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第二十七話「処女証明書」

 ロムナはマルク領のお膝元の町である。
 屋敷のある小高い丘を下りると町が見えた。
 町はぐるりと城壁によって囲まれているが、屋敷は城壁から少し離れた丘にぽつりとある。
 これでも王都と同じ設計思想で築かれた本拠地らしい。ぐるりと町が屋敷を取り囲み街へと変わるのを先祖は望んでいたらしい。
 王都なら王宮を取り囲むように街が栄えているそうだ。
 馬車を小半刻も走らせるとロムナの街に辿り着いた。
 ロムナは小さな町で、日用品や雑貨類を仕入れるのには困らないが、貴族の好むような高級品には事欠く。
 どうしても欲しければ商人を使って遠方より買い求めるか、マルク家の乳製品のように自前で用立てなければならない。
 伯爵はそんなロムナの町を嫌ってか、もう十年も領地に戻っていない。
 ウィルとフローラは連れだって町の中央にある教会の門をくぐった。
 噂に聞く王都の大聖堂とは比べるべくもないだろうが、マルク家の後援を受けて、それなりに立派な門構えをしているように思える。
 そして、けいけんなフローラが膝をついた先に立っているのが、杖でようやく身体を支えている、山羊のような目をした白髪の老人であった。
 少し惚けてきた気もするが、このよぼよぼした老人が町の司祭プリーストであった。

「し、司祭さまが、わたしが清らかな処女であることを証明していただけるのですね?」

 金髪の女が身を震わせた。
 老人はマルク領の教区の責任者であり、教会のなかでもそれなりに地位は高い。
 いまから、そんな司祭のまえで女の股ぐらをさらすと思っているのだから、緊張もするだろう。
 だが、老人は憮然として、

「……そんなことはわしゃ知らん。どうせこの老眼じゃ細かい判別はできん。言われた書類にサインをするだけじゃよ」

 そう言い放ったのだ。

「は?」

 フローラはぽかんと口を開けた。
 ウィルはまだ十分使えそうな教会の白い壁を見上げながら、

「司祭様、教会の壁のしっくいがだいぶん剥がれていますね」

 そう呟くと、司祭は一転してとてもうれしそうに、「そうじゃのうそうじゃのう」と白い顎髭を震わせた。

「修復するのにどのくらいかかりますかね?」
「十万ドラクマもあれば足りるじゃろ」

 気がついている様子はなかったが、フローラに関する全ての話がこれで終わったのだ。
 この老人の興味は酒だけで、あっちのほうは枯れ果てたか、それとも同性愛者なのか不明だが、女に執着しないのはウィルにとって大変都合が良かった。

「ところで先日、お話をしていた領民の説得の件はどのくらい経費がかかりますか?」

 ここに来た目的はもう一つある。
 農地の区画整備をするにあたって、引越を拒む領民には、教会から脅しをかけてもらうはずとなっていた。
 神秘主義的な性格の強い東の教会では、このように教会が領主の統治を手助けすることもある。

「わしゃ、足腰が弱くなった。そんなに遠くには行きとおない」
「なら、羊皮紙にサインをしていただければ、あとはこちらで全部やります」

 ここまではマイヤにやらせた下交渉通りである。

「むう、そうか。最近手が震えてのう。うまく書けんかもしれん。さっきのと合わせて五十万ドラクマはかかるのう」

 老人は下交渉の倍の金額をふっかけてきた。

「そりゃ高い」

 ウィルはあきれるように嘆息した。

「まかりませんか?」
「まからんの」

 白髪の山羊頭は、紙でも食べそうな口を真一文字に閉じて、ぶるるっと首を振った。

「なら、もう帰ろうフローラ。ここに用はない」

 そうウィルは言って、フローラの肩に手をまわして、出口のほうへとくるりと身体を反転させると、

「な、なんじゃと! 教会を敵に回す気か、このバチあたりめが」

 老人が二本の足でしっかり立って、そうののしってきたのだ。杖は頭の上に高々と掲げられている。
 フローラは、「えっ? えっ!?」とウィルの顔と司祭の足を交互に見比べている。
 ウィルは後ろを振り向きながら、

「司祭様は王都の酒屋に十五万ドラクマのツケがありますね」

 そう言うと、老人は顎を大きく落とし、数本しか残ってない歯をあらわにした。
 酒屋といってもこの町の市民が使うような安酒の店ではない。
 一本、数千ドラクマ以上はする執事バトラーが使うような高給品をわざわざ王都から運ばせているのだ。

「ななな……どうしてそれを」

 司祭の好みそうな高級酒については上級使用人はみなそれなりに詳しい。
 教会の裏に転がっている空瓶一つで、値段と仕入れ先の見当がつくのだった。
 さらに、マイヤは教会が運営している孤児院の出身である。いかに聖職者がだらしないか内情によく通じていた。

「もし、これを教会の上層部に伝えれば……」

 ウィルがそう告げると、

「待て。わしが悪かった」

 司祭は杖を放り出し、崖を跳ねる山羊のような機敏な動きで教会の入り口を先回りしてきた。

「ひ、ひぃい」

 フローラは半ば以上悲鳴を上げている。
 老人の黒い瞳は濁っており、山羊のように扁平に潰れていて不気味である。
 この老人は、教会内の権力闘争を勝ち抜いて、伯爵領の司祭の地位に納まっているのである。
 山羊の頭をもつ悪魔のような存在と考えてもあながち間違ってはいない。

(昔は相当なやり手だったそうだけど……)

 かつて、お屋敷の地下にある礼拝堂もこの老人が出入りをしていて、父親の伯爵も随分と手を焼いたそうである。
 だが、ウィルにとって幸いなことに、目の前の司祭はもう老いさらばえてしまっているのであった。
 この老人は年をとって抑えが効かなくなったのか広場で泥酔するなど、ことあるごとに教会の権威を傷つけてきた。

「わしもほんの少しばかり業突く張りじゃったかもしれん。ツケが払えないのは困る。もう払わないと売ってくれんのじゃ。極上の神の血を飲まずして死ねるか」

 そう言って、老人は膝をつかんばりに、ぶるぶると震える手でウィルのズボンへとしがみついてきた。
 アルコール中毒の禁断症状であろう。

「合わせて二十五万ドラクマ。どうか二十五万ドラクマで手を打ってくれ」

 そう言って、司祭は哀れっぽくズボンの黒い布地を何度も引っ張る。

「二、二十万ドラクマ。ですが司祭様にはマルク家のワインを三たる進呈しましょう」

 ウィルは頭頂部の禿げた司祭を見下ろしながら返答する。できる限りへいたんに対応するように心がけていた。
 トリス曰く、司祭は相手の心の弱みを見抜くことにとても長けているそうである。老いたとはいえ油断はできない。

「ご、極上のマルクワインを三樽とな!?」

 当初進呈する酒は一樽の予定であったが、ウィルの判断で三樽に増やしたのだ。

(こりゃ、一樽ではくたばらないな……)

 ウィルはそう判断した。
 この老人はワインを神の血と呼んでいる。
 神の血に溺れて死ぬなら本望であろう。
 司祭の返事はと見下ろすと、

「……うわ汚な!」

 じゅるりと口許の涎をウィルのズボンに垂らしていたのであった。
   ‡

「百年の信仰も冷めるかのようでした……」

 フローラはベッドの上で後ろから抱きすくめられながら、そんなことを言った。
 ウィルが黒いお仕着せの上から、乳房の形を確かめるようになぞったが、抵抗する様子は全くない。

「あれ? あんまり恥ずかしがってないよね?」
「ええまあ。あれだけのことをされれば初心な女のままとはいきません。いい加減慣れますよ。あ、服脱ぎますので」

 そう言って、自身の乳房を揉むウィルの手をわりと迷いなく左右にそっと払い、自分からブラウスを脱ぎ始める。
 そのぐさに、ひとなつっこい猫の子が成長して、急に素っ気なくなってしまったような寂しさを感じた。
 フローラは黒いお仕着せのスカートも脱いで、上下の下着だけの姿になり、ベッドの上でウィルと向かい合った。
 その下着は以前ウィルがプレゼントしたものだ。

(おお……!)

 高級な下着は生地が薄いものだ。
 ショーツは金色の茂みが張り付くほど深くぬかるんでいた。

「ご指示通り、夜な夜なをしていたら、わたしはこんなにイヤらしい女になりました。ご主人様のせいですよ! 責任とっていただきますからね!」

 フローラは白い頬を紅潮させて、わざと不機嫌だと自己主張しようと、金色の眉を顰め、ぷうっと白い頬を膨らませていた。

「え。夜な夜な自慰してたの?」
「なななっ! ご主人様がしろって仰ったではないですか!?」

 フローラは半泣きになって叫んだ。

(あ、そんなこと言ったっけな……)

 言ったような気がする。

「気がつけば、洗濯ランドリー女中メイドたちまでご主人様のことをご主人様とお呼びしているし、わたしだけかと思いきや、風呂場ではご主人様から頂いた下着を見せびらかされるし……わたしはお情けをいただけずにもんもんと自分を慰める日々――」
「あー」

 まさか服を剥けば、こんな風にフローラの口からすらすらと愚痴が零れてくるとは思わなかった。
 口づけを交わすようになってから、フローラとは最後の一線を越えずに多くの女性にお手つきを繰り返してきた。積もり積もったものがあるようだ。

「あー、あれだ。フローラ。とりあえずパンツ脱いで股を開こう」
「ご主人様! 最近わたしの扱いがぞんざいになってますよ! んもうっ!」

 金髪の巻き毛の女は、理不尽に震えながら主人のほうを指差した。
 しかし、それでもフローラは素直にウィルの言葉に従いショーツを脱ぎはじめた。
 ウィルも真っ裸になる。
 フローラは不機嫌さを装いながらウキウキとウィルの服を畳みはじめる。
 たしかフローラは騎士階級の四女か五女であったと聞いている。
 そのくらいになると少し教養のある市民の家庭とあまり変わりがない。いたって家庭的なものだ。

「ねえ、ぼくのパンツ臭う?」

 金髪の女中メイドは、素っ裸のままウィルの下着に鼻筋を近づけ、くんくんと臭いを嗅いでみた。

「いいえ? べつに嫌な臭いがするとは思いませんが……」

 ウィルは体臭が薄いのである。
 そして、今度はしっかりと確かめるように、白い鼻筋を押し当てて深く息を吸い込んだ後、女は不思議そうに首を振って、金色の巻き毛をシーツの上で揺らした。
 もうウィルの男根もくわえたことのある女だ。いまさら下着の臭いを嗅ぐくらいで恥ずかしがらないのだろう。
 だが、ウィルの質問の意味が分からずきょとんとしていた。
 ウィルはただ単に、自分の下着に白い鼻を押しつけてるフローラを見てみたかったのだ。
 どうやらトリスと違って、主人の下着に情欲する趣味はないようであったが。

「でも、フローラのほうは凄いよ。向こう側が透けて見えそうだ」「や、やめてぇ! ご主人様」

 女のショーツを左右に広げるウィルに、フローラが乳房を弾ませながら掴みかかった。
 二人の男女の裸体が絡み始めると、

「あっ、あんっ……」

 やがて女のほうは悩ましげな嬌声をあげはじめる。

(まあ、こんだけ濡れてたらあいなんていらないくらいなんだけどね……)

 いまフローラは軽く股を開き、その濡れた谷間を主人の目の前に晒していた。

「あれ、今日は血がついてないんだね……」
「血……? 今日は……? なんのことですか?」
「あ、そうか……。ん。ううん。なんでもないよ」
「……?」

 ウィルの頭に思い浮かんだのは、トリスに睡眠薬を盛られ眠っている生理中のフローラの下半身だ。

「ねえ。フローラ、教会でもらってきた処女証明書には日付が入ってないんだ」

 ウィルはのんびりとした口調でそう口にした。
 肉体的には精力があふれんばかりで、男根も逞しく膨らんでいるが、精神的には余裕で満ちあふれていた。

「ぼくは、いつだって誰にだってフローラが処女であることを証明してあげられるんだからね。これでフローラは誰に恥じることもなく、いつまでも清らかな乙女のままなんだ」

 合わさる肌の下からフローラが、ウィルの態度を頼もしそうに見守っている。
 結婚まで処女を守ると神に誓った娘が、自身の太ももに触れあう男根の鼓動にうっとりと目を細めているのであった。
 フローラは幸せそうに目を閉じた。

「わたしの身も心もすべてご主人様のものです」
(以前トリスは、女を征服するには外堀も内堀も全て埋めてしまえばよいと言っていたね……)

 女の堀という堀を埋め尽くしたウィルが次に考えることは、支配の固定化である。

「ねえ、フローラは侍女レディースメイドになりたいって言ってたけど、フローラは信仰心が強いから教会に入って司祭を目指すのもいいかもしれないね」
「え、わたしが司祭に!? まさか。ご冗談を……」

 くすくすと笑いながら、ウィルの薄い胸板の上に頬ずりをしてきた。
 敬虔の家庭に生まれた少女は、司祭を目指すという言葉に現実味を抱けなかったようだ。

「もちろん、すぐには難しいよ。最初は見習いからになるけれど」
「あら、わたしが教会の見習いですか? それなら良いか、も……? あれ、ということは、さきほどの司祭様にわたし弟子入りすることに……」

 フローラはどう判断したものかと首を振っている。

(とにかくフローラには、侍女から目先を変えてもらわないといけないんだよね)

 ウィルはそう思っていた。
 侍女というのは、ギュンガスの勤めている従者ヴァレットという職位の女版である。
 ウィルの側近には頭の切れる女を置いておきたい。少々気立てが良かったりする程度ではダメなのである。
 あとは、ウィルの将来の奥方の侍女として仕える可能性が残るものの、

(そうすると、ややこしくなりそうなんだよな……)

 令息はこっそり心の中で嘆息した。
 ウィルは自分より年上の女の金色の頭を、子どもで扱うようにゆっくりでる。

「将来の話だよ。だって急にフローラが客間パーラー女中メイドでなくなったら困るもの」
「ふふ。それはそうですね」

 すると、フローラはくすぐったそうに笑った。

「せっかく屋敷の地下には立派な礼拝堂もあるのだから、だれかあそこを信頼できる人間に任せたいんだよね」

 屋敷の礼拝堂はときどき女中が祈っているくらいで、あまり有効利用されていない。

「礼拝堂の懺悔室でほかの女中の悩みを聞いてあげる自分の姿を想像してごらん」
「素敵ですねえ」

 素っ裸に剥かれた女は、うっとりと肌の下でそう言った。

「もしぼくが教会に推薦すればフローラも屋敷の礼拝堂付きのシスターになれるよ」
「ええっ! わ、わたしが本当に迷える子羊を救済することができるのでしょうか?」

 フローラは急に森が開けて明るい日差しが射したかのように、ぱあっと明るい顔をした。

「でも、そのためにはほかの女中の悩みごとをきいてあげられるくらいの広い心を持たなければいけないよ?」
「はい! わたし頑張ります!」

 要するにウィルは、礼拝堂で自分の女の心のケアをさせるが一々しっしてくるなと言っているのである。
 フローラはひどい話を押しつけられていることにすら気がつかず、青年にまだ満たない年下の男にいいように言いくるめているのだ。

「とにかく教会に入って修道女シスターとなって司祭を目指す選択肢もあることを覚えておいて。たとえばご両親から結婚を勧められた場合とかね」

 さりげなく付けくわえた言葉が、ウィルにとって一番重要な意味をもつ。
 司祭は独身でなければならない。修道女であっても世間に対してめんぼくが立つ。
 ウィルはもうフローラを一生逃がすつもりがなかった。
 女の人生のレールを好きなようにねじ曲げてしまうつもりである。
 これでようやく、ようやく――全ての段取りが整え終わったはずである。
 そう思った矢先にフローラが口を開いた。

「あ、あの! 気のせいかご主人様への愛情が高まるごとに、神様から遠くなっている気がするのですが、これで本当にいいのでしょうか!」
「…………うーん、難しいことは、一回済ませてから考えようよ」
「……そうですね。わたしももう我慢できませんし」

 かなり本質的な質問であったが、何事もなかったかのようにウィルは流し、かつて敬虔だった女信徒も主人の言葉にあっさりと同意を示したのである。

「さあ、お預けはもう無しだ」

 ウィルは、フローラのピンク色の綺麗な割れ目に男根を押し当てる。
 ちゅぷりと先端同士が触れあった。
 にゅるりととうの先端が少し埋まる感触に、フローラは白いつま先を震わせた。
 柔らかい白い太ももがしっとりと汗に濡れながらウィルの腰に絡まる。
 にゅるり亀頭が埋まり、男根の先端がぷるぷると何かと釣り合う。

「……あ、い、痛っ……!」

 そのまま腰を押し出すと、ぶちぶちと女を支配する音が身体の中に聞こえた。フローラはシーツを握りしめて身体を弓のように反らしている。
 さあ、もう何の遠慮もいらない。
 城門を突き破った後は、女の秘めた最深奥まで一直線だ。
 女の身体は支配者をいつだって柔らかく迎え入れる。
 女の身体に支配の証を刻みこめ。
 女の城を自分好みに作り替えてしまえ。
 あのカーテンはどけろ。あの絵を変えろ。
 全ては支配者様の思うままだ。

「い、痛っ。ご主人様。やめないで。続けてください! お願いです! 好きです。好きです。好きです。愛しています。好きです。好きです。……」

 フローラは、延々と痛みと快楽が混ざり合うなか、延々とウィルの耳元で呟き続けている。
 まだ青い性が、みずみずしく実った果実を食い荒らす。
 思う存分、の苦痛で苦しむフローラの白いたいに腰をぶつけ、溜めこんだえつを解き放つ。
 ウィルは射精のリズムに合わせるように、女の身体の上で哄笑を上げていたのだ。
 いまフローラは、自身の血の絡まった男根を舌で掃除するよう命じられていた。

「血の味がする?」

 巻き毛の女は黙って頷いた。頭には男の手が載せられている。
 血と精の汚れを亀頭の溝に舌をすべらせてこそぎとる。
 教会が清らかだと認めた乙女フローラは失ったなにかを穴埋めするかのように、一層ウィルの言葉に従順に従った。

「ところで、フローラってヘンリエッタと友達だって聞いたけど?」

 ウィルがそうたずねると、ちゅぽんと男根から唇を離し、フローラは頷いた。
 蓑虫のように布切れに身を包んだヘンリエッタと、フローラが十字を切り合う姿を見かけたことがある。

「ええ。お互い信仰心に強い家庭に生まれましたから、ヘンリエッタとは相通じるものがありまして。はむっ」

 ヘンリエッタとは、生まれつき色素がほとんどない白子アルビノ家政ハウス女中メイドのことである。
 マイヤは美人だと言っていたが、いつも布で顔をおおい隠しているため、実はまだまともに顔を見たことがない。

「咥えさせながらだと話しにくいか。フローラ。今度は後ろかられてあげるから四つんいになって。……うん、そうそう、そんな感じ。股はもっと開いてくれたほうがいいね」

 ウィルは、フローラの白い尻の谷間を左右に広げ、ちゅぷりと男根を沈ませる。

「痛い?」

 フローラは健気に金髪の巻き毛を左右に振る。

「少しくらい痛くてもフローラなら大丈夫だよね?」

 さきほど破瓜を済ませたばかりである。
 完全に女の身も心も征圧して、逃げられないように雁字搦めいした後だと、つい道具扱いしてみたくなるものなのだ。

「ヘンリエッタはあのままだと可哀想だからね。伯爵から髪と肌を隠すように命ぜられてるし、朝の三時には起きて、夕食後にはすぐに次の日のために寝ないといけない」

 話をしながら、にゅっにゅっとゆっくりとフローラのなかで腰を振る。
 当然、女はまだ痛いであろう。
 実のところ、女の中に先端を埋めながら話をする必然性もないが、自身の快楽と女の苦痛をてんびんにかけて、自身の快楽のほうを優先させただけだ。

「しかもしゃべるなと命令されているから、失語症にかかった患者のようにもう何日も人とまともに話をしていない暮らしが続いているんだよね」

 女の尻に向かって腰を振りながら、語りかける話題はべつの女の話なのであった。
 だが女は、さきほどウィルに教会の見習いに勧誘され、心を広く持たなければと諭されたばかりであった。

「……ヘ、ヘンリエッタをお救いいただけるのですか……?」

 痛みのためか、息も絶え絶えにフローラがそう問いかけてきた。

「ぼくは、顔を見せないように言った伯爵の命令を撤回させることはできないんだ」
「そ、それはそう……ですよね……ああんっ」

 この女は他人に同情しながら、性の快楽にあえいでいるのだ。
 フローラはかなしそうに喘ぎ、背中から垂れ落ちる巻き毛の金髪が、ときおり流れの方向を変える。

「でも悪いようにしないことを約束する。だから今度ヘンリエッタをお風呂場に連れてきてよ。お風呂場なら顔を見せてもおかしくないでしょ。ヘンリエッタとゆっくり腹を割って話がしたいんだ」

 悪いようにしないというのは嘘ではないが、あくまでウィルの主観であった。
 ウィルは、腹を割るだけでなく、当然、いまこうしてフローラにしているように、まだ顔もよく見ていない白子の女の尻の谷間を割るつもりであった。
 フローラの返事は聞くまでもない。
 だからウィルは、女の返事も待たず、射精に導くために白い尻を後ろから激しく突き込み始めたのだ。
 経験の浅い成熟した白い性のなかを、経験豊富な未熟な青い性がひたすら抉り続ける。
 円である。
 女の尻を単純に突き込むのではなく、弱い部分を探すようにくゆらせ始めた。
 いま自分がぶつけている尻のように全ては丸く繋がっている。
 宗教を起点として生まれた女ならば宗教に回帰させてしまえばよい。
 すると、フローラという女の人生のレールは、ウィルの男性器の周りをくるくると螺旋のように回り続ける。

「あんっ! あっ! あんっ! 分かりました! 分かりました! すべては、すべては、ご主人様の御心のままに……!」

 女はいつ意識を失ったかも分からない。
 女はいつから痛みより快楽が大きくなったかも分からない。いつからか、痛みも快楽の一部であったのかもしれない。


◇ 屋敷の女性一覧 ◇
女中長   1人 (トリス◎)
蒸留室女中 2人 (リサ◎・サリ◎)
洗濯女中  6人 (第一:ジュディス◎)
         (第二:イグチナ◎・ブリタニー◎・シャーミア◎)
         (第三:アーニー◎・レミア◎)
料理人   1人 (リッタ◎)
調理女中  3人 (ジューチカ)
皿洗い女中 2人 (ニーナ・ルノア)
酪農女中  3人 (ケーネ)
客間女中  1人 (フローラ◎)
家政女中 12人 (ヘンリエッタ)
雑役女中  8人
側付き女中 2人 (ソフィア△・マイヤ◎)
    計41人
お手つき 12人 (済み◎、途中△)




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