溢れ出すように解放され、自重でだらんと垂れて左右の剥き出しの乳房が互いに、たっぷんとぶつかり合い大きく揺れる。
 視界を圧迫するいかにも柔らかそうな丸みの上にはウィルの幼少期からの赤いおしゃぶりがくっついており、思わず令息はそこに指を伸ばした。
 トリスの乳首の周辺を乳搾りのようにぎゅっとわしづかみにする。乳首の先端が圧迫されて張り詰めるが、そこから母乳が浸み出すことはない。

(…………ごくっ)

 いかなる感情の動きか元乳母ナニーの乳首に喉の渇きのようなものを覚えていると、黒地の長靴下とガーターベルトだけの格好となったトリスは不意に「お挟みしましょうか?」そう声をかけてきた。

(は、挟む!?)

 その行為が妙に背徳的な感じがして令息は一瞬動揺しながらも、

「……うん。お願い」

 そう答えた。
 ウィルはベッドの縁にだらんと両足を垂らしたまま、背中を倒して寝そべると、

「では失礼します」

 女中長は絨毯に膝をつきながら、いかにも重そうな乳房を両手でぐっと持ち上げ、令息の腰の上に被せてきた。
 少年の股の上に広がるたぷんとした柔肉の重量感――

(ああ、温かい……)

 女の柔肌が反り返った陰茎の裏筋に押し当てられ、溢れた乳房が少年の腰の左右にまで回り込む――それをトリスは自らの両手で左右からわしづかみにして唾液で濡れた陰茎を挟んだ胸の谷間を圧迫させる。
 少年は「うっ」と声を発した。
 トリスは自らの乳房を握りこんだまま、上体を前後に揺らす。
 年増の胸の谷間で、少年の陰茎がしごきあげられる。ときおり少し硬くなった乳首が亀頭に当たるのだ。

「うおおっ」

 予想以上の快楽に、少年は思わず声を上げた。
 これまで何人かの女中に胸で陰茎を挟むよう頼んだことがあるが、幾ばくかの精神的な満足感は得られたものの、それほど気持ちよくなかった覚えがある――だが、トリスの胸の谷間は量感といい、少年の肉棒を圧迫する力の入れ加減といい絶妙であった。
 口で咥える奉仕は女の技巧によって気持ち良さがかなり違うというのは実感していたが、こうして女の乳房で男性器を挟むのにも、そもそも胸の大きさに加えてかなり技術が必要なことに気がついた。

「……な、なんでこんなに上手なの?」

 それはウィルがかねてから抱いていた疑問である。
 ぬるりぬるりと少年の陰茎のまわりで大きな乳房を前後させながら、トリスは口を開いた。

「シャルロッテには、つやがくという科目がございまして……」
「艶学?」

 そう問いかけると、乳房の動きがゆったりとしたものに変わり、話に意識を振り向けられる余裕ができた。

「はい。男女の性行為でどうしたら殿方の歓心を買えるのかを教える授業です」
「なんで、そんな授業がシャルロッテに!?」

 お堅いシャルロッテ女学院のイメージには似つかわしくない。

「せっかく貴族のお屋敷に卒業生たちを潜り込ませることができたとしても、なかなか出世させてもらえないからですわ。お屋敷は女中長が裏方の長として君臨しており、わたしのように前任者がよほどの高齢か、あるいはよほどの失態をしでかしてくれない限り、そう簡単に世代交代は進みません。あるときシャルロッテの指導者たちは考えました――屋敷内で実質的な権力を持っている殿方を味方につければ良いと」
「ああ……なるほど」

 以前、トリスの後輩の学院長が寄付金を募りに屋敷までやって来たときのことを思い浮かべ、なんとなく納得した。綺麗ごとだけでは世の中は動かない。

「ということはロゼもその講義を受けてるの?」
「ご安心ください。実技は行いません。処女にございますわ。知識を詰め込むだけです。過去、わたしのようにバレエで外部と接点がありを積んだ前例もなくはありませんが、少なくともロゼや他の屋敷に来た卒業生たちは男を知りませんわ」

 それを聞いて安堵すると同時に、やはり受講していたらしいと知り苦笑を浮かべる。

「おかしいですよね。頭でっかちの処女が教室に集まって、殿方を悦ばせる知識を大真面目に学習しているのですから。実際には咥えたこともないのに、どうやってお咥えしたら良いか知識の上では知っております。言ってみれば究極の耳年増ですわね」

 ロゼも含めて六人の女学院出身の女中たちの姿を思い浮かべてみるが、どの子も容姿が整っていて、そして胸が大きかった。

「ですから、あの子たち、ご主人さまがなさりたいことは、なんなりとさせられますよ。あの時分の小娘というのは性的好奇心が旺盛で背伸びをしたがるものですから」

 そこまで話すと、トリスは自身の胸を握る腕に力を入れ、上体を大きく前後に揺らしはじめる。
 たぷんたぷんと腰にぶつかる乳房の音が大きくなるのを聞きながら、客間女中フローラなどはそもそも男性の性器を咥えるという発想自体がなく、最初はかなりの抵抗に見舞われたのを思い出した。

(未経験の子たちに最初からなんでもさせられるって、凄くない!?)

 想像したら一層興奮してきて、亀頭がピクピクと女の乳房の中で痙攣しはじめた。鈴口から漏れ出した先走りの液体がトリスの胸の合わせ目でぬちゃりと音を立てる。

「あら? そろそろにございますわね? どういたしましょうか?」
「う、うん。このまま――」このまま女の胸で達したい。

 女の人生を手に入れた証に、幼少期から自らの生を育んでくれた乳房を、自らの性の捌け口として、自らの精で汚してみたいと思ったのだ。

「かしこまりましたわ」

 トリスはウィルの男性器を自身の胸で本格的に上下にしごきはじめた。胸の柔肉が馬の鞍にくくりつけた水の入った皮袋のように、たぷんたぷんと上下に大きく振動し、ぶつかり合う。
 大きな胸が弾み、汗やら唾液やら体液が飛び散る。弾んだ乳房は間に少年の性器を挟み込みながら激しく股の上に叩きつけられた。

(す、すごい……!?)

 竿先のみならず睾丸まで白い柔肉で覆い包まれる体温や圧迫感――この量感がたまらない。
 直接触れた感触的には膣内に挿入したときの襞が絡みつく複雑さや、舌先が少年の敏感なところを攻めるときの繊細さには及ばないが、それ以上に大きな乳房が上下に振動し、たぷんたぷんと柔肉がぶつかる迫力が凄まじい。

(ぼく、元乳母のおっぱいをこんな風に……)

 背徳感や支配感が快楽へ転じると同時に、そのまま絶頂に向かっているのを感じた。

「うっ、このまま出しちゃっていいっ!?」
「どうぞ、お望みのままにっ」

 女が自身の大きな胸をわしづかみにして、ぎゅっと左右から強く挟み込むと、背筋からゾクゾクと快楽の衝動が立ち上る。
 それが絶頂に到達する瞬間、玉袋がキュッと収縮し、陰茎がふくらむ。亀頭の鈴口がぱっくりと割れた。

「あ、あっ! いくっ!?」

 女に対する支配欲が噴出するとともに、そこから大量の精液を放出する。女の胸の中に惜しみなくブチまけられる。

(ああ、気持ち良いィ!)

 左右の白い乳房で押し潰されて胸の谷間の出口が塞がれ、一瞬のタメの直後、噴出するように元乳母の顎にかかる。

(ト……トリスの顔や胸にぼくの精液が……)

 この一線を超えてしまった背徳感にゾクゾクした。
 その間も陰茎は律動し、どくどくと白い白濁が放たれる。
 一回り以上も年上の女は令息の射精を胸の谷間に挟んで受け止めながら、紅い唇の端を吊り上げ艶やかな笑みを浮かべていた。
 射精の律動は少しずつ緩やかになり、やがて完全に止まる。
 トリスの乳房の谷間には顎から滴り落ちた濃淡のある精液がとぐろを巻いており、女が手を離すと、どろりと胸の谷間を流れ落ちた。
 元乳母の乳房を汚したことに、後戻りできない時代の変化のようなものを感じながら、

「トリスもベッドに上がってよ。ここに寝てくれる?」

 令息はそう声をかける。
 ウィルはまだ射精し足りない――トリスの人生を完全に手中に収めて以降、さらにもう一度膣内への射精をしないと気が済まないと感じているのだ。

(ぼくはもっとトリスの身体を味わいたいんだ!)

 それほど時間が経っていないにも関わらず、令息の断固たる意志を示すように股間がググッと持ち上がりはじめる。

「まあ!?」

 背の高い女は歓喜の声を上げながら、ガーターベルトだけ付けた豊満な肢体を仰向けに横たわらせた。

「ああ、ご主人さまのお匂いがしますわ……」

 大きな白い乳房が自重で潰れて身体の左右に流れており、かなりの量の精液がべっとりとへばりついている。そして、女の下腹部の黒い陰毛の下の花弁は見るからに湿っており、狭い肉の穴から白濁が垂れ落ちていた。
 女の股の間に身体を割り込ませ、その大きな乳房にもたれるように手を沈ませると、指には精液が絡みついてくる。

(うわあ、内も外もベトベトだよ……)

 令息は、この元乳母であり元家庭教師ガヴァネスであり現女中長であるトリスの中に初めて挿入したとき、自分の大地を犯していると感じたものだ。
 下半身からせり上がってくる衝動のままに、少年は口を開く。

「トリス、いいかな?」
「喜んで――」

 トリスはそう口にして、ウィルの身体の下で股を左右に開いた。白いふとももが少年のふとももと擦れ合う。
 女の股間の合わせ目に自身の屹立の先端を差し入れ、腰を押しつける。
 亀頭が膣内を通過するときの、にゅるりとした温かい感触に思わず顎を上げる。

(おお……)

 たっぷりと精液の絡みついた膣襞なので、最初の挿入とは若干感触が違うだろうか――この支配した大地をさらに耕していく感触がたまらない。
 令息の思考はそれだけに留まることはない。
 種を蒔いた以上は、この大地に芽吹かせたい。つまり――

(ぼくはトリスを孕ませたいんだよっ!?)

 それがこの令息の女中長に対して秘めたる感情であった。

(だって、閨の教育係として筆下ろしの相手まで務めておいて、孕ませる相手は別に作れって無責任じゃないか!? トリスはぼくが女の子をきちんと孕ませられるか、そのことを確かめる練習台になるべきなんだよ!)

 支配下に置きたい異性に子を産ませる――それこそが究極の支配であり帝王学ではないか――伯爵家がかつてこの辺境の地に入植してきて以来、周辺の豪族に対してやってきたことと同じだと令息は思っている。

(ぼくは辺境領の後継ぎだもんね……)

 だがいくらウィルがそうしたくても、現実問題それが難しいことはウィルにも分かっている。
 トリスの意に反している以外にも、執事バトラー家令ランドスチュワードといった多くの男性使用人が不在の領地の屋敷を運営できているのは、トリスの才幹によるところが大きく、そんなトリスをまさかおもにさせるわけにはいかないのだ。
 それにウィルの周辺にいるのは気の良い女中たちばかりではあるものの――トリスですら屋敷を掌握するのに十年近くかかった――いかにロゼが将来有望でありいくらウィルがそう望んだとしても、いますぐにロゼがトリスの後を継いで女中長に就任することには女中たちのだれも納得しないであろう。
 あまりにも身近に仕えすぎているが故に、ときに地位や権力だけでは道理が通らず、使用人たちの意を汲まないと回らないのが屋敷内での力学なのだ。
 そこで令息は改めてマリエルの伝言の言葉を思い出す。

『われら銀狼族の庇護者になるには、生理を迎えた屋敷のすべての女にだねをお与えになり、屋敷を完全に掌握する必要があります』

 つまり、ソフィアを孕ませるにはトリスを孕ませる必要があり、トリスを孕ませるには屋敷のすべての女中にお手つきをして、ロゼが女中長になる後押しをし――屋敷の女中を孕ませられる環境づくりをすることが必須に思えるのだ。

(あれ、もしトリスに子供が産まれたら、その子にとってロゼは実の姉になるのかな? それとも叔母にあたるのかな? やっぱりどうしても気になって仕方がないよ)

 それを理解しておくのはとても重要なことである気がする。
 マリエルは次のような言葉も添えていたであろうか――

『あなたさまはあなたさまが正しいとお感じになる道をお進みになればよろしいのです』

 そのことを思い出しながら少年は口を開いた。

「ねえ、トリス。いまからぼくがすること恥ずかしいから、少しの間だけ目をつぶってて」
「あら? はい、分かりました」

 トリスは野暮なことは言わずに黙って従って――というより、どんなことをしでかしてくれるのだろうという感じで口元に笑みを浮かべながら、目元を両手で覆っている。
 ウィルは繋がったまま後ろを向き、ベッドの縁に置かれた黒と白二枚の――トリスとロゼの下着を手に取り、それに顔を寄せたのだ。

(匂いはどうかな……?)

 少年はどちらもまだ湿り気の残る二つの下着に顔を寄せて、匂いを嗅ぎくらべる。
 トリスの下着がどこか香水の原液のように男を誘うキツい匂いを発しているのに対し、ロゼの下着は、ほんの少し小便臭さは感じさせるものの匂いは薄い。

(あれ? 全然違う……)

 そして躊躇ためらいは感じつつも、探究心には逆らえず、ぬかるんだ陰部のクロッチに舌を伸ばす。
 トリスの方は舌先に若干の刺激感――いかにも年増の欲情の泉という感じで、ロゼの方はトリスと年齢差があるからだろうか――まだ成熟しきっていない雑味のようなものが感じられた。

(ああ、もう、これで分かるかと思ったのに全然分かんない!)

 少年はトリスとロゼがどれくらい似ていて、どれくらい違っているかを知りたくてこうした。
 なんとなく、違っているところが目につくなら姉妹であろうと思う――アラベスカとその妹レベッカは、姉妹でこうも差があるのかというくらい性格や胸の大きさなどがまるで違っている。
 逆に、似ているところが目につくなら母娘であろうと思う――イグチナとその娘ヴェラナはどちらもぽっちゃりとした身体つきで、ウィルに抱かれるという理不尽な状況の流れに大して嫌がりもせず身を任せてしまうあたりが似ているように感じるのだ。

「トリス、目を開けていいよ」

 令息はそう口にして、自重で広がる左右の大きな乳房に両方の下着を宛てがい、胸元に貼りついた精液を拭いはじめた。

「おや、ありがとうございます。良い趣向にございますわね」

 どちらかというと気恥ずかしさを押し隠すためと、トリスと身長差がありすぎて顔が精液まみれになるのを避けるためにそうしたのだが、トリスはいたく気に入ったらしい。
 女中長の表情は分からない。令息がすぐに大きな胸の間に顔を埋めて激しく腰を振り始めたからだ。

「はあっ、はあっ、はあっ!」

 トリスの大きな胸を枕にしながら繋がるのは最高である。
 結合部から溢れ出した体液がゴボッと品のない音を立てる。
 女の口から本気の甘い嬌声が漏れはじめた。

「あら、ご主人さま。お腰の使い方がお上手になられましたね。ねちっこいと言いますか、あん、先ほどから奥の感じるところを重点的に攻めていらっしゃいます、んんっ」
「はあ、はあっ……そ、そうかなァ?」

 そりゃそうなのだ。なにせいつかトリスを孕ませるつもりで腰を振っているのだから――

(孕め、孕め、孕め……)

 心の中でそう唱えながら、奥へ奥へと突き込んだ。
 左右の指の間からこぼれるほど大きな胸をわしづかみにし、乳首に強く吸いつく。出産すれば十何年かぶりにここから母乳を垂らすようになるのだ。

「あ、あ、ああん……」

 あまりに強くむしゃぶりついたせいか、トリスは顎を上げて反応した。
 精液にまみれた肉襞が、少年の陰茎のまわりにまとわりつき、興奮で張り詰めた亀頭をしごき上げる。
 性感がどんどんと高まっていき、下半身にゾクゾクとした射精の衝動が持ち上がってくる。

「あ、い、いくっ!?」

 ドバッと脳内が真っ白になる感触が訪れ、一瞬意識が飛んだ。
 ウィルはトリスの胸の谷間に顔を埋めたまま、性器をトリスの膣内深くに限界まで押し込んでいる。
 気がつけばトリスの手が乳房ごと令息の頭をぎゅっと抱き抱えており、長い足が少年の小さな腰に回され、交差した女の踵が蟹挟みのようにググッと小さな尻を圧迫してくる。
 少年は、長身の女の肢体の上で頭一つ分くらい小さな身体をビクッビクッと痙攣させた。
 玉袋がキュッと収縮し、達している瞬間の睾丸がトリスの尻の谷間に押しつけられる。快楽の塊が陰茎を通過して、ただでさえ精液の沼になっていた一回り以上も年上の女の膣内の子宮にむけて大量の若い精液を放出しているのだ。
 ドクッドクッと精液を送り込むと、女の膣の蓋になった少年の陰茎の付け根と陰嚢の周辺から、ブブッと品のない音を立てながら白濁がこぼれ出した。

(はあ、はあ、はあ……ぼくは、トリスの中に出してやったぞ!)

 猛烈な性感と満足感に晒されて少年の意識にはかすみがかかる。
 三度目の射精で――ここ数日の疲れがまだ抜けきらないせいだろうか――急激な眠気に襲われて、少年はあっけなく意識を手放してしまった。

「ああ、甘露にございましたわ……あら、ご主人さま。眠ってしまわれましたか」

 トリスは身体を起こしながら膣内から少年の陰茎を引き抜くと、精液がどろっと内股に垂れた。
 白濁をシーツの上にこぼさないように気をつけながら、令息を仰向けに寝かせる。
 女中長はさきほど令息のことを『五、六回は女を屈服させる精力』があると評していた。

「この年増はどうしようもない生き物で、まだ欲しい気持ちはございますが……」

 三回目の射精終えたばかりの少年の陰茎に手を伸ばしかけて、そっと身を引いた。

「本来ならば、最低限軽くお身体をお拭きするくらいのことはさせていただくところですが――せっかくですから寝室まわりを任せた新入り女中のためにお仕事を残しておきましょう。そちらの方が面白そうですものね」

 女中長はさらりとそう口にする。

「お土産までいただけましたし。ご主人さまのお匂いがたっぷり染みついておりますわ……」

 長身の女中長は精液まみれの下着を手に取り、すうっと息を吸い込んだ。そしてそれらに足を通したのち、自分の身繕いを済ませて寝室から立ち去ってしまう――と思いきや、パタパタと仕える主人の枕元まで戻ってきて、幼少期にそうしていたようにウィルが寝返りをうってはだけた胸元に布団をかけ直し、少年の額にそっと唇を触れさせた。

「このトリス、ご主人さまのご成長っぷりに大層満足させていただきました。勝手ながら大事にされていた日記帳をお部屋からお持ちさせていただきました。ご必要かと」

 女中長はリサ・サリに持って来させた古い日記帳を、ウィルの枕元近くのサイドテーブルの上に置く。
 この日記帳のとあるページには、かつて屋敷で飼っていた老犬の死んだ日付が刻まれており、そこには羊飼いのシェパーズ財布パースとも呼ばれるナズナが押し花されていたのだ。
 そしてトリスはウィルと交わした羊皮紙の契約書を大事そうにいそいそと胸に抱える。

「ご契約のとおり、ご主人さまに身も心もお捧げします。生涯ご主人さまにお仕えしご主人さまのお役に立ちますわ」


   ‡


 身長差と年齢差のある主従の、早朝の肌と肌との語らいから何時間かが経過した。
 どこかうっとりとこちらを見つめる人の気配のようなものを感じたので、ふとウィルは薄目を開ける。
 天蓋付きのベッドの横には、仰向けに寝そべる自分を見つめる人影のようなものが立っているらしい。それをぼんやりと眺め、最初はトリスかなと思った。
 だが、トリスほどには背が高くなく、胸はかなり大きいもののトリスほどには膨らんでおらず、瞳の色は薄っすらと赤い。
 トリスと同じく幼少期より自分を見つめてきた視線であるため、幼少期の夢の続きのように感じてしまい、頭の片隅で――違っているところが目につくなら姉妹、似ているところが目につくなら母娘――なんとなくそのようなことを思い出しながら、安心して微睡まどろんだ。

「まあ、嬉しい。ああ、お兄さまのお匂いがたっぷり染みついておりますわ……」

 おそらくはとんでもない美少女であるところの目の前の人影が、ベッドの縁に置かれた精液まみれの自身の下着に顔を寄せ、すうっと息を吸い込んだのだ。そして女中服のスカートをからげ、いそいそと足を通しはじめる。
 そして、少女はパタパタと足踏みして興奮を露わにした。
 なんだか見てはならないものを見てしまった気がして、少年は眠いながらもあわてて瞼を閉じた。そのまま意識を手放す。

「これで、ようやくお兄さまのお世話をさせていただくことができますわ。この日を何年もずっとお待ちしておりました」

 トリスより歳若いその声には――情事の後始末を丸投げされたにも関わらず――少年をいつくしむ響きで満ち満ちていた。

「まあ、お兄さま。その日記帳ずっと大事に保管してくださったのですね」

 少女の声が感動に打ち震えている。

「お約束どおり、わたしのすべてを捧げます――非才の身ではございますが、全身全霊をかけて最期の瞬間までお役に立ちますわ。いつかペロが手本を見せてくれたように――」



今回過去からの話のまとめの回で、個人的に感慨深い回でしてご感想をお待ちしております。
なんか気になった部分とかありましたら、遠慮なくコメントください。

ちなみに羊飼いの花については伯爵家女中伝1巻に収録した短編「伯爵家の老犬」に出てきます。
(現在、商業原稿に加筆修正した第11版が最新版になります。旧Kindle版をご購入いただいている方は第11版にアップデート可能です)
より詳細な違いやアップデート方法については「Web版・商業版・Kindle版の違い」をご覧ください。


伯爵家女中伝1巻


伯爵家女中伝 公式
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