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第二十一話「赤毛の洗濯女中の夜伽」

 ノックはしない。
 寄り道をしたものの、ウィルは、きいっと本来の目的の扉を開けた。

 室内をうかがうと、ベッドの上にはやわらかい膨らみが横たわっていた。
 昼食時に、ウィルを罵倒した、渦中の第一洗濯ランドリー女中メイドである。
 騒ぎを起こしたことを考慮して、ジュディスだけが別室に寝かされていた。女はきんしん中のような扱いで、あまり使用されていない空き部屋が宛てられたのだ。
 ここは昼過ぎにリッタを抱いたのと同じ例の衣装部屋であった。

 ウィルはそっと扉を閉めた。これで部屋からは音がれることはない。
 壁には箪笥が並び、収納された衣服が音を吸収するのか、ほとんど外部に漏れ伝わることはないと、リサ・サリが言っていた。
 つまり、ここで何をしようが外部に聞かれる心配は無いのだ――
 ウィルは懐から懐中時計を取りだして、時間を確認した。

 ウィルがベッドの横から見下ろすが、ジュディスは寝息を立てていた。
 ふわりと掛け布を掴み上げた。
 ――すると、そこには上下の白い下着のうえに薄いスリップだけを身につけた労働階級の女がいた。
 ジュディスの歳のころは二十代の半ばを少し過ぎたあたりである。
 女は、長い赤髪を後ろ頭の左右に二ヶ所縛っている。
 マイヤの燃えるような赤毛と違って、ジュディスのものは淡い色合いだった。
 スリップからはみ出した脚は、床をふんばって働くのに過不足ない丈夫な形をしていた。機能的な力強い美しさがある。
 尻はぷりっと大きい。体格が大きいこともあるが、おそらく屋敷で一番大きな尻だろう。
 マルク家には、極端に太った女中は雇われていない。いわゆる、でっぷりとしたたるのような女中は一人もいない。
 つまりこの屋敷で大きな尻をしているということは、それなりに魅力的な体型の持ち主だということだ。
 それを裏付けるようにウエストラインはきゅっと締まっている。

 ウィルはジュディスの腕を掴んで、身体を仰向けに開かせた。女はすがままである。
 スリップを捲ると、やわらかく割れた腹筋が見えた。
 筋肉質というよりは、男をきゅっと締め付けてくれそうな、絡みつくような力強さを感じる。
 スリップを綿の白い胸あての大きな起伏が押し上げている。トリスと同じくらいの大きさはあるだろう。
 綿の生地を乳首と分かる突起が押し上げていた。
 刺繍の入った繊細なレースの下着もよいが、綿の下着からは古女房のような生活感がただよっていた。
 ウィルも服を脱いだ。

 そのまま綿で包まれた胸の谷間に顔を埋めるように、女の上に覆いかぶさった。
 人肌の柔らさと、温かさを感じる。
 トリスよりも骨格がしっかりとしている。上から腰を振るのに都合の良い安定感があった。
 擦れあう太ももは寝汗で湿って、張りつくように柔らかく、しっかりとした力強さを感じた。
 ほのかに洗濯女中特有のお日様の匂いがする。それをくんくんと嗅ぎながら、顔をたっぷりとした胸の谷間に埋める。

 ――ジュディスはここまでやっても起きる気配がなかった。
 それもそのはずで、今夜は眠れそうにないとぼやく赤毛の大柄な女性に、サリが睡眠薬を渡したからである。
 即効性の睡眠薬である。
 薬の効き目からして、あと一時間はどうやっても起きないであろう。
 アーニーがつけたジュディスの軍曹という渾名は、本質を鋭く突いているとウィルは思っていた。
 今回の一件は、下士官とはいえ現場で力をもつ軍曹と、赴任したばかりの新官少尉が対立するような、ある種の起こりうるべくして起こった衝突であろう。
 下級使用人とはいえ、現場で力をもつ第一洗濯女中のジュディスは、次期当主として自信をつけはじめたウィルに反抗をした。
 じとっと首筋の汗がシャツの襟元に染みこんだ。
 もしジュディスを失えば、他の何人もの洗濯女中たちを失うだろう。
 代わりが見つかるまで、ウィルは襟元の汚れたシャツのまま過ごす不快感を我慢しなければならない。
 影響はほかにも波及するだろう。
 屋敷はこれから内覧会オープンハウスの準備で忙しくなるが、いまの時期に洗濯女中を失えば、屋敷の運営に間違いなく支障が出る。
 女中たちは、洗濯女中をごっそり失ったウィルの力量に不信感を抱くだろう。
 そして、そんな女中たちに運営された屋敷を見学して、客は失望感を抱くのだ。
 こんな具合に、洗濯女中とのさいな口論をきっかけにして、マルク家の権威に傷が付くかもしれない事態に直面している。
 これは戦いであった――
 ジュディスを屈服させて、洗濯女中たちを掌握するか、それとも、ジュディスにびを入れて洗濯女中たちを増長させたまま働き続けてもらうか。
 このどちらかの選択肢しかない。
 どちらが勝つか負けるか、はっきり白黒をつける必要があった。
 一番理想的なのは、ジュディスを手籠めにして、なんでも言うことを聞かせられる関係を築いてしまうことだ。
 だが、しかし、リッタのように淫乱の気のある女性と違って、ジュディスを屈服させるのはひどく骨が折れると思われた。
 ジュディスは自分よりも性的に熟練した格上の女性であろう。さらに気も強い。
 生半可なことでは自分に心服しないことは容易に予想がついた。
 ウィルはそれでも、どうしてもジュディスを手籠めにしたかった。
 ――ならば小細工を弄するしかない。
 実は、昼の時点でもう、ウィルはジュディスを薬で眠らせると決めていたのだ。
 サリの渡した睡眠薬はウィルの指示による。
 ウィルは、以前、トリスがフローラに使った手管を迷うことなく採用した。
 このあたり、腐っても支配側の人間である。
 いまウィルは、両手でジュディスの白い綿生地で包まれた乳房を思う存分に揉みほぐしていた。

「ん……」と軽く、ジュディスが身じろぎする。

 この女を従えるには、まず、この身体を徹底的に学ぶ必要がある。
 いつも余裕たっぷりに勝ち気の笑みを張りつかせていたその唇は、いま目の前で無防備にかんしている。
 一方、眉は眠っていても気が強そうに引き締められている。鼻筋は優雅である。
 寝ていてもどこか強気なところのある女の寝顔に、一瞬ちゅうちょしたが、えいっとウィルは寝ているジュディスの唇を吸った。
 時間は限られているのだ。迷っている時間がもったいない。
 女の唇は、そのイメージと違って意外に肉薄だったが、絡みつく濃厚な粘膜の質感があった。
 ウィルは、ジュディスのおでこを指で押さえ、顎に反対の手の指を置いて上下に口を開かせると、健康的な白い歯が見えた。
 そこに、上からだらりと唾液を垂らした。
 ウィルが指が、女の喉を軽く押さえると、ジュディスは眉を軽くひそめ、ごくっと唾液を飲み込んだ。
 さらい一本一本、歯茎をねぶっていくと、ぴくぴくと女の身体が震えた。
 白い綿の胸当てを剥ぎ取る。大きな下着である。
 大きな下着を剥ぎ取ると、当然、大きな乳房がぷるんと目の前に零れる。
 乳首は、いかにも吸いつきやすそうな実用的な形をしていた。
 衣装室なので鏡も大きい。
 ウィルはベッドのまえの鏡のうえにジュディスの下着を掛けておいた。
 左の乳房を手の平全体で掴み、親指と人差し指でくりくりと眠っているジュディスの乳首を刺激した。
 そうすると、ジュディスはぴくぴくと眉を震わせ、少し鼻息が荒くなった。
 効き目の短い睡眠薬なせいか眠っていてもきちんと快楽に反応をするようであった。
 そのまま反対側の乳首をじゅるじゅると吸う。
 乳首のまわりを、くるくるとウィルの舌がそよぐ。
 ふと視線をあげると鏡の向こうには、二つの大きな白い山の頂点をじゅうりんされて、ウィルのものと思われるよだれを口の端から垂らしながら、悩ましげに眉をハの字にゆがめる女の姿が映っていた。
 ウィルがもごもごと口全体で乳房を吸い上げると、山の形がぷるぷると変わる。
 そして乳房から顔を離したときには、二つの乳首は硬く天井に向かって起立し、窓から差し込む月明かりに濡れて光っていた。
 ウィルは、ジュディスの大きなお尻から、ぬちゃっと湿るショーツを引き抜いた。

「え、湿ってる?」

 ショーツは濡れて、明らかに重くなっている。
 ジュディスの赤い炎のように奔放な陰毛の下に女性器が見える。そこは、ほかほかと湯気を上げていた。
 それは、一度結婚生活を経験し、正しく何度も使用され、快楽を味わった大人の女性器であった。
 幼少時に、洗濯場に遊びに行ったとき、ジュディスがある言葉を口にしていた。
 幼いころには意味の分からなかった言葉だ。

『旦那がいないからね。安息日の晩と決めてるよ。それ以下だと体がうずくし、それ以上だと虚しくなっちゃうからね』

 今日はその安息日であった。
 夫を亡くしてからは、そのせめてものストレスの発散として、いつも花弁を慰めていたのかもしれない。
 だが、今日はウィルと対立したショックが尾を引いていたのか、睡眠薬を飲んでしまったからなのか、うっかり慰めるのを忘れていたようである。
 さらに、リサ・サリによると、ジュディスは経血が止まってから数日ったところらしい。
 この時期に女性の性欲は増進する。
 今日のジュディスは月に一度あるかないかくらい発情しているのだ。
 ウィルは、ジュディスの履いていたショーツを両手で広げてみると、股の間のクロッチの部分がぐしょぐしょに濡れていた。
 ベッドの向こうの鏡には、少年に向けて大股を開いて眠る女性と、その白い太もものあいだでショーツを観察している少年が映っていた。
 まずは、この女の身体に慣れないといけない。ウィルは地質学者のように女の肌を点検しはじめる。
 女から僅かずつの反応を引き出す。
 乳首をめる。乳首を軽く噛む。
 うなじを舐める。うなじを軽く噛む。
 脇の下を舐める。脇の下を軽く噛む。
 背筋を舐める。背筋を軽く噛む。
 太腿を舐める。太腿を軽く噛む。
 とにかくしつように、効率良く、正確に、徹底的に――
 股間を舐める――

「おっと!」

 女の花弁に舌を突き入れていたときに、ぴくぴくと女のふとももがけいれんしかけたので、そこで唇を花弁から離す。
 しかし、決して達しさせてはいけない――
 女の劣情は本番まで大事に取っておかないといけないのだ。
 ウィルはこのあたりでいいだろうと、自身の男根をジュディスの花弁の入り口にあてた。
 赤毛の女の、白く濁った粘液が、ちゅっとウィルのとうをくちゃりと馴染ませた。
 鏡の向こうには、白い皮膚全体を桃色に上気させて股ぐらを大きく広げた女と、男根をぼっさせてそのうえに、のしかかろうとする少年の姿が見えた。
 古くも新しくもないジュディスの花弁のなかに、じゅぷりとウィルの男根が沈んでいく。
 寝ていて身体が弛緩しているためか、湯にかっているように、ゆったりと進んでいく。
 見上げる乳房の山の先で、ジュディスは呼吸を早くしていた。
 早く突いたりはしない。
 達しさせることが目的ではないからだ――
 ちつないを突く姿勢をいろいろと変えて、ジュディスの弱い角度を探っていく。
 ほんの少しだけずつ角度を変えて突いていく。
 しゅるっしゅるっしゅるっとベッドが小刻みに軽く揺れる。
 泥棒が金庫を空けるかのように、じりじりと繊細で微弱な反応を繰り返していく。
 そのとき――急に女が寝返りをうった。
 ウィルもれたまま一緒に背後に回って、少し深めに腰を軽く振ったとき、突然――女の反応が変わった。

「……ぁんた。もっとぉ……」

 そう呟いて赤毛の女が髪を振り乱しながら自分から腰を振り始めたのである。
 延々と続く、淡い刺激に、じれったくなったかのようであった。
 後ろから回された両手にふれる女の腹筋がぎゅっと、ぎゅっと絞られている。
 それと同時に強烈に膣内が締め上げられる。

(き、きつ!)

 強烈な締めつけが襲ってきた。ウィルの背筋を強烈な快楽が駆け上る。
 女の白いふともも――毎日、重い洗濯篭を軽々と持ち上げて、床を踏ん張る女の白いふとももにぎゅっと力が籠められる。
 そうすると、ウィルの男根を締める刺激は何重にも複雑さを増した。
 女は後ろから突かれている体勢で器用に腰を前後にくゆらせた。
 明らかにウィル自身よりも、女のほうが遙かに性に熟練している。

(や、やばッ――)

 ウィルは歯を食いしばる。
 膣内がぐにゅぐにゅと脈動する。
 あやうくそのまま持ってかれるところを、かろうじて自身の太ももに爪を突き立てて、なんとか堪えた。
 ウィルは、押さえている女の腰から後ろにひっくりかえるようにして、にゅぷっと一際大きな音を立てて引き抜いた。
 宙に、跳ねた男根がぴゅっとアーチをかけるように愛液のしずくを飛ばす。

「あ、あぶなかったァ」

 ウィルは肩で息をしながら、そう呟いた。
 明らかに一対一の手合わせなら、なすすべもなかっただろう。
 そして、「ウイル坊ちゃんは早かった」などと吹聴される様子がのうを過ぎった。
 後ろに両手をついて、身体を休めていると、左手になにか湿ったものが触れた。
 それは、脱がしたジュディスの湿ったショーツである。
 再び女の白いショーツを広げ、匂いを嗅いでみると、すこしだけ酸っぱい匂いがした。
 白い粘液は女性器から分泌されたおりものである――トリスに教えてもらった。
 この粘液が受精を助けるのである。
 ジュディスの身体は、妊娠するために発情しているタイミングであった。
 ウィルは引き抜いた後、女のひくひくとうごめく穴をしばらく眺めていた。
 すると、つつっと石鹸水のような白い液体がジュディスの女性器から漏れ落ちた。

(うわ……)

 これはウィルがうっかり精を漏らしたわけではない。
 精液と違って、粘着性が薄く、精液のようにとぐろをまくような濃淡がない。
 ウィルは鼻を近づけて、ジュディスの女性器の臭いを嗅いでみた。酸い濃厚な臭いがする。
 いま、ジュディスの身体は、ウィルの男根のそうにゅうを受けて、性交をより円滑にするための大量のおりものを分泌したのである。
 ジュディスは、亡き夫との間に子宝には恵まれなかったものの、この健康で頑強な肉体をもつ女が妊娠しないとはとても思えない。
 もし、さきほど我慢できなければ――

(ぼ……ぼくはこの女性をあやうくはらませてしまうところだったんだ……)


   ‡


 こんこん……。
 ウィルは、部屋の内側から衣装室の扉をノックした。
 これは女中メイドを起こす作法である。
 女中は毎朝、こうやってノックして起こして回られる。
 こんッ――!
 もう一度強めにたたくと、

「……ん? な、なにさ? もう朝なのかい」

 ジュディスは、赤髪を掻きむしりながら、頭をおこした。
 きっと眉は不機嫌そうに顰められているだろう。
 まだ夜は明けていない。
 さきほどウィルが裸に剥いた身体には、元通りに白い上下の木綿の下着の上に薄いスリップが着せられている。
 大柄な赤毛の女は、二つ束ねた後ろ髪を振って周囲を見やった。
 だが、寝惚けているのか、扉の前に立つウィルに気がつく様子はなかった。
 頭の後ろの二つの紐を指で触り、顔を顰めた。寝るときはおそらく解いているのだろう。

「うっ。すごい寝汗……。なんか身体が熱いし。モヤモヤする……」

 ジュディスが寝汗と思っているものは、ウィルの唾液であった。
 赤髪の女はくんくんとスリップの下の匂いを嗅いで、やや首を捻った。

「ジュディス!」

 ウィルは慌てて声をかけた。すぐに声をかけないと嫌な予感がしたからである。

「あら。ウィル坊ちゃん……?」

 ジュディスの声はどこかのんびりしている。まだ寝惚けているのだ。
 洗濯場にやってきたウィルに返事するときのような口調である。
 ウィルは、かつかつと歩き、近くの丸椅子にどんと腰掛けると、

「ジュディス。少し腹を割って話をしよう……」

 そう言ったのだ。
 すると女は――

「あっ」と口の前に手をあてて、色の濃い唇を大きく開いた。
 そして、

「あちゃー。夢だったら良かったのに……」

 そう小声で呟いて、両手で頭を掻きむしったのである。

「ジュディスは、ぼくに何か言うことはない?」

 ウィルは、まず最初の一撃を放った。
 少年の視線が年上のジュディスの碧い瞳を射貫く。
 月明かりの薄暗がりの中で、少年の黒茶色ダーク・ブラウンの瞳が輝く。
 ウィルは、けんの奥の弦をぴんと弾くように神経を張り巡らせる。
 あとは折るか折られるかである。
 ここまでやって駄目なら、もう折られてしまえ、そのくらいに思っていた。

「うっ……」

 少年の危うさが怖いとばかりに、ジュディスの赤い眉が僅かに震えた。
 ジュディスは下唇を広げて歯を噛みしめながら、気まずそうに自身の下着が透けるほど薄い、白いスリップの胸もとを不安そうに見下ろしていたが、やがて顎をぐっと上げた。
 いつもの自信に満ちた顔だった。くちもとに強気の笑みを湛えている。赤い唇を噛む白い歯が妙になまめかしかった。
 さらに、眉を強く引き締め、にらみ返してきた。
 さすが肉体労働系の女は、気圧されない目力がどれだけ重要か分かっている。
 だが、修羅場をくぐると人は成長するものだ――
 ウィルはトリスさえも睨みつけた経験を持つ。
 今回、非があるのは明らかにジュディスのほうで、ウィルはすぐに、赤髪の女の虚勢だと見抜いた。
 女の瞳の奥に、自責の念があることをすぐさま突き止めたのだ。
 夜更けの寝室で、男女のやっていること、それはガンの飛ばし合いだった――
 そう思うと、なんだかウィルは急におかしくなった。
 ウィルが軽く鼻息を吐いた瞬間――それを心底呆れるようなぐさと捉えたのだろうか、

「ううっ……」

 ジュディスが悔しそうに歯を食いしばって碧い瞳を反らしたのだ――
 やがて、ジュディスは少し赤切れのある両の指の先をぎゅっと握り合わせ、

「……悪かったと思ってるよ」

 ジュディスは素直になりきれない思春期の少女のように、そっぽをむいてそう言ったのだ。
 それから赤毛の女がウィルの背後に視線を送った。そこにはドアがある。

(ああ……)

 ウィルはジュディスの視線の意味を理解した。

「トリスならいないよ」

 ウィルがそう言うと、

「あ……違う違う! そういう意味ではなくてさッ!」

 赤毛の女は両の手の平を左右に振って、慌てる。
 手の平だけでなく、大きな乳房のほうも左右に潰れるように揺れていた。
 この赤毛の女中は、今日の昼間、

『はん。ウィル坊ちゃんは、トリスがいなくて何かできるのかい?』

 という暴言を吐いたのだ。

「紹介状を書いてくれるか、一応訊こうと思ったんだ。たぶん駄目だろうけど……あたいクビだろ?」

 赤髪の洗濯女中は、ウィルのほうをちらっと見やり、再び俯いた。

「屋敷内での使用人同士の仲違いは認めない。明日からリッタにきちんと食事を作らせよう。そしたら仲直りしてもらう。いいね」

 ウィルの言葉に、ジュディスは、はっと碧い瞳を見開いた。
 伯爵家のれいそくは、ジュディスを雇用し続けてもよいということを暗に仄めかしている。
 リッタはたしかに頼りないが、あれでも一応、厨房のまとめ役なのである。
 あそこまで公然と他人の仕事を非難したならば、なにか手打ちのような儀式が必要になるだろう。

「…………」

 ジュディスは天井を見上げ、ウィルの言葉をぎんするように、大柄な身体のわりには優美な下唇をもごもごと噛んだ。
 ジュディスは強気の顔を歪ませて葛藤していた。
 ウィルの目の前には、ベッドに腰掛ける女の、肩紐から垂れ下がる白いスリップが透けていた。
 薄布を、ジュディスの大きな乳房を包む下着の膨らみが押し上げている。

「……あたいがリッタに謝るのは筋が違うと思う……。あたいは自分の仕事をしっかり果たさない人間が大嫌いなんだ!」

 そういって、ぷいっと横を向いた。
 今回のようにやらかしてしまうことはあっても、ジュディスは仕事に真面目である。
 そう言うだろうと思った。

「ウィル坊ちゃんに暴言を吐いたのは謝るよ。みなの前で。トリスがいないと何もできないなんて言うのも、おかしいしね。ウィル坊ちゃんはまだ若いんだもの。マイヤは。んんー。個人的に本人に謝っておくというのでどうかな?」

 これはウィルにとって今回の問題のかなりの割合が片付いた瞬間である。
 厨房に立つ使用人のメンが傷つけられた問題に目を瞑るなら、これで納得して席を立っても良かった。
 だが、足りない。
 もはや、いまのウィルにとってはこれだけでは全然足りないのだ――
 夜も更けた。
 ウィルは、ズボンのポケットから取りだした懐中時計を月明かりの下で、のぞき込んだ。

「……それにしても。ぎもを抜かれたよ。あの気優しいウィル坊ちゃんが夜中に女の部屋に押しかけてくるなんてさ」

 ジュディスは、もう問題が解決したとばかりに、早くもウィルに親しげな表情を見せはじめた。
 多少、ムシが良すぎるような気もしないでもないが、これはジュディスの美点でもある。
 人の失敗も、こうやって水に流すのである。

「……ついでにあたいも抱いていくかい? なんてね。あはっ! こんな大柄な女、誰も抱きたがらないだろうけどさ……!」

 赤毛のジュディスは、ベッドに腰掛けたスリップの裾からはみ出た白い太ももを自分でぱんぱんと両手で叩いて、貧乏揺すりでもするように大きな乳房を揺らして豪快に笑う。
 身近で感じる女の匂いというか、豊満な白い乳房はいかにも健康そうだ。
 攻撃的な赤い唇が艶めかしい。窓から差し込む寂しげな月明かりが、唇の赤と肌の白さの対比をあらわにする。

「ジュディス。相手をしてもらうよ――」

 ウィルがジュディスの両手を掴んで上からのし掛かったのだ。

「わ、わわわ! な、なにを」

 とっさに女はねのけようとしたが、どうも下腹に力が入らないようで、

「なにって、抱かせてもらうんだよ?」

 さも当然とばかりに女の腕が左右に開かれると、大きな胸の谷間が少年の頭で押され、反動で赤い二本の髪束が宙に跳ねる。

「あッ」

 ベッドのスプリングが軋む。女は、一回り小さな体格の少年にベッドに押し倒されてしまった。
 ウィルは、さきほどまでの練習の成果を生かすかのように、ジュディスの脚を割り、腕をうえに上げさせた。
 股間の勃起を、ジュディスの木綿の下着の上に押しつけたとき、ばんざいをして悲鳴を上げるように叫んだ。

「ひっ! 認める! 認める! ウィル坊ちゃんは、トリスなんかいなくても、なんだってできるさ!?」

 ウィルはジュディスの両の乳房を揉みはじめた。

「ジュディスの言うとおり、ぼくは色気づいた坊やだからね」
「ちょ、ちょっと。それも、あたいが悪かったさ! 執念深いね。それ以上やると、いくらウィル坊ちゃんでも、ひっぱたくよ!」

 ジュディスが腕を振り上げたとき、ウィルがジュディスの股間にくちゅりと指を伸ばした。

「ひゃん!」

 布の上からでも、にちゃっという音がした。

「ち、ちからが抜ける……」

 へなへなと上げたジュディスの腕が、ウィルの背中に柔らかく落ちた。
 そしてジュディスの唇を奪った瞬間に、ジュディスの身体の芯に火が入る。
 ジュディスの身体が燃えるように火照り、熱い吐息を吐く。
 今日は、経血が止まってから数日経った性感の高まりやすい時期であり、毎週ジュディスがを行なう習慣になっている晩であった。
 この二つの周期が重なっているのである。
 くちゅくちゅとウィルの指が、ジュディスのあそこを巧みに刺激する。
 どこが感じやすいか、さきほどたっぷりと把握させてもらったのだ。
 少年の指使いには緩急はない。ただ直線的にひたすら女の弱いところを責めるだけ。

「あんッ!」

 だが、それでも女はなすすべもなく腰をびくびくと震わせている。
 それはなぜか。
 ウィルがやくを女の膣内に塗り込んだからである。
 不貞寝したトリスの部屋を去る直前のやりとりは次のとおり――

『必要なら、これを膣内に挿入してください』

 トリスが、布団の間から巾着袋のようなものをウィルに差し出してきたのだ。

『入れて一時間ほどすると発情します。耐性ができてしまうので一度しか使えません。二度目は女の身体に負担となりますので安全は保証できません』

 ジュディスの身体に仕込まれたのは、二度目が女の身体に負担になるとトリスが口にするほど強力な媚薬である。
 ジュディスは下着を脱がされ、両の乳房を吸われ、そのまま花弁に舌をわせる。
 ここまで流れるような動きであった。

「あん。だいたい、なんで! こんなに。上手、なの、よ! んん……」

 もうどこまでが薬によるもので、どこまでがウィルの性技によるものなのか分からなかった。
 赤髪のジュディスが髪を振り乱し、悲痛な声でもだえている。
 大きな尻を裏返し、四つん這いの格好にさせる。寝ているときよりもずっとやりやすかった。

「こ、こんな格好……」

 ウィルは、その大きな尻の肉たぶを両手で掴んだ。

「ひっ!」

 この膣内にはもう何度も挿入したので、手で照準を固定しなくても、ちつこうへと導くことができる。
 ぴちゃりと亀頭が半分埋まった。

「だ、だめ! ぬ、抜いてよ!」

 そのままずぶずぶと沈めていく。
 大柄の女の身体を四つん這いにさせて、それより一回り小さい少年が、後ろからがつんがつん激しく突き込みはじめる。
 鏡のなかには、ぬっちゃぬっちゃと立てる自身の音と、犯されている自分が信じられないように赤い唇を大きく開く女がいた。
 どこを刺激すると反応がより強いかは眠っているときにたっぷり確認済みである。
 角度を変えるたびに、女がべつの反応を見せるのが面白い。
 腰の動きと連動して、ジュディスの大きな胸がぷるぷると震える。
 ジュディスの二つ尻尾ツインテールの長い赤髪がばさばさと揺れる。
 いま、ウィルはジュディスを面白いように泣かせることができた。
 汗が散る。
 性交が楽しい――
 さきほど、腰を合わせたときに、危うくジュディスの膣内に射精しそうになって思い知らされた。
 がっぷり四つに正面から組み合ったら、まず負ける――
 体力はジュディスのほうが上だろう。
 精力もジュディスのほうが上だろう。
 経験もジュディスのほうが上だろう。
 性技もジュディスのほうが上だろう。

「ぼ、坊や。あ。わ、わたしにも動かさせて……」
「坊や? うるさい。黙れ」

 ジュディスが精一杯大人の女の経験を見せつけようと負けじと腰をくゆらしても、ウィルが腰の自由を拘束したえ押さえつけて、がんがんと弱いところをシンプルに突き込むのだ。
 シーツはもうぐしゃぐしゃである。
 汗だか、よく分からない滴が、宙に弾ける。ジュディスのなかはとても、ぬかるんで水っぽい。
 舟という言葉は女性名詞だが、シーツの海のなかでジュディスという舟を攻撃しているようだった。
 かつて、大陸の西の海の覇権を握った無敵艦隊が、戦力に劣る小型艦隊に沈められたように、ジュディスという女は、いま、なすすべも無くウィルの精密射撃にさらされていたのだ。
 すぱあん、すぱあんと、少年の細い腰が、屋敷で一番大きな白い尻を打ち付ける。
 ひどく単調な――それでいて女の感じるポイント目がけて、ひたすら精密に突きこむ動きであった。

「あんッ! ちょ、ちょっと一息いれよう? ね?」
「ぼくは好きにやるから、勝手に休んでていいよ」

 少年は腰を突き込みながら、無情にもそう言い放つ。

「そ、そんなァ!?」

 ウィルが後ろから弱いところだけを執拗に突き続けると、女はぴくぴくといちいち細かく達した。
 少年の性の技巧に緩急のようなものは一切ない。
 それでも媚薬の効果か、発情するタイミングだったせいか、ジュディスの身体は一々それに反応せざるをえない。
 睡眠薬を使った女の肉体の事前調査を済ませ、媚薬まで使った。しかも女は発情しやすい絶好のタイミングだった。
 地の利に加え、天の時が味方していたのだ。

「ああん。また、いくッ!」

 感じすぎた女があまりに頭を振るので、二本の尻尾のような赤く長い女の髪が、ウィルの顔をはたいた。
 それに腹が立ったのか、ついにウィルは、ジュディスの二本の髪の束を、馬のづなのように両手で掴んで、がんがんと後ろから突き込みはじめたのだ。
 もう、ジュディスは少年の青い性を受け止めきれずにアップアップしていた。
 ジュディスの勝ち気に余裕の笑みを湛えていたあの唇は、大きく開かれて、舌を虚空に突きだしていた。
 ウィルに髪を引っ張られて、その舌が角度を変える。

「ジュディス! ぼくの女になれ」
「そ、そんなこと、きゅ、急に言われても。あん。坊ちゃんと、一回りも違うんだよッ。ん……」

 木の葉のように、快楽の波に晒されながら、それでもジュディスは頑強な抵抗を見せる。
 あまりの快楽に、ジュディスは助けを求めるように、ベッドの端へと、四つん這いで繋がった体勢のままずりずりと、ウィルを引きずっていく。
 女の尻を固定し、掘削するようにガンガンと腰を振って、集中的に快楽を送り込む。

「ほら。いつでもイッていいからね。どう。もう一回いけそう?」

 ジュディスは赤毛の髪をくように頭を抱え、激しく首を左右に振って、後ろから襲ってくる快楽に耐えている。
 だがそれでもベッドから逃げだそうと、シーツを掴む指を震わせて女はふとももをずりずりと動かして藻掻いている。
 ウィルはふと馬の止め方を思い出した。
 手綱は引っ張るのではなく、強く握るものなのだ。
 ウィルは、ジュディスの赤い髪の支配の手綱をぐっと握りしめた。
 そして覆い被さるようだった腰をすっとおこし、背筋を伸ばしジュディスを見下ろす。
 すると、げんそうにジュディスはウィルを引きずるのを止めて、後ろを振り返った。
 ウィルはこのまま快楽だけでジュディスのような女を従えられるとは思っていない。
 いま、ジュディスに与えている快楽も、しょせん媚薬の力を借りた一時のものなのだ。
 欲しいのは、一時の快楽による一時的な支配ではなく、永続的な支配であった。

「ジュディス。君たちはいつか洗濯屋のお店を出したいと語っていたね」
「……はぁ、はぁ。え? お、お店? そ、そりゃ、それが洗濯女中の夢さ」

 マルク家の洗濯女中たちの技能はかなり高い。
 腕利きの職人の夢は、いつか自分の店を構えることだ。
 ウィルは反応を探るように腰をくゆらせた。
 そのたびに、ジュディスはシーツを握りしめて、快楽の波をやり過ごす。

「たぶん、僕が伯爵になったらになるけど――君たちの夢をかなえてあげてもいい」

 それがウィルの切り札だった。
 一瞬の沈黙の後――

「え? ホント!?」

 女ががばっと身体ごと振り向きかけたので、がしっと、大きなお尻に指を食い込ませて、どうどうと止める。
 首の筋を痛めるのではないかというくらい首をねじって、ウィルの真意を探りにきている。
 ジュディスの碧い瞳は爛々と輝いていた。
 何年先になるか分からないが、現当主が没した後、ウィルが伯爵家をぐのである。
 ウィルはジュディスのなかをぬるぬると動きはじめた。
 ジュディスのなかは、支配にあらがうのではなく、支配を受け入れはじめるかのように揺蕩たゆたいはじめた。
 大きな尻で、これだけ濡れていると下半身全体が湯に浸かっているような錯覚すら感じる。

「父さんは反対するだろうけど――」

 マルク伯爵は、シャルロッテ女学院に出資するなど教育熱心なところはあったが、女の技能を生かした商売には全く関心がなかった。

「だけど、ぼくは出資をしてあげてもいいと思っているんだ」

 それは前々から温めていたアイデアではあった。

「な、なら! ぜひにお願……痛ッ……!」

 ぴしゃりと鋭い音とともに、ジュディスが情け無さそうに唇を歪める。
 躾の悪い馬とばかりに、ウィルがしたたかに、尻に平手で調教むちを入れたからだった。
 それは同時にウィルのほうにも、歯を食いしばらせた。
 そのたんに、ジュディスの割れた腹筋が引き締まり、ぬちゃっとウィルの男根が圧迫されたからである。
 ジュディスの不意な締め付けがすさまじいことをすっかり忘れていた。

「そうだね、お金を出すなら――」

 ウィルは、腰を小刻みに振りながら見るともなしに天井を見上げている。
 そんな少年を黙って、見つめるジュディスの視線を感じる。
 マルク家の洗濯女中ほど腕がよければ、お店はきっと成功するだろう。
 マルク領でお店を出しても、領民が利用してくれるだろうし、マルク家のコネを使えば近隣の中流階層、ひょっとしたら上流階層からも仕事をもらえるかもしれない。
 だが、間違いなくマルク伯爵は、洗濯業という貴族に似つかわしくない商売に出資することを良しとしないであろうことだ。

(手元に動かせるお金ができたら、黙ってやればいいか……)

 成功することが前提だが、余分なお金まで稼いでくれる。
 出資すれば伯爵家がお店のオーナーとなるのだ。
 結局、洗濯女中たちはオーナーであるウィルの支配から抜け出せない。
 幸い、洗濯女中の職場も屋敷から少し離れた場所にある。
 ゼロから土地や建物を借りて商売を立ち上げるのは大変だが、改装させて、店番でも雇って、周辺の仕事を請け負う権限を与えてやるだけだ。
 それほど儲かる商売でもないが、リスクもほとんどない。
 ジュディスは、己のなかで後ろから腰を振りながら、じっと考えごとをしている少年の言葉の続きを、自身の白い肩越しにいまかいまかと見守っている。

「出資をするなら、信頼できる人間でないと任せられない――」

 ウィルはそう言って、一際強くジュディスの急所のひとつを突き込んだ。

「ん――――ッ!」

 と、ジュディスが白い顎を上げる。

「考えてごらん。客商売なんだよ。今後、仲良く折り合いをつけましょうと、リッタに頭も下げる判断もできない人間に大事な資金を預けられると思う?」

 事実、ウィルのその言葉がよほどそれが堪えたかのように、亀のようにぷるぷると手足を折り曲げて、

「……わかりました」

 蚊の鳴くような声でそう返事をしたのだ。
 洗濯女中というハードな肉体労働を専門とする女・ジュディスは、いま身も心もウィルに膝を折ったのだ。
 いつだって資本の力に太刀打ちできないのが労働者であった。
 もっとも大事な資金を任せるもなにも現時点では金が全くないのであるが――

「ジュディス、ぼくの女になるよね? これから何でも言うこと聞くんだよ。今後は君が責任もって他の子たちも言うこと聞かせてね。お店は君たち洗濯女中みんなの夢なんだから」

 ウィルは、何でもという条件の具体例には、洗濯女中たちの人の和が挙げられていた。
 赤髪の女の後ろに張りついて、上から見下ろし突き下ろす少年は、後ろ見なのだ。
 天の時は地の利に如かず。地の利は人の和に如かず――古代の東洋の思想家の言葉である。
 ならば、これら天の時、地の利、人の和を三つとも揃えてしまった少年に一体誰が勝てようか。

「ううう……。な、なります。女になりますッ!」

 女になるというよりも、無条件降伏の調印式のようであった。

「はは。ジュディスはいい女だ」

 ウィルは、そう言って、ぬちゃぬちゃと腰の抜き差しを次第に深くしていく。

「ぼくの最高の洗濯女中だよ……」

 そう言って、ジュディスの頭を後ろからでてやった。

「ほ、本当……?」

 どうやら最高の洗濯女中という言葉は、職業人ジュディスを喜ばせたようである。

「いつも襟元を真っ白にしてくれるしね。ジュディスの仕事ぶりにはいつも満足している。そうじゃないと出店に協力するなんて言わない」
うれしい。あたい嬉しいよ!」

 ジュディスが腰を合わせようと尻を振りかけたが、もう限界だったのか膝がぶるぶる震えて、

「あんっ!」

 俯せに四肢を投げ出した。ウィルも一緒に、ジュディスのうなじに顔を埋める。
 ウィルの頭の上から額の左右に、ジュディスの結んだ二房の赤髪が垂れ下がる。
 働く女の良い匂いがする。

「分かってると思うけど、ぼく以外の男を好きになるんだったら、事前にぼくの許可を取るんだよ」

 赤髪に顔を埋め、匂いを嗅ぎながら、そんなことを呟く。
 黙って女は頷いた。シーツに顔をつっぷし、どんな表情をしているか分からない。
 ジュディスがいつも洗い上げている白さは貞淑さの象徴である。この場合は主人に対する――

「でも、ぼくより良い男じゃないと認めてあげないよ」

 ウィルがそう言うと、ジュディスは顔を少し上げて、

「わたしゃ、未亡人なんだよ。そんな良い男なんて来るもんかい」

 呆れたように困ったようにそう答える。

「先のことなんて誰にも分からない。でも結婚して子どもできたら、ジュディスのおっぱい飲ましてね」

 ウィルは、ジュディスの身体の脇からとシーツの間にもぞもぞと指を侵入させる。

「それって、ひょっとして相手が見つかった後も……」

 もぞもぞ乳房に指が這い寄る感触にくすぐったそうにしながら、ジュディスは心底呆れたような視線をウィルに向けた。

「ちょっとくらいいいじゃない」

 ウィルは平然とそう言った。
 結婚後に女中は退職するのがほとんどであるが、洗濯女中だけは屋敷に務め続けることが多い。
 屋敷の離れに仕事場をもっていることが理由かもしれない。

「ぼくの洗濯女中なんだから、少々の汚れ役を引き受けてもらって当然だよ。その代わり、きみたちはクビになることはない。これはみなに内緒だけどね」

 これがジュディスを解雇しなかった理由である。
 どんな組織にも汚れ役は必要だ。それはトリスの帝王学である。
 ウィルはジュディスの背に寝そべったまま、傍らに転がっていた白い下着をつまみ上げ、それで自身の顔の汗をぬぐった。
 マルク家において、白とは貞淑さを表わす色である。それは主人に対する貞淑さなのだ。
 白が映えるからこそ、忠誠を表わす黒も映えるのだ。それもこれも、腕ききの洗濯女中がいるからこそである。

「それに――」

 ウィルは、女の瞳が、自身に合わせられるのを待った。

「ジュディスが結婚していなくなったとき、とても寂しかったんだよ」

 今度は、巧みにジュディスの心に侵入しはじめる。ついにウィルが緩急を使い始めた。
 不安が顔を覗かせはじめたジュディスの心を掻き回し、再び自身が望む形へと整えていく。
 ウィルは良い匂いのするジュディスの髪に顔を埋め、そのまま腰を振る。
 体重を完全にジュディスに預けてしまえるので楽な体位だった。
 ジュディスのなかに深く突き入れることはできないが、ウィルはジュディスの入り口付近の弱い場所がどこか、もう把握していた。

「ジュディスの相手が見つかって、ジュディスのお店の経営が安定したら、一人くらいぼくの子を産んでもらうのもいいかもね」
「え、そ、それは……」

 複雑な条件が絡み合って、ジュディスは答えを躊躇った。そこまで言えば、ジュディスは考えてしまうだろう。
 ウィルは、女の弱い部分だけを執拗に責め続ける。

「あ、そろそろぼくもイキそう」

 ようやくウィルは自身の下半身に溜まったものを解放しようとしていた。
 ここまでジュディスは一体、何回達したことか。

「……う、うん。なら、外にお願い」

 さすがは結婚生活も営んだことのある未亡人だ。言うべきことが分かっている。
 だが、ウィルはそれを無視して、

「ジュディス、中に出すぞ!」

 そう傲然と叫んだのだ。

「え?……だ、だめ。ウィル坊ちゃん。そんなことをしたら、こ、子どもができて……」
「うるさい! ジュディスがいつ妊娠するかは、ジュディスが決めることじゃない! ぼくが決めることだ!」

 にゅるっ、にゅうっと、ウィルのモノが白い尻の谷間を出入りする。

「む、無茶苦茶だよ。そんなの! だ、だめ、ウィル坊ちゃん……」

 赤毛の女は両手でシーツを掴んで堪える。

「これからは、ご主人様と呼ぶんだよ……」

 少年は俯せになった女のぶるぶると震える両手の上に、自身の手を重ねる。
 ウィルは背筋を反らして、ぎゅっと目を瞑り――

「だ、だめッ…………!」
「うっ。いくッ……!」

 少年と女は同時に達した――
 少年の白く小さな尻が震え、汗のしたたる、女の厚く白い肉たぶの隙間に、少年の男根からびゅっびゅっと精が放たれている。
 絶頂に至る女の膣内は、少年の精をより深く受け入れるように、生理的な脈動を繰り返す。
 こうして散々にいたぶった女の膣内にようやく精が解き放たれたのである。


◇ 屋敷の女性一覧 ◇
女中長   1人 (トリス◎)
蒸留室女中 2人 (リサ◎・サリ◎)
洗濯女中  6人 (第一:ジュディス◎)
         (第二:イグチナ・ブリタニー△・シャーミア)
         (第三:アーニー・レミア)
料理人   1人 (リッタ◎)
調理女中  3人 (ジューチカ)
皿洗い女中 2人 (ニーナ・ルノア)
酪農女中  3人
客間女中  1人 (フローラ△)
家政女中 12人
雑役女中  8人
側付き女中 2人 (ソフィア△・マイヤ◎)
    計41人
お手つき  6人 (済み◎、途中△)




第二十一話「赤毛の洗濯女中の夜伽」へのコメント:
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