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第十六話「女中たちの伽(下)」

(約束を破った!?)

 身に覚えのないウィルは戸惑うしかない。

「……や、破ってない。うん、破ってないよ?」

 少女の細い肩は震え、琥珀の瞳は揺れている。

「よくもわたしを裏切ったな! うわあああァアアア!?」
「ちょっと落ち着きなよ!」

 振り回された少女のきゃしゃな両手首を、思わずつかんでしまった。

「あっ――」とトリスのあっにとられた声が聞こえる。

 自分でもすぐにその愚かしさに気がついた。少女の背後には引き千切られたシーツが見える。

(おいおい! どうやってソフィアを止めるんだよ!)

 銀狼族の神子の華奢な腕が、鉄格子をも引き裂いてしまうことを思い出して、ぞっと背筋が冷えた。

「ちょ、ちょっと、お、ち、つい、て!」

 ぶるぶると宙で少年少女の腕が震える。力はきっこうしていた。

(あ、あれ? ぼくの力で押さえ込めてる?)

 ソフィアはこんしんの力をこめて、少年をねのけようと歯を食いしばっている。
 理由は分からないが、いまソフィアは神子としての加護を失っているようだ。どうやらこれがソフィアの本来の腕力らしい。
 なおもソフィアは暴れる。白い顔にみるみる血が上り、苦しげに息を乱し、首筋の根元まで赤くなる。
 ――そして突然、ゼンマイでも切れたかのように、ソフィアが腕の力を抜いて、ウィルに押し倒されるように背後のシーツの上に横たわることになった。
 ソフィアはぜえぜえとあばらを上下させながら、肩で呼吸をしている。ウィルも少女の薄い胸に顔を埋め、荒い呼吸をついていた。

「ひやりとしました――」

 顔を上げると、女中長の手には銀色の湾曲した小刀が握られていたので、ぎょっとした。
 おそらく手足のけんを切るつもりだったのだろう。
 絶対に止めてほしい。令息がブンブンと首を振ると、女中長は一礼をしてから革のケースに小刀をしまった。

(トリスが一番、おっかないや……)

 どんな怪力をもっていたところで、腱が切れてしまえば力を発揮することはできないだろう。
 ソフィアの呼吸が収まるまでウィルは、

「大丈夫だから。きっと、大丈夫だから」

 ひたすら、そうつぶやきながらその銀色の頭を撫で続けた。

「うるさい! おまえなんか信じたわたしが馬鹿だった」

 ソフィアはウィルから顔をそむけ、本当に悔しそうに言った。ぐすっと鼻まで詰まらせている。
 令息は、女中長の『人間、心のり所を失えばもろうございますよ』という言葉を思い出していた。
 ウィルが手折りたいのは、誇り高いソフィアなのだ。

「ねえ。ソフィア。ちょっと大人しくしていて。きっと悪いようにはならないから」

 ウィルはソフィアから身体を離し、顎に手をあてて少し考え込む。
 原因はソフィアの膣口を舐めた行為しか思いつかない。
 手近に畳まれていた白い布を、ソフィアの性器のうねの内側に――家政ハウス女中メイドが高価な備品を掃除するときのように、ぽんぽんと軽く押し当てる。

「――な、なにを?」

 処女膜を傷付けないように丁寧に――

(あ……)

 その布が自身の下着であったことに気がついたが、もう構わず少女の蕾を拭ってしまった。
 ソフィアの股間から顔を離し「どう?」と訊ねる。

「どうとは? あ……」

 ソフィアは、身体のうちからなにかが湧き上がってくるのか、臍の下あたりをさすりはじめた。

「力が戻っている――」

 ソフィアは、にぎにぎと拳を開いては閉じる。

「これならウィルの頭だって握り潰せそうだ」

 先ほどまでが噓のように顔をぱあっと輝かせたのだ。

「やめてよぉ!」

 強烈な腹打ちを食らっただけに笑えなかった。

「ぼくの唾液を拭いたら力が戻った。もしかしたら、そういう仕組みなのかもしれない……」
「そういう仕組み?」
「えっと……」

 うまく考えがまとまらず言いよどむ。

「一つの仮説ですが、殿方の体液を処女膜に塗りつけると力が失われるというのは、神子が性行為の途中で、相手の男を死に至らしめるのを、回避するための仕組みなのかもしれません」

 学者のような口調で元家庭教師ガヴァネスが推測を述べた。

「……そういえば、一族に伝わる性の作法として、あらかじめ男にその――いんを……な、舐めてもらうというのがある。興味なかったから真面目に聞いていなかったのだが……」

 ソフィアは消え入りそうな声でそう告げた。

「ということは、あなたの子が一族の長になる可能性があるのですね?」

 ソフィアがはっと顔を上げ、トリスの言葉に頷いた。

「そうだ。かんなぎが先に亡くなった場合、神子が子を為す役目を引きぐことになる。だがマリエルは生きている。それを感じる以上、神子の力を失ってまで性行為をする必要などまるでないのだ」
(ということは、もしソフィアの妹が死ぬと、ソフィアは子作りをしないといけなくなるから、ぼくは遠慮なくソフィアを抱けるようになるってこと……?)

 ウィルはそう考えかけて、ブンブンと首を振った。
 たしかに銀狼族の神子を手込めにしたいが、少女の不幸を願うのは少年の流儀ではなかった。

「……と、とにかく、すまない。約束を破ったというのはわたしの早とちりだった」

 生真面目で直情的なところのある少女は、そうびて頭を下げた。

「まあ、いいよ。命の心配をしなくていいと分かったし。さあ! さっきの続きをしよう。こっちに来て」


   ‡


 ウィルはずっと起立している股間のものを指し示した。

「こいつをなんとかしてくれないか?」

 さきほどソフィアの腕を押さえつけているうちに興奮してたまらなくなっていたのだ。

「なんとかってどうやって!」

 ソフィアが悲鳴を上げる。

「えっと……」

 ウィルはトリスがやってくれたことを思い出していた。

「これを唇で吸ったり舐めたり、手でしごいたりとか……」

 話をしているうちに、ウィルの言葉がだんだんと尻すぼみに。ソフィアは疑わしそうに半目でにらんでいたからだ。

「それは本当に人がすることなのか?」

 ソフィアは男の性器をくわえる行為が信じられないようであった。

ぎんろうぞくはしないの?」
「しない。しないと思う。少なくともわたしは見たことがない――」

 そうソフィアは答えた。

(というか、人の性行為なんて見るものなんだろうか……)
「いいえ――」

 再びトリスが口を挟んだ。

「あなたが知らないだけで銀狼族は口腔性交の文化があります」

 そう言って、トリスは麻袋をもってくると、中からもう一枚の布地を引っ張り出して、シーツの上へと広げた。
 それは色鮮やかなタペストリーであった。きめの細かい羊毛で編み上げられており、人間をかたどった象形文字のような模様がいくつも並んでいる。
 最初は人が戦っている図柄かと思ったが、男と女のようだ。

(ん……? 古語に字の形が少し似ているかな?)

 多少字の形は違えど、もしかしたら読めるかもしれないと頭をよぎったとき――

「あ――」

 ソフィアが短く声を発したので、そちらに意識が持っていかれる。
 少女は布地の端を指でつまみ、それをこねてみせた。指先で布地の質を確認しているようだ。
 東西の交易路の一角を治める領主の一族だけあって、ウィルも多少は毛織物に対する目利きがある。
 一本一本の毛が細く、密度濃く織り込まれており、模様も鮮明で上質な部類に属しているように思う。

「……これは紛れもなく銀狼族に伝わるタペストリーだ」

 やがてソフィアはそう言った。

「人の性交の四十八通りの体位を表わしたものです。結構高かったんですよ」

 トリスの言葉にソフィアの顔が赤く染まる。

「恥じる必要はありません。銀狼族は豊かな性文化をもっていた証です。ソフィア――あなたが望むなら、これをあなたにさし上げましょう」
「わたしに?」

 ソフィアは困惑しているようだった。銀狼族の文化遺産だが、模様が模様だ。

「……あなたがいらないというのなら、明日、焼却に出してしまいます――」
「もらう――もらうとも!」

 ソフィアは慌ててそう返事をした。
 どのような模様であっても、自分の部族の文物をそう簡単に燃やされてはたまったものではない。

「あなたのお部屋に飾っておきなさい」

(四十八手を壁に飾らせるのか……)

 毎日少女の目に触れることであろう。

「もし商人が銀狼族ゆかりの交易品でも持ち込んで来たら、引き合わせてさしあげましょう。ご主人さま、そういうことでよろしいですね?」
「うん、いいよ」

「では、まずわたしが見本を見せてさし上げましょう。ご主人さま、失礼します」

 トリスはウィルの足元に跪くと、右手の平でウィルのこうがんをたぷたぷと持ち上げて見せた。

「三回分――いえお若いですから四回分はあるかもしれません」

 そしてすずぐちを舌でぺろりと突いた。
 ウィルの体がびくんと震える。
 いつぞやのトリスの舌技を思い出してそれだけで興奮してしまう。

「ひとまず女の口に一発ずつ放つのはいかがでしょうか?」
「う、うん」

 ウィルはベッドの縁に座った。
 三人の女たちが、じゅうたんの上に腰を下ろす。
 色違いの髪の女たちの頭が並び、そのうちの真ん中の一番高さのある黒い頭の唇がウィルの男根に近づいた。

「咥えるときは、――こう。むぐっ。こうやって頰の横をすぼめると、口の中で女のちつないを進むのに似た快楽を与えることができます」

 ほわあとウィルは、トリスの攻めにかんした表情を浮かべる。

「しごくときは、こうご主人さまの弱い部分を見つけて、指の腹でそこを確実に押さえるようにして――」

 要点を押さえた動きがウィルを翻弄する。
 ウィルは思わず腰を浮かせる。

「うあああ……」

 まだ身を重ねて間もないというのに、トリスはウィルの弱点を把握していた。

「こうやって下から舐め上げるとよいでしょう。ご主人さまは所有欲や支配欲が精神的な快楽にむすびつきやすいタイプです」
(見抜かれてる――!?)
「こうやって舐めると、ご主人さまに対する従属をしめすことができます」
「うっ……」

 ウィルのそり立った男根の腹の部分を下からねぶり上げた。

「トリス!」

 ウィルは我慢をできずに、トリスの頭の左右を掴み、男根をのどの奥まで差し込んだ。

「ふたりともトリスの動きをよく見ておくんだ」

 なんだかとても良い気分だった。
 まず最初は先っぽから根元までゆっくりと突く。それから激しい前後運動をする。トリスはそのどちらにも完璧に唇と舌を合わせてみせた。
 もう出してしまっても良い頃合いだった。
 最後の一突き――トリスの白く通った鼻筋にぐりぐりと自分のいんもうを押しつけるようにして腰を突き込んだとき、トリスは突き込まれた格好のままねっとりと笑った瞳で見上げていた。

「うっ!? あ、いく……」

 そのままトリスの腔内にどくどくと射精した。
 だるい疲労感に包まれつつ、見下ろした視線の先に咥えたままほほんでいるトリスがいた。左右の二人はトリスの横顔をみつめていた。

(あ、そうか。トリスをよく見ておけと命令したっけ)

 トリスはわずらわしくならない程度に、やわらかく射精後のウィルの男根を締めつけている。
 射精後はだるい刺激に包まれていたいという男の生理を完璧に理解している動きであった。
 そしてウィルの出したものがたっぷり詰まった唇を開いて見せた。
 口の上下に、精液の糸が垂れ下がり、舌先が白く隠れるくらいの量が溜まっている。
 トリスはなにかを期待しているような視線でウィルを見つめ続ける。背中がぞくぞくとした。

「の、飲んでいいよ」

 ごくりと喉を鳴らしてみ込んだ。
 そして再び口を開けたときには口のなかが空になっていた。

「ど、どんな味がするんだ?」

 マイヤがそう訊ねると、「試してご覧なさい」とトリスは返答した。

「なあ、次、オレがやってみてもいいか?」

 マイヤが見上げてそう言った。
 ウィルは鷹揚にうなずき、そのままベッドにあおけになる。

「ソフィア。ベッドに上がって」

 銀髪の少女をベッドにあげて、その可憐な唇に吸いついた。
 下半身には幼なじみの少女の小さな唇が吸いつく感触がした。
 トリスほど技巧は優れていないが、その感触が新鮮だった。

「ここを……こうして……こうして……」

 下半身でトリスがなにか説明をした後、じゅっぱじゅっぱと快楽の音がした。
 そのたびに少女の吸い付きは上手うまくなっていく。

「ソフィア、こっちにお尻を向けて、マイヤが咥えているところを見るんだ」

 銀髪の少女は少し躊躇とまどった後、素直にお尻をウィルのほうに向ける。
 淡いつぼみのような割れ目から銀色の陰毛がちろちろと姿をみせている。
 ソフィアの白い桃のようなお尻を抱え、自分の唇のあたりまで移動させると――シックスナインの体勢となった。
 少女の膣口の周囲をつるりと舐めると、ソフィアが体を震わせ、熊のような腕力をもっているたいの力が抜けた。
 もう今度は暴れるようなことはない。
 大陰唇・小陰唇・陰核――土手の外側・内側を縦横無尽に舐め上げ、湿った畝のすきの水分をすすり上げる。
 快楽の集中する丘の頂に、舌と指先をしつようなまでに集中させたとき、処女膜の隙間からちょろちょろと液体があふれだした。
 あまりに興奮して、あまりに集中していたためか、急に音が戻ってくるような感じすらした。

「あ、だめだ。あ。あ。だめ。あ」

 ソフィアが断続的な悲鳴をあげている。

「じゅばッ、じゅばッ、じゅばッ、じゅばッじゅばッ!……」

 マイヤは卑猥な音を立てていた。

「だいぶ深く飲み込むのディープスロートが上手くなったわね」

 トリスはマイヤを褒め称えた。
 ウィルは、だんだんと下半身にたかぶってくるものを感じはじめていた。

「マイヤ。受け止めて」

 ソフィアの膣口に向かったままマイヤに命令すると、こくんと肉棒が肯定を伝えるように揺れた。
 ここでウィルは悪戯いたずら心を起こす。小指の先をソフィアの膣口につけたときに、ソフィアは身もだえした。

「ウィル。約束が……」

 だが、一時的に超常の力を失っている少女に対抗する手段はない。ウィルの手を振りほどくことができず、快楽に戸惑う少女がいるだけだ。

「い、妹が……マリエルが……」

 小指の先が少しだけ処女膜にめり込む。
 ――無慈悲に指の第一関節ほどが肉の壁のなかに沈んだとき、ソフィアは背筋をらし、

「やめてくれえええ!」

ウィルは射精をしていた。
 二回目にも関わらず、かなりの量の精液がどくどくとマイヤの腔内に注がれる。
 少年は、銀の茂みの覗く股の間に指を挿入したが、それは人差し指の方――少女の桃色の尻の窄まりに人差し指が第一関節ほど食い込んでいたのだ。
 小指の触れた膣口は無傷のままである。

「……ふうう、ああ! 気持ちよかった。マイヤ。ソフィアに変わって」

 マイヤが頷く刺激を感じた。

「ソフィア。約束は守ってあげたんだ。次は君の番だよ」

 頭上の白い尻を強めに二、三度たたいてみたが、動き出さない。
 恨みがましい視線が投げかけられるのを感じていた。

(やりすぎたかなァ……)

 ウィルが少し反省しはじめたとき、

「ソフィア。殿方の誠実さをアテにしてはいけません」

 トリスがそんなことを言い始めた。

(ちょ、ちょっと! なに言いはじめてるの……)

 ウィルは動揺する。

「ぼ、ぼくはソフィアとの約束を守るよ。さっきも約束をまもったじゃないか」

 ウィルは女の股ぐらに鼻先を突っ込んだ状態で必死に反論をする。

「たしかにご主人さまは守ってくれるかもしれませんね。でも、殿方の心は移ろいやすいものです」
「それは困る……」

 ソフィアは唸るようにしてそう言った。

「守ってもらう方法がありますよ」
「な、なんだ。それは。教えてくれ!」

 ソフィアの声は必死だった。
 ずっとソフィアの処女膜を触っていたので、いつか約束を違えて破られてしまうのではないかと不安に思われていたらしい。

「古来より、男に支配された女が取り得る方法はただ一つ――両の玉をきちんと握っておくことですよ」

 トリスはそう言うと、ウィルのたまぶくろが手のひらに温かく包まれた。

「男が女との約束を破るのは、性的に満足していないときが大半です。女がねやでしっかりと満足させれば、必ずご主人さまは約束を守ってくださいます。処女を散らさずともあなたにできることはいっぱいあるでしょう?」

 やがて――思いきりよく、ウィルのこわばりが吸われた。
 体の隙間から下をのぞくとたしかにソフィアがウィルの男根を吸っていた。
 ソフィアのその行為はウィルの支配欲の鎌首を大きく育てることになった。ソフィアの腔内で、射精後のまだえた状態から、男根が硬く充血した。

「ん。ん……」

 困惑したのかソフィアがくぐもった声をあげた。

「いいかい。君がそれを硬くしたんだ」

 目の前の肉の薄膜に舌をわせながら、さきほどのトリスの言葉を肯定するかのようにウィルは呟いた。

「誓うよ。必ずきみをぼくのものにする。ぼくのものになるということは、――ソフィア、君の望みもかなうということだ」

 ソフィアの舌技はまだまだ未熟だが、トリスやマイヤの奉仕する姿を見て、どう舌を動かせばウィルを喜ばせることができるか、多少なりともつかめてきたようであった。
 拙いながらも、確実に段取りを踏んで、ウィルを絶頂へと導きつつある。
 一方、とろりとれだしたソフィアの花弁がウィルの興奮を一層高めた。
 そしてウィルは、どくどくと自分の射精する音で、疲労で頭が真っ白に染まった。
 かくしてウィルの誠実さは精液によって彩られることになったのだ。
 射精後の気怠い眠さに意識を手放しかけたとき、気つけをするように頰のあたりを軽く叩かれた。

「うん?」
「申し訳ありません」

 見上げるとトリスだった。

「大事な場面ですから、こちらへ」

 のろのろと体を起こすと、足元の絨毯には足を内股に折って座るマイヤが、目の端に涙をめながら、ずっとくちもとを押さえていた。
 そしてソフィアも口許に手をあてて若干ふらふらしながら頭を起こした。

「ご主人さま。犬の忠誠を試すのもほどほどにしませんと」

 ウィルはあっと思った。もしかしてマイヤの口のなかには――

「マイヤ。口のなかを見せて」

 どろっとした白い液体がマイヤの腔内に溜まっていた。白い筋が渦を描くようにまだら模様になっている。

「ソフィアも」

 同様に、ソフィアも口を開けた。そこにはマイヤのものよりも少量で薄い精液が溜められていた。

(三発目ともなると、さすがに水っぽくなるんだな……)

 ウィルは二人の頭を優しくでる。

「よく頑張ったね。偉かったよ」

 マイヤはむくわれたように喜び、一方のソフィアは、頭を撫でられたことをどう解釈してよいか分からないといった感じで困惑していた。

「さ、二人とも。飲んで」

 そう言うと、マイヤは量が多く濃いわりに、一息に飲み干した。
 ソフィアは、やれやれとばかりに首を振るのと肩をすくめるのを同時にやってみせた後、銀色の眉をひそめて、何度も苦戦しながら、つっかえつっかえ飲み干した。
 その少女たちの様子を見て、ぞくぞくと背筋を突き上げるものを感じた。
 今晩はまだ、女の膣内に一度もれていないのだ。

「さ、頑張ったマイヤにはご褒美をあげないとね――」

 びくびくとウィルのものは、依然として天を指していたのだ。

「お、おう。ついにオレ、ウィルの女にしてもらえるんだな」

 マイヤは震える声でそう言った。

「二人っきりのときにとっておいて欲しいなら、それでもいいよ」

 ウィルがそう言うと、

ひどいご主人さまだな。犬の目の前にご馳走出されたらすぐに食べるに決まっているじゃねえか」
「いいんだね」
「くどいぞ! そんなもったいぶるような女でもねえんだから、さっさと貰ってくれ。もうおまえの好きなやりかたで抱いてくれ」

 ウィルのまえの絨毯に座るマイヤの横で、ソフィアがしきりに喉を押さえている。ひっつくとか呟いている。

(好きなやりかた……)

 ふと思いつくものがあった。

「マイヤ、ソフィア。ベッドに上がってくれ」

 そういって二人の少女の腕をベッドのほうへと引っ張り上げる。

「お、おう?」
「え、ええ? わたしもなのか――」

 二人の少女は躊躇いがちにベッドへと身体を横たえた。

「マイヤ。ソフィアの上で四つん這いになるんだ……」
「ああ……この変態。あ、これ褒め言葉だからな」

 マイヤは合点がいったように、そうぽつりと呟いた。

「まあ、立派になられて」とはトリス。
「え、え、ええ?」

 ソフィアはまだ動揺していた。
 マイヤの薄い胸が、さらに薄いソフィアの胸の上に重なる。
 そしてウィルの指示通り、四つん這いとなった。
 ウィルは、抱き合った少女二人の足の間に割って入り、マイヤの割れ目に自身のちょうを当てる。

「マイヤ。挿れるよ?」

 くちゅっと、ウィルのとうがマイヤの女陰の割れ目の入り口にあたる。

「これから、いっぱいいっぱい抱いてあげるからね」

 ウィルの男根がずぶずぶとマイヤの女陰のなかに沈んでいく。
 後ろから突き込んでいるウィルには、マイヤの表情が分からない。
 だが、下敷きになるソフィアがマイヤの表情を心配そうに見上げている。
 痛そうにしているようだ。
 だが、容赦なく、一気に押し込んだ。
 マイヤの身体のなかで、ぶちっと何かが切れる音がした。
 痛みによるものなのか、マイヤは背筋を引きらせている。
 そのとき、マイヤは肩で息をしていた。

(マイヤ、かなり辛そうだな)

 ウィルが後ろから覗き込むと、気丈に笑みを返したが、明らかに無理をしている。
 マイヤは、後ろからでも脂汗を垂らしているのが分かるくらい辛そうであった。
 それでも容赦なく腰を振りはじめた。達しないとマイヤは納得しないだろう。ウィル自身も納得できないのだ。

(マイヤの身体の負担を考えると、はやく終わってやりたいが……)

 だが、四回目だと流石さすがにすぐには達しそうにない。

「トリス少し協力して」
「はい」

 ウィルの言葉にトリスが即座に返事をする。
 協力してと言ったものの、トリスにどのように協力させるか実はあまり何も考えていなかった。
 トリスの豊満な胸を押しつけてもらえれば、すこしは早く達せられるようになるかと思ったのだ。
 だが、予想外の刺激がウィルの背をつらぬいた。
 マイヤのなかに突き込んだまま、ぶるぶるとウィルの尻が震えた。
 ウィルの男根がマイヤの細道をこじ開けたように、自身の肉の穴――トリスがウィルの尻の穴に舌をねじ込もうとしているのだ。
 すぐには侵入できないと分かるや、ちろちろとウィルの尻の穴の周辺を舐め回しはじめた。

「くっ。そ、そういうのもあるんだ……」

 ウィルのほうは、マイヤとソフィアの胸の間に、両手の指を差し入れる。
 そして少女二人の淡い乳房をむ。
 そのまま激しく、腰を出し入れする。
 自身の尻の谷間から女の声がする。

「ご主人さま、お外にお願いします。避妊処理をしていません。はらんでしまいますから」

 そう言って、きゅうっと二つの金玉を握りしめた。

「言われなくても分かってるよ!」

 嘘であった。
 すっかり忘れていて、そのままマイヤのなかで射精をするつもりであったのだ。

「は。申し訳ありません」

 トリスはすぐに、金玉を締め上げる指を離した。
 ウィルはマイヤの中から抜き、ソフィアとマイヤの股の間に差し込むと、二人の赤と銀の眉が揺れる。三人の少年少女の性器が触れあう。

「だ、出すよ! ふ、二人とも……」

 三人の女たちはそれぞれのやりかたで、びくんと身体を震わせた。
 そして、トリスの舌先がウィルの尻の穴深くに侵入したとき、ウィルは、二人の少女の合わさった白い腹の間に精を解き放ったのである。


◇ 屋敷の女性一覧 ◇

女中長   1人 (トリス◎)
蒸留室女中 2人 (リサ△・サリ△)
洗濯女中  6人 (第一:ジュディス)
         (第二:イグチナ・ブリタニー△・シャーミア)
         (第三:アーニー・レミア)
料理人   1人 (リッタ)
調理女中  4人 (マイヤ◎)
皿洗い女中 2人
酪農女中  3人
客間女中  1人 (フローラ△)
家政女中 12人
雑役女中  8人
側付き女中 1人 (ソフィア△)
    計41人
お手つき  2人 (済み◎、途中△)




改めて読み返してみるとマイヤの扱い酷いなと思います。
Kindle版「伯爵家女中伝2」では、幼なじみの親友の少女を手折るというテーマをより強調して、マイヤの濡れ場を1対1に描き直しておりますので、そちらもお読みいただけると嬉しいです。

より詳細な違いやアップデート方法については「Web版・商業版・Kindle版の違い」をご覧ください。


伯爵家女中伝2巻


伯爵家女中伝 公式
伯爵家女中伝 公式(Kindle版の作品詳細はこちら)



第十六話「女中たちの伽(下)」へのコメント:
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