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第三十九話「破瓜契約」

「レベッカ、もう体調はいいのかい」

 執務室のソファーに座り、ウィルはそう問いかけた。

「おかげさまで」

 対面に腰をかけるレベッカがやわらかく頷いた。
 長い金髪がさらさらと顔の横から滝のように流れ落ちる。
 絹地の白いドレスが優雅で華美な曲線を描いていた。
 いま女が身につけているものが、唯一処分せずに残った女の私物である。

(結局、小麦価格もさらに上がったんだよな)

 予想したとおり小麦価格は七三ドラクマまで上がった。
 圧倒的な資金力をもつ何者かが小麦を大量に買い占めているのは間違いない。
 マルク家をはじめとした国内の大農場は市場に小麦を供給し終えており、小麦価格がすぐに下がるとは考えにくい。
 目の前の女性は、ムーア子爵家の破綻が決定的となったあの瞬間、狂気を含んだ目つきでウィルに資金を提供してもらうように迫ったのである。

(もし断わり切れずにあのまま資金を出していたらと思うと、ぞっとするなあ……)
「では、わたしは仕事の続きをさせてもらいます」

 ここでトリスが一礼をする。ソファーの横ですらりとのびた長身から、大きな胸がぶら下がる。
 執務室には、主人だけでなく使用人が使う机も置かれている。
 トリスは、部屋の壁際にある、書類の山が詰まれた座席のほうへと足を運んだ。相変わらず、お尻のかたちが綺麗であった。
 ウィルはソファーに座って頬杖をつきながら、目の前の白いドレスの女に口を開く。

「レベッカ。いまからここで服を脱ぐんだ」

 すると、女の唇の端がひくひくと震えた。諦めたように溜息をついた。

「よ、容赦ないわね……。せめて就寝時間ベッドタイムまで待ってくれてもいいじゃない」
「ぼくはいままで誠実だったでしょ。だからもう我慢するつもりがないんだ」

 ウィルが、ゆらりとソファから立ち上がると、女はびくりと肩をすくめた。そのままソファーに座る女のきゃしゃな肘を掴んで起き上がらせる。
 一歳年上のレベッカの体格はウィルと同じくらいであった。
 女の身体を後ろから抱きすくめ、震える女の肩に顎を載せてみて骨が細いことに気がついた。華奢なのである。
 そのまま白いドレスの脇のすきから、女の胸へと指を伸ばした。

「ウ、ウィルっ!」

 華奢な身体つきのわりに、上質の絹を押し上げる膨らみは量感たっぷりである。マシュマロのような肌触りである。

(トリスほどではないけど、フローラよりも大きいな。なんか新鮮だな。女中服ではなくドレスを着ているからかな)
「や、やめっ……ダ、ダメ」

 胸をぎゅっぎゅっと握るたびにレベッカがあえぐ。

「だって、ぼくがレベッカのおっぱい揉まないでどうするのさ?」

 ウィルは、さも当たり前のようにそう言ってのけた。
 つい一昨年まで一緒の学舎で過ごしていた女のやわにくに触れるのは、生々しい実感のようなものがある。
 親近感や友情、思い出といったものが、金勘定でもするかのように、ひとつひとつ官能に置き換えられていく。
 後ろから嗅ぐ女の髪は、かすかな乳液の匂いと、爽やかな柑橘系の香料の匂いが混ざり合っていた。
 ウィルはズボンの下で張った男性器をレベッカのドレスのお尻に押し当てると、

「ひっ」

 レベッカが身を震わせた。
 女のお尻は体格や胸の大きさのわりに小さめなほうだと思う。
 絹地に包まれたレベッカのお尻の谷間に沿わせるよう、ウィルは器用に腰を動かしてズボンのなかのぼっの方向を整えた。

「ぼくだって聖人君子じゃないんだから、当たり前でしょ?」

 ウィルはやや呆れるようにそう言う。

「で、でも、ここには女中長ハウスキーパーが、トリスさんがいるじゃないっ」
「うん。トリスには、いま急ぎの仕事をしてもらっているからね」

 マルク家の女中長は、壁際の席で何枚もの紙を机の上で広げていた。紙にはたくさんの数字が載っている。
 その数字を見ながら、算盤アバカスをもの凄い速さでカチカチと弾いていた。

「ねえトリス。ぼくがこの場で女中を抱いたら、なにか君の仕事に支障が出るかな?」

 ウィルがそうたずねると、

「いいえ。伽はいつでも必要なときにお命じください。昂ぶったまま仕事をなされては判断にミスが出ます」

 トリスは振り返って、そう返答した。
 ウィルの知るかぎり、算盤を使ったトリスは一度も計算ミスをしたことがない。
 レベッカは唖然と大きく口を開いている。

「君には農場経営を任せようと思っていたのだけど、いまの君ではダメだね」

 ウィルは、やや硬い声でレベッカにそう言った。

「え?! な! ど、どうして?」

 急に突き放すウィルの言葉に、レベッカはたちまち動揺を見せた。
 もうレベッカはマルク家の農地の管理をはじめている。このまま仕事を任せてもらえるだろうと思っていたはずだ。
 ウィルののうをよぎるのは、薄氷の上に立つ氷の女王とあだされたレベッカの姿である。

「君は追い詰められれば周囲を巻き込んで破滅を選ぶ癖がある。それを改めない限り、ぼくは君を重用することができない。以前も、ぼくに従うと言っておきながらマルク家を巻き込もうとした前科がある」
「ううっ……。あれはわたしが悪かったわ……。切羽詰まってて、自分でもどうしたらよいか分からなかったの」

 レベッカは雷にでも打たれたかのように身を震わせた。
 だが、二度三度とあるかもしれない。屋敷の主人としてそれは見過ごせないのである。

「わたし、どうすればあなたに信頼してもらえるかしら?」

 レベッカは切実にそう訴えてきた。

「自分の全てをぼくにさらしてごらん」

 ウィルがそう言って、背筋に舌をわせると、

「……ああっ!……」

 金髪の女は突然の強すぎる刺激にぷるぷると腕をけいれんさせた。

「さあ、まず服を脱ごうね。一緒に心の服も脱いでしまえばいい」

 ウィルはそう言って、レベッカの白いドレスの肩布を肩の左右にずり落とす。
 白い絹地に包まれた胸の膨らみがあらわになり、ドレスの布地を下に捲っていく。
 ウィルの目にはすっと伸びた背筋、そしてガーターベルト、白絹で包まれたお尻の膨らみが見える。レベッカはウィルに促されるまま白いドレスから、長い白靴下に包まれた脚を引き抜いていく。

「レベッカ。それがいまの君なんだ」

 ウィルがそう言うと、白い下着姿のレベッカは生まれたての子鹿のように、ぶるっと白い靴下に包まれた脚を震わせて内股になった。そして、かろうじて赤じゅうたんのうえに足をふんばったのだ。
 レベッカの横には脱ぎ捨てられた白いドレスがあった。
 なぜムーア家の元当主がドレスを処分せずに済んだか。それはマルク家が、ムーア家の借金の清算人を引き受けたからである。
 ドレスは、レベッカの貴族性の象徴として取っておいた。

(ぼくはレベッカをどんなふうにでも扱えるんだ……)

 その気になれば、かつての同級生を奴隷の身分に落とすことすらできる。
 それは、労の多いわりに旨みのない清算人のほとんど唯一の報酬と言えた。
 悪評さえ覚悟すれば、このまま奴隷市場に連れて行って売り飛ばしてもいい。とある侯爵の書いた嗜虐小説のように、地下室に閉じ込めて徹底的に虐待することさえできる。
 いまやレベッカの生殺与奪件がウィルの手に握られているのであった。
 権力とは恐ろしい。ウィルも身震いしてしまいそうになる。
 ウィルは哀れに震えるレベッカの背中を見つめながら、自分が女性になにを求めているのか、心の中を整理しはじめた。
 自分の言うことを何でも聞かせ、ときに理不尽な命令も下したい。
 上下関係ははっきりさせ、それを自然に受け入れてもらいたい。
 もちろん女は魅力的であったほうがいい。顔も身体も心も。
 魅力的な女とは当然性交もしたい。
 そんな関係を築くために、手っ取り早い手段は女を奴隷にすることだ。

(でも、ぼくは女性を自分の奴隷のようには扱いたくないんだよね……)

 奴隷にしたのでは女の心が魅力的でなくなってしまうのだ。
 ときに軽口もたたき合いたい。
 信頼したいし、信頼されたい。
 ときに主人にきっこうする生意気な存在であってもいい。
 女が社会から隔絶されたり、理不尽な目にったりしないよう、女を尊重するやり方で、女を縛り付けてしまいたいのだ。

「ぼくの身も心も君に晒してあげる。そして君の身も心もぼくに晒してもらう。ぼくと一つになろう。そうすれば、君はもう自暴自棄になることなんてできなくなる」

 ウィルの考えるレベッカとは、白亜の城壁のように気高く、誰かに誇りを汚されることを決して許さない不屈の城であった。
 ならば女の誇りを自分の一部にしてしまえば良い。

「……ウ、ウィルは、人としての器の大きさでわたしを従えようとしているのね……凄いわ……」

 振り向いたレベッカは、大きく青い瞳を見開いていた。

(あれ? そういうことに……なるのかな?)

 ウィルは少し苦笑いをする。
 レベッカは身体の力を抜いた。ウィルにかんした背を預けたのである。

「うん。君はぼくの女中になるんだ。ぼくにとって女中とはそのような存在なんだ」

 ウィルがそう口にした瞬間、執務室の壁際で背筋を震わせる女がいた。

(あ……)

 仕える主人が己の理想を体現してみせたのだ。トリスが心を震わせないはずがなかった。


   ‡


 執務室の扉を開けた先、一番奥の窓際に屋敷の主人であるウィルの机がある。
 女中服は、レベッカに意外なほどよく似合っていた。
 凜とした冷たい気品があり、トリスほどではないが、背は高く、脚も長く、胸も大きい。
 そしてみずみずしい若さにあふれている。

「さあ。机に手をついて」

 ウィルがそう言うと、屋敷の支配者の机の端に両手をついて、お尻を突き出す姿勢をとった。

 ウィルがスカートをたくし上げると、白い靴下とガーターベルトに包まれた長い脚、そして股間の絹のショーツが見える。
 おしりをなぞると、レースや綿の下着とはまた違った、すべすべとした肌触りが返ってきた。
 絹の薄い布地の谷間を人差し指でなぞると、すぐにぬるっとした湿り気を帯びはじめる。
 レベッカは、ひくひくと金色のりゅうを痙攣させはじめた。
 ウィルはそのままショーツを膝下まで引き下ろす。女の女性器に張り付いた布地が粘着質にぺろんと剥がれた。
 女は黙って恥辱に耐えている。
 ウィルは街角で娼婦でも抱くか、小便でもするときのように、股間から勃起した男性器だけをひっぱりだし、レベッカの太ももの間に挟む。
 女が身も守るように内股になると、左右から柔らかく挟み込まれる女の柔肉の感触が、一層ウィルの性感を増した。
 ウィルはしゃがみこんでレベッカの股ぐらを覗き込んだ。
 眼前には、レベッカのきゅっと緊張で引き絞られた肛門、びらびらの少ない女性器、そしてのように比較的真っ直ぐな金の陰毛が生えているのが見える。

「うっうう……」

 レベッカはうめき声をあげながら、ぎゅっと机の縁をつかんで耐えた。

「レベッカが初めてをしたのはいつ?」

 ウィルの吐息が女性器にかかる。
 さきほど、レベッカは自分の全てをウィルに晒すと誓ったのである。

「………………寄宿舎学校に入ってすぐ」

 まるで目の前の女性器がしゃべっているような、くぐもったささやきであった。

「へえっ。意外に遅いね。寄宿舎学校に泊まるようになってから自慰をするようになったんだ」

 ウィルはしゃがんだ姿勢で、レベッカの太ももを、ぴたぴたと手を軽く叩いて喜びを露わにする。

「なんで自慰をしようと思ったの?」
「……あなたにはじめて成績で負けたからよっ」

 レベッカは涙声になっている。

「うん。レベッカ。涙を流してもいいよ。らしてもいいよ」

 ウィルはしゃがんで男根を勃起させたまま、中指で膣の入り口をあいし、人差し指で女芯を柔らかく擦る。
 するとウィルの眼前で二本の脚が小刻みに震えだした。

(あんまり臭いはしないんだな……)

 目の前の女性器からは、軽い汗の臭いくらいしかしない。
 トリスの匂うような満開の女性器に比べると、開きかけのつぼみのように大人しく上品である。

「どんなことを想像しながらイったの?」
「………………」

 ウィルは無言のレベッカに容赦なく腕を振り上げる。すぐさま渇いたびりびりする音が部屋に響いた。

「いっ、痛いっ! い、言います! 言いますから!」

 ウィルは自分の手の平がひりひりと痛くなるほど強く叩きつけたのだ。レベッカの尻には赤い手形がついていた。

「さ、最初は、あなたを後ろ手に縛り付けて上にまたがることをイメージしながら……くやしかったんですもの」
「……へ? へえ? 思ったより攻撃的なんだね。でも最初はってことは、次から違うイメージで自慰をしたんだ」

 返事をするように、レベッカの白い尻のすぼまりがきゅっと引き締まった。尻穴の周りには何本かの金色の毛が生えている。

「……あなたに後ろから犯されることを妄想するようになったわ」

 レベッカの女性器は、ウィルの指の先で湿り始めていた。

「どうして? いや待って。そのまえに自慰のオカズにしたのはぼくだけ?」
「ウィルだけよ! あのころのわたしは成績で一番になることしか興味がなかったから、対象はあなたしかいなかったの……」

 なぜか潔白を主張するようなレベッカの口調がいとおしかった。

「光栄だね。でもどうして?」
「……だんだんと、あなたに勝てるイメージが沸いてこなくなったの。犯されるほうが現実感があって」

 それを聞いてウィルの脳裏にひらめくものがあった。

「あっ。分かった! 君はぼくに成績で負けるたびに自慰をしていたんだ!?」
「ど、どうしてそれを! ああ。恥ずかしい……」

 いつもレベッカはウィルをきっとひとにらみしたあと、どこかに姿を消していたのだ。
 女の花弁からぽたぽたと液体が零れだし、赤い絨毯に染みを作りはじめていた。

「ぼくに負けたあとにする自慰が予想以上に気持ち良かったんだね?」

 ウィルがそう切り込むと、

「……はい。気持ち良かったです」

 レベッカは項垂れてそう認めた。言葉遣いまで弱々しいものに変わってしまっている。
 なぜ毎回、ウィルがレベッカの成績を辛うじて上回ることができたか、ようやくその理由が分かった気がした。この女は、いつも心の底のどこかでウィルに負けることを心待ちにしていたというわけだ。

「この変態……」

 うれしそうにウィルがそうののしると、

「……ひっ。ひっく。ひっく。うう……」

 レベッカは長い金色のまつから涙を零しはじめた。そして花弁を濡らし、ウィルの指先に滴を垂らしている。

「なにが氷の女王だ。自慰狂いの雌犬じゃないか。おい。きみはもう地の底まで墜ちた。これ以上墜ちる場所なんてどこにもない。破滅を選ぶなんてしょせん自慰だ。ひとりで自慰をするよりも、ぼくにしてもらったほうが気持ちがいいってことを心に刻みつけておくんだよ」

 ウィルが下からじょりじょりと濡れた女性器の割れ目をめ上げると、

「……あ。……あっ。ぐすっ。んん……。あんっ。ぐすっ」

 レベッカは泣き声と喘ぎ声の入り交じった吐息をらした。

「返事は?」
「……はいっ」

 レベッカは従順にそう返事をした。

「ちなみに、ぼくもレベッカで自慰をしたことがあるよ」

 ちゅっとレベッカの白い太ももに口づけをする。

「……ひゃっ! え? ウィルが? うそ……」

 レベッカは自身の女性器ごしに、男性器を勃起させたまましゃがんでいるウィルを見て、あわてて目を反らした。

「ぼくも自分の身と心を晒すって言ったからね」
「……寄宿舎でのウィルは、わたしになんか興味ないのかと思っていた……うれしいかも」
「だってレベッカは寄宿舎学校で一番綺麗だったもの。レベッカで自慰をしたことのない男子学生なんているのかなあ? ちなみに今みたいに教卓に手をついているレベッカを想像しながら、自分でしごいていたんだよ?」
「こ、この格好で……。ひゃん! お、お尻に指入れようとし、ないで……」
むちの次はあめだな」

 ウィルはそう言って、息も絶え絶えなレベッカの背中に体重を預けながら執務室の机の上を物色する。

「ああ、あったあった」

 積み上げた書類の束からウィルが一枚の紙をひっぱり出す。
 紙の左右には、二つの表が並び、細かい数字が記載されていた。

「……そ、それは?」
「ほら、見てごらん。これがうちの経営だよ」
「……。あ、あら? それは賃貸対照表バランスシートね」

 レベッカの声はやや調子を取り戻しはじめていた。
 賃貸対照表は南欧の修道僧によって近世に発明された。
 かりかたかしかたの左右の金額が一致するバランスのみょうを特徴とする。
 これにより貴族家がどの程度健全に運営されているか、財務状態を把握することができる。

「君に事業を任せるのだから賃貸対照表くらいあると便利だろ? といってもトリスが使い始めたんだけどね」

 ウィルは黒いお仕着せのブラウスのボタンを一個一個外す。白い下着に包まれた大ぶりの乳房を露わにさせる。
 そしてフロントホックを外し、露出させた乳房の左側を鷲づかみにする。
 その肌は上質の絹のように柔らかい。左手のはち切れんばかりの豊潤などうのような瑞々しい重さを感じる。

「知っての通り、左側がかりかたの表で、資産の部と呼ばれる。これまでお金をどんなふうに使ってきたかが示されている」

 そして次に、つうっと先端に指をすべらせ、レベッカの薄紅色の左乳首を摘む。刺激が強すぎたのか女は肋骨を上下させて呻いた。

「特にマルク領の屋敷や、王都の屋敷は面積自体は小さいが、とても価値のある資産といえるね」

 ウィルはそう言って、レベッカの左乳首をぴんと指で弾いた。すると女の身体全体がぶるっと震える。
 そして次に、たぷたぷと左の乳房全体を手の平いっぱいで揉みはじめる。

「ちなみに男に揉まれるとおっぱいは大きくなるそうだよ。マルク領の資産価値の大部分を占めるのは農地なんだ。レベッカ、君の仕事は農地を広げることだよ」
「おっぱいが大きく? えっえっ、農地を大きく? これってもしかして真剣に聞かないといけない話だったの!?」

 レベッカは素っ頓狂な声をあげる。

「もちろん。そして右側」

 ウィルがそう言うと、レベッカの顔がそちらを向き、食い入るように眺めはじめた。

「右側が貸方の表で、負債と資本の部と呼ばれるね。どのようにして資金調達したかが示されている」

 ウィルはそう講釈をたれる。

「すごい。無借金経営なのね?」

 新雪のようなレベッカの右の乳房を揉みながら、

「そうだよ。レベッカのも、ぼく以外の手垢のついていないおっぱいだよね?」

 ウィルは訊ね返した。

「馬鹿!! 当たり前よ」

 レベッカは即座にそう悪態をついた後で、はっと唇を閉じた。

「いいんだよ。いいんだよ。ぼくに軽口を叩いてもよいし、面と向かって好きなことを言ってもよい。うちの赤毛のマイヤを思い出してごらん。ちょっと口は悪いけれど、あれは完璧にぼくに服従している女だよ」

 ウィルはそう人の悪い笑みを浮かべた。

「とにかく、うちはいままで借金が悪だという思い込みがあったから経営状態はそれなりにいいんだ」
「で、でも、新規で借り入れをすれば……」
「そう。レベッカの言うとおり、経営の基本は、借金をしてそのお金で事業を拡大することだ。そうすれば、いままでよりずっと早いスピードで農地を開発できるね。これから農地開発するにあたって莫大な資本が必要になる。多少の現金を集めたとは言え、自己資金だけでマルク領の農地開発は成立しないからね」

 女がごくりと唾を飲み込んで、頷く。
 レベッカが呼吸を荒くしはじめた。快楽やしゅうだけでなく、これからの仕事への興奮によって。

(レベッカには、仕事の興奮と性欲を同時に感じてもらわないとね……)

 それがウィルの教育方針だった。
 ウィルはレベッカの股間の谷間でゆっくりと腰を前後させる。
 レベッカのほうも太ももが内股になり、挟んだウィルの男根が柔らかく締めつけられる。無意識なのか、男にとても協力的だ。

「小麦が市場に供給されて、小麦価格が急落したタイミングが狙い目だ。市場に小麦が溢れると同時に資金供給量も増えて金利が安くなる」
「…………!」

 レベッカは鼻息を荒くしながら、こくこくと頷いた。それとともに股間のほうも、一層ぬちゃりと湿る。

「そのタイミングをねらって一気に借金をする。命令だ。右のおっぱいに資金をぶち込んで、左のおっぱいの農地を大きくしろ」

 ウィルの言葉はもう、乳房と経営の話がごちゃごちゃになっていた。

「すごいっ! すごいわ! ウィル!」

 それにも関わらず、レベッカはかいさいを叫ぶ。
 左右の乳房が育っても、かならず大きさは釣り合う。資産と資金調達の間のバランスは常に保たれるのだ。
 この経理の原則に、修道増は神のせつを感じたと言われている。

「なら、さっそく契約を交わそう」

 次のステップとばかりに、ウィルはそう言った。

「契約書?」

 レベッカはげんそうに返事をする。
 再びウィルが机の上からひっぱり出したのは、古めかしい羊皮紙であった。

「……こりゃまた随分と古いものね」
「東に帝国があったときに作られた契約書だよ。歴史の古い貴族家には妙なものが残っていてね」

 羊皮紙は管理さえ良ければ千年以上も残る。
 二人が落とした視線の先には、ラテン語で書かれた文面が見える。

「古すぎてなんだか呪われそうだわ……。あら。血判を押す場所もあるわね? 古代の契約書だけあって少し呪術的な趣もあるのかしら」
「これを使ってこれからぼくらは呪われるんだよ」

 ウィルは冗談めかしてそう言った。
 金髪の女がラテン語を読みはじめた。

「ええっと。男が義務を守る限り、女は身も心もささげないといけない……。ヘルメスに誓って。ええっとヘルメスって確か」

 レベッカがそう口にする。

「そうヘルメスは古代ギリシャ神話の商売と技術の神だよ」
「まあ。これから事業を興すにはぴったりの神様ね!」

 レベッカは破顔した。

「まず、ぼくが記入するよ」

 そう言って、ウィルは羊皮紙の男の名前の覧に、ウィリアム・マルクと記入する。
 さらに男の守るべき義務の覧に、『女の能力を世界で一番うまく生かす』そう記入した。
 その瞬間にレベッカは、口を大きく開けて、はっと大きく息をみ込んだ。

「本当に……わたしをうまく、使って、くれる気なのね……」

 ウィルの行動はレベッカの心の琴線を捉えたらしい。涙声になっていた。

「ぼくは君を信じて権限をゆだねる。君は自身のプライドを賭けて仕事をする。すべてをぼくにさらけ出しながらね。君の人生において、これ以上の機会は訪れない。レベッカ、これにサインする勇気がある?」

 ウィルがそう問いかけると、金髪の女は、荒く呼吸をつきながら、ウィルからペンをもぎ取るようにして、レベッカ・ムーアと記入してみせた。

「次は血判だね。処女の血で押してもらおう」

 ウィルはそう宣言すると、レベッカから身体を起こして、女の尻を両手で鷲づかみにして左右に開いた。
 破瓜の血で判を押す以上に、呪術的な趣の強い契約方法はないだろう。

「と、当然そうなるわよね……。ええい! もうなんでもやってちょうだい!」
「いくよ」

 ウィルはそう宣言すると、ぬるりとレベッカの花弁に男根を滑らした。

「愛撫に時間をかけすぎたから、さっさとぼくは抜きたくて仕方がないんだ」

 それは本当だった。ウィルの股間はびくびくと精の注ぎ先を求めて震えている。
 入り口に差し入れると、柔らかい処女の窄まりがウィルのとうをきゅっと締め上げた。

(え……?)

 あまりの刺激の強さに、腰砕けになりそうになった。
 女が力の限り唇を窄めたくらい締めつけが強い。
 レベッカは、机の上についた腕や脚をぷるぷると震わせている。

「さあ、思いっきりやってよ。ウィル!」

 レベッカが目をぷるぷると思いっきり瞑りながら、そう叫ぶ。
 そんな女の度胸を見せられては、ウィルとしても引き下がれない。
 膣の入り口でつるつると滑りそうになりながらしっかりと固定して、腰を前に押し出す。

(…………!?)

 ウィルは思わず歯を食いしばった。尋常ではない締め付けである。

「……きっ、きっうう」

 ウィルは目を丸くしてそう言った。
 名器だとか、そういうレベルではない。力の限り手で握りしめたような強烈な締め付けである。
 このまま強制的に射精させられそうになって、ウィルの女の尻を掴んだ手をぶるぶると震わせながら耐えた。

「……い、痛い、いたいい。死ぬほど痛い……ぜえっぜえっ……き、きついわね……」

 レベッカは肩で呼吸をしている。

(ううっ、ぼくのほうも痛いよっ)

 気持ち良いというよりも、ただひたすら痛い。
 ウィルはなおも腰を押しつける。
 男根を押しつけているのに、性器は処女膜に入り口をふさがれるように大きく撓んでしまっている。

「ほらっ。股の力を抜いて! レベッカはぼくに入れさせないつもりなの?」

 ウィルのほうもムキになっていた。

「そ、そんなことを言われても。痛いって、し、死ぬう」

 よほど苦しいのかレベッカは白い肌を赤く紅潮させて、全身をぷるぷると震わせている。

「あ、き、ら、め、ろ……!」

 終いにはウィルは顔を真っ赤にしながら、ぐりぐりと腰を左右に押しつける。

「あいたた!? とっくに諦めてるわよ!? さっさと破りなさい! このふにゃちんっ!」

 レベッカは服従したことも忘れ、下品に怒鳴り返した。

「言ったなあ。後悔させてやるぞお」
「後悔なんて誰がするものかっ!」

 女性器と男性器が、お互いの意地と意地を張り合うように、ぷるぷると震えながら強烈に押しつけられ合う。
 女性器は十分すぎるほど濡れそぼっている。男性器は処女膜を破るのに相応ふさわしい硬度と長さを保っている。
 女はピアノでも引くように爪で机を引っ掻き、反らした背とその体重を支えている。
 一方、男のほうはつま先立ちになり、白い女のお尻を掴んだまま、海老ぞりになって、顎のこぶを震わせている。
 二人が力尽きかける寸前で、ぶちっと大きな音を体内に感じた。
 その瞬間、さえぎるものの無くなった男根は、勢いよく女のちつない深くに吸い込まれていく。

「痛ったあああ」

 レベッカが絶叫した。
 女の尻と男の腰先が根元まで深く接合される。
 一方、ウィルにとっては痛いだけだった刺激が、急に強弱のあるなめらかな物へと変わる。
 そして、ぬめりと前に進む感覚が良い。
 亀頭が複雑な膣内をいっきに突き進む。女のひだの一つ一つまで十分に湿っており、それが男性器を次々に包み上げ、さらにつぎのひだへと受け渡されていく。
 そして亀頭の先端が、女の子宮の入り口とせっぷんを交わす。まるでウィルのためにあつらえたような膣であった。
 抵抗が大きかった分だけ、すさまじい達成感がある。
 それと同時に、ウィルの下半身の先端が熱い液体に包まれる。愛液よりも熱い。
 ダムが決壊したように一気に注ぎ込まれている。血である。
 レベッカの女性器は多量の血で溢れていた。
 女が苦痛で身を震わせると、それが最後のダメ押しとばかりにウィルの男根を柔らかく刺激した。

(あ……あ……いくっ)

 ぞくぞくとウィルの背筋が震える。つま先が絨毯を掴む。あごがぶるぶると震える。
 その瞬間、ウィルは血と愛液のため池のなかに、どくどくと精を注ぎ込んでいた。
 自身の袋が何度も収縮しているのを感じる。
 竿さおさきへと脈動するように精を送り込む。一発一発の濃い射精が長くゆったりと続く。

「……はああ」

 ウィルが下半身に溜まっていたものを出し切って、身体の力を抜いたとき、ウィルはレベッカの脚を見てぎょっとした。
 レベッカの白い太ももからつま先にかけて、螺旋のように幾筋もの血の流れを作っており、凄惨な見た目になっていた。尋常な出血量ではない。


(や、やりすぎた……)

 ウィルは流石に後悔するしかない。

「す、すぐに抜くからね……」

 ウィルが抜こうとするまえに、レベッカがぎゅんと後ろを振り向いた。
 レベッカは額に汗でびっしょりにして、シャワーでも浴びたかのように金髪を肌に張りつけていた。

「……わだじ、契約ずるんだから。契約ずるんだからね」

 レベッカがウィルと繋がっている接合部を指でなぞると、指にはしたたるように破瓜の血がついていた。それを後ろのウィルに見せつける。
 ウィルの男根を繋げた女の下腹部はほとんど血だまりである。
 レベッカは、震える手で机の上の羊皮紙に、親指と人差し指と中指で血判を押した。
 この三本は金勘定に不可欠な指とされており、今では血でサインをするようなことはほとんどないが、これが一番厳正な契約履行への誓いとなるのだ。

「契約しだよ。もう返品でぎないんだがらね」

 下唇をゆがませ、涙をぽろぽろ流し、レベッカは血で濡れた指でウィルを指差した。
 そして、そのままぷつりと人形の糸でも切れるかのように身体の力を失ったのである。

「わ、あっ! 危ない!」

 机に頭をぶつけそうになったレベッカの上半身を、いつのまにか近くに来ていたトリスが横から抱きあげた。

「た、助かった。トリス」

 ウィルは、女の上半身をレベッカに預けたまま、慎重に男根を引き抜く。
 性器にはべっとりと大量の赤い血が絡まっていた。

「うわあ。こんな大変なことになるとは思っていなかった。だ、大丈夫だよね? トリス」

 ウィルがそう心配そうに問いかけた。

「ええ。命には別状はありません。おそらくレベッカ様は処女膜強靱症でしょう」

 トリスがそう答えた。

「え? なにそれ?」
「何千人、何万人に一人か分かりませんが、ときおりこのように処女膜が異常に厚く破瓜に苦労する女性もいるようです。失礼して、少し調べさせていただきます」

 トリスはそう言うなり、血でぬかるんだレベッカの女性器を左右に広げ、膣の内部をじっくりと観察しはじめた。
 使用人の応急手当は女中長の職分である。
 なんというか、レベッカの局部は血の惨劇という感じである。その血に、ウィルの放った大量の精が白い筋のように浮かんでいるのだ。
 女中長は、細い二本の指を奥まで差し入れ、もぞもぞと動かした。

「トリス?」

 そして、何かを引っ張り出した。
 女中長はウィルの眼前に、親指の先くらいの大きさの、桃色のベーコンのようなものを手の平に載せて差し出してきた。

「処女膜です。人によってはここまで分厚くなるようです」

 このようなものをこそぎ取ったのでは痛いで済むわけがない。ウィルはあっけに取られるしかなかった。

「すみません。途中から気がついていたのですが、大事な局面だったので黙っていました。可能ならば無粋な鋏などではなく、ご主人様の男根で破られたほうが良いに決まっていますから。すばらしい破瓜でした。レベッカ様。いえ、レベッカは今後、女中として末永くご主人様に尽くしてくれることでしょう」

 トリスはそう言ったのだ。
 その後、トリスはリサ・サリとともにレベッカを寝室へと運び、寝かしてやった。
 二週間はレベッカとの性交をおひかえください。そうトリスに言われてしまった。
 ウィルは執務室の椅子に座って股間を押さえながら、

「もう一回くらいしたかったなあ」

 そう呟いたのであった。

「処女って面倒なんだよな……」

 ついにウィルはそんなことまで言いはじめた。
 たしかにレベッカの破瓜の大変さは極めつけだったかもしれない。

(なんていうか、もう少しこう、ガンガンと腰を振れないと満足できないんだよ)

 なにせ一突きしただけで達してしまったのである。レベッカの身体のことを考えると最良の結果であったが、まだ物足りないのである。
 そのとき、こんこんと執務室のドアがノックされた。

「だれっ?」

 ウィルは珍しくそう訊ねた。いつもは来るもの拒まずである。

「フ、フローラです」
「入って。入って!」

 ウィルは、そう言ってせかした。
 巻き毛の女性がドアを開けて部屋に入る。
 そしてどこかレベッカの姉妹のような雰囲気のある女は、少し戸惑いがちに口を開いた。

「あの、ご主人様、チルガハン侯爵家より奥方様がいらっしゃいました」
「チルガハン夫人?」

 同じ王兄派なので、チルガハン家とはそれなりに親しいあいだがらにある。
 だが通常、チルガハン侯爵家のような大貴族が前触れもなしに他の貴族家の屋敷を訪れることはない。

「はい。だれも使用人が付き添っておりません。赤ん坊を一人連れていらっしゃいます。ミルクが必要かもしれませんし、赤ん坊のお世話が上手と言っていたので、とりあえずケーネさんにおそばにつくようお願いしております」

 ますます訳が分からない。
 訪れるにしても、マルク領の屋敷ではなく王都の父親の元だろう。ウィル自身はほとんど貴族付き合いなどしていないのだから。

(あれ……まてよ)

 ムーア家の精算手続きを進めているときに、その名前を見た覚えがあった。

「ええっと、たしかチルガハン夫人と言ったら」

 ウィルはそう訊ねると、

「はい。レベッカ様のお姉様です」

 フローラはそう答えたのであった。


◇ 屋敷の女性一覧 ◇
女中長   1人 (トリス◎)
蒸留室女中 2人 (リサ◎・サリ◎)
洗濯女中  6人 (第一:ジュディス◎)
         (第二:イグチナ◎・ブリタニー◎・シャーミア◎)
         (第三:アーニー◎・レミア◎)
料理人   1人 (リッタ◎)
調理女中  3人 (第一:ジューチカ)
         (第二:エカチェリーナ・フレデリカ)
皿洗い女中 2人 (ニーナ・ルノア)
酪農女中  3人 (ケーネ)
客間女中  1人 (フローラ◎)
家政女中  1人 (ヘンリエッタ)
雑役女中  8人
側付き女中 3人 (ソフィア△・マイヤ◎・レベッカ◎)
    計31人
お手つき 13人 (済み◎、途中△)




第三十九話「破瓜契約」へのコメント:
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