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第十五話「女中たちの伽(上)」

 ウィルが夕食をとって自室に戻ると、ちょうどフローラがベッドから起き出してくるところだった。
 女は金髪の髪をかきあげて、ぼうっと目をこすっている。
 それを見て、寝起きの女を見るのははじめてだなと思う。だるい女の汗の匂いがした。

「どう。フローラ。体調は戻った?」
「あれ。ウィルっちゃま。あっ!」

 自分の布団と勘違いしていたのだろう。慌ててきょろきょろと周囲を見回している。

「え、ええ。おかげさまで嘘みたいに体がらくに――」

 そこで、はっと自分の肩を抱きしめ、おびえるような顔でウィルを見上げた。
 気がついたら、帽子や手袋はおろか、エプロン、体を締め付けるコルセットベルト、靴下、スカートのなかのパニエまでが脱がされているのだから、びっくりして当たり前だろう。

「リネン類はトリスが洗濯ランドリー女中メイドに渡したみたいだよ」

 にんごとのようにそう言うと、フローラは見るからに、ほっと肩の力を抜いた。

「あ、あの。決して、ウィル坊ちゃんを疑ったわけではないのですが。わたし、結婚までは純潔な身体でいたいものでして、つい……」

 金色の眉尻を下げて、フローラはしゅんと申し訳なさそうな表情を向けた。

「心配しなくても、フローラは処女バージンのままだよ」

 ウィルが冗談めかして処女と口にしたので、

「もう、年上の女性をからかって」

 そう両手をあてて頬をほんのりあかく染めている。
 もっともウィルにとってはそれ以外に言いようがなかったのであるが――
 フローラが眠っている間に唇を吸い、乳房をみ、フローラの女性器のかたちから、処女膜の形状まで観察したが、はたしてそれは純潔な身体が守られているといえるだろうか。

「分かるよ。そんなことになったら家族にめんぼくが立たないものね。フローラはけいけんな家庭の生まれだから無理もないよ」
「そうなんです!」

 フローラは両手でぐっと握り拳を作った。
 ウィルはゆっくりとフローラの横に腰をかけ、その金髪の頭をでてやる。
 フローラは黙って撫でられていた。
 体を締めつけるものがないせいか警戒心が薄くなっているのかもしれない。
 たしかに、このような起き抜けの姿をさらすのは、気心知れた相部屋の女中だけかもしれない。

(そういや、フローラの同部屋って誰かな?)

 それがふと気になった。
 ウィルも、住み込みで働いている女中の部屋に押し入ろうとは思わない。

「結婚するまで清い関係でって、わたしの親はそればっかりを言うんですよ。恋人を作ることも駄目だって」
「キスくらいの関係ならいいんじゃない?」

 ウィルはわりと切実にそう言った。
 さきほどフローラの唇を奪ったばかりであった。

「わたしもそう思うんですけどね。せっかくよいお屋敷の客間パーラー女中メイドになれて、素敵な人に出逢うチャンスもあるというのに」

 客間女中は女中職の花形というイメージが強い。
 裏方にまわることがほとんどな女中のなかで、客間女中だけが例外的に大っぴらに屋敷の表側を歩くことが許されているせいかもしれない。
 マルク家の屋敷の表側を訪ねる客人は、上流階層の貴族たちや、中流階層の大金持ちが多い。あとはウィルの寄宿舎時代の学友だろうか。
 いずれにしてもフローラは、条件の良い男性にめられるチャンスに恵まれていた。

侍女レディースメイドにしていただけるなら、もっと素敵な人に巡り会えるチャンスも増えると思うんです」

 そう言って、フローラは可愛かわいらしく唇に指を添えた。
 この金髪の女中は侍女になることを願っているが、本気でウィルに強請っているわけではない。

「はは……。うちはいま女性の主人が一人もいないものだからね」
「そうなんですよね。ウィル坊ちゃんが結婚したときに奥様にご推薦いただけたら……」

 ウィルは笑いながら、フローラの肩をたたき、それも難しいかもしれないなと思った。
 侍女は、女中と違い女中服を着ることを求められていない。
 女主人のお下がりを着ることが多く、そのため間違えられ、女主人よりも先に挨拶をしてしまうといった笑い話も多い。
 フローラは少々美人過ぎるのだ。
 よほどの美貌の女主人でない限り、釣り合いが取れない。側には置きたがらないだろうなと思った。
 ウィルは回したフローラの肩から手を離さなかった。

「……え……?」

 そのままフローラの目をじっと見つめると、フローラはたんにどうしていいか分からずに固まった。
 唇を近づけたときに、フローラの体が怯えで縮こまるのを手の平に感じた。

「唇を吸われるときは目を閉じなさい」

 ウィルはえて命令口調で言うと、フローラは条件反射のように金色のまつを伏せた。
 フローラは、なんで自分が目をとじているのか困惑しているように見えた。
 桃色のやわらかい――血色を取り戻して健康的な色気のある唇を割る。
 意識のない唇もよかったが、意識のある女の唇はそれ以上に良かった。
 腕のなかでフローラが震える。
 フローラにとっては初めてだろうが、ウィルにとっては何回目か分からないくらいだ。
 ウィルは練習の成果を発揮して、ねっとりと見事な口づけをした。
 唇をつけたまま、両手をフローラの背中にまわして、まだ緊張しているフローラの肩と頭を撫でてやると次第に柔らかくなってきた。
 ちゅっと唇を離すと、抱きしめて耳元でささやいた。

「ぼくはフローラのことを大事に思っているんだ」

 ウィルの頭の隣で金髪が縦に揺れた。
 フローラの両手がウィルの背中に回された。

「フローラが貞操を大事にしていることは知っている。安心していいよ?」

 ウィルはできるだけ優しいこわでそう言うと、フローラの体から力が抜けた。
 もう一度、キスをした。
 今度はお互いに舌を絡ませた。合わさった唇から息がれる。
 ウィルの手つきは手慣れていた。両手で胸をまさぐったがフローラは黙って体をゆだねるだけだった。
 眠っているあいだに、さんざん体をまさぐられてうずいていたのか、それとも生理中で下半身が熱くなっていたからなのか、フローラは背筋を軽く震わせた。
 ウィルは体を離して、興奮を静めるかのようにフローラに背中を向けた。
 女を抱こうにも、まだ準備が整っていない。それに今晩の相手はフローラではなかった。
 フローラは急に体温が離されて寂しかったのか、ウィルの背中に抱きついてきた。
 そこには、最近女を覚えたばかりの少年にいいように翻弄される結婚適齢期の女性の姿があった。

(トリスの言っていたとおり、フローラってちょろいなあ。騙されやすいのかも……)

 ウィルの目から見ても男に対する免疫が絶望的に不足している。
 たとえば、ギュンガスのような男にかかれば、ひとたまりもないだろう。
 もっとも下級貴族出身のフローラに、上流階層好みスノビズムのギュンガスは興味を示さないであろうが。

(どうせ、ほかの男に騙されてひどい目に合うくらいなら、ぼくが優しくってもいいよね……)

 そう手前勝手なことを考える。
 ウィルは、もうフローラを手折ることを前提にしていた。
 あの柔らかい唇で自身のかんを吸わせたらどのくらい気持ちよいだろうか。
 自分の股間のこわばりをすっぽりと包み込んだトリスの赤い唇のことを思い出していた。
 トリスと違って、一から仕込まなければならないだろう。
 背中から回されてきたフローラの白い手を撫でながらそんなことを考えていた。
 トリスにそうしてもらったように、この白い指で自分に奉仕させるのである。
 そう思うとぞくぞくとしてきた。

「フローラ。病み上がりなんだから、今日はもう部屋に下がりなさい」

 ウィルはフローラにそう告げた。
 このまま抱きつかれていると、我慢できなくなりそうだった。

「あっ、はい……」

 フローラは名残惜しそうにベッドから立ち上がると、服を直しはじめた。
 ウィルはフローラの右肩を抱いて、部屋の扉まで送ってやることにした。
 ウエストを締め付けるコルセットベルトと、スカートに膨らみをもたせるパニエを外しているので、フローラの背中からウエストそしてヒップまでが生のままのれいなラインを描いていた。
 背骨からお尻の谷間のラインに指をつうっとすべらすと、「あんっ」とぞくぞくと身を震わせ、ウィルに身を預けてきた。

「せっかくこんなに綺麗なラインをしているのだから、フローラはコルセットもパニエもつける必要ないんだよ」

 ウィルは、服のごわごわした感触が嫌いであった。

「か、考えておきます」

 明らかにうれしそうにフローラは返事した。
 フローラを送り出そうと扉を開けようとしたとき、先にこんこんとノックをされてしまった。
 こちらから扉を開けると、そこには長身のトリスに加えて、肩の後ろに小柄なソフィアとマイヤの姿がちらりと見えたのだ。
 女どうし鉢合わせになるのはどこか気まずいものがある。
 トリスはいつもと何ら変わらなかったが、二人の装いがいつもと変わっているのを見て、ウィルがおもわず息を飲む。
 薄く化粧をして髪を整えていたからだ。

「夜分、失礼します」

 トリスが言った。手には何やら布を詰めた袋のようなものが下げられていた。

「し、失礼します」

 フローラは気恥ずかしくなったのか逃げるように、ぎくしゃくと部屋から退出した。
   ‡

「トリス、それは?」
「シーツを替えます。しばしお待ちを」

 トリスは、フローラの匂いの染みこんだシーツを、新しいものへと取り替えにかかる。
 ウィルのほうはそのままでも良かったが、女の側の気分の問題があるだろう。

「よう。スケコマシ。よろしく頼むぜ」

 マイヤは部屋に入って軽口を叩くと、「よっと」と、トリスがシーツを替えたばかりのベッドの真ん中にあおけに寝転がった。
 エプロンはつけていない。黒い女中のお仕着せのすそが少しだけ捲れ、ペチコートに包まれた白い靴下があらわになる。
 靴はもうとっくに脱ぎ捨てられていた。
 マイヤの目には濃いアイシャドーが塗られていて、見た目に感じる年齢を引き上げている。
 いかにも若くして酒場で働くような女という風に、育ちの悪さとみだらさを感じさせる化粧だったが、不思議とそれがマイヤの魅力を引き立てた。
 頬に張り付いた誘うような悪戯いたずらっぽいほほみは変わらない。
 なんだかそそるものがあった。
 マイヤの赤い髪は、夕方に見たとおり片側を三つ編みにして垂らしている。
 髪もいつものように跳ねておらず、毛先が整えられている。
 マイヤは、自身の編まれた短い赤い髪の束を掴むと、

「髪は解いたほうがいいか?」そういてきた。
「そのままでいいよ。似合ってるから」
「うし! へへへ。照れるなァ。なんでも聞いてやるからな。遠慮せずに言えよ」
「うん」

 その寝転がったマイヤの右横に、ウィルが腰を落ち着けた。
 さらに、トリスに「さあ」っと肩を押されたソフィアが、ウィルの右隣に貴婦人のようにそっと腰掛けた。
 ソフィアは、銀の三つ編みを王冠のように頭に巻き付けた――クラウン・ブレイドの髪型をしていた。髪を上げると随分と雰囲気が変わる。
 いっそこうごうしい感じすらした。
 ぎんろうぞくということは、亡国の王族のような存在と見なしてもいいかもしれない。――少し村が小さすぎるきらいはあるが。

「ふ、二人ともすごく綺麗だ……」

 ウィルの声は、感嘆というよりはぼうぜんとしたトーンで彩られていた。
 左後ろには、自由で奔放な赤毛の少女が寝そべっていて、右手には、王族のような気品をもつ少女が座っているのだ。

「おお。オレもか。ソフィアと並ぶと見劣りして相手にされないのが心配だったんだ。今日から全部おまえのもんだからな。好きにしていいんだぞ」

 マイヤは起き上がると、あぐらをかいて、バンバンとウィルの背中を叩いた。
 一方のソフィアがぷいっと横を向き、うなじを少し赤く染めていた。
 そして、ウィルのまえに置かれた足置き台オットマンの上に優雅にトリスが腰掛けた。

「さあ。今夜のメインディッシュは二人ですよ。わたしはお呼びがかかるまで、ここで控えさせていただきます」
「う、うん」

 トリスは背が高いので、いつも見上げているが、こうして同じ目線で見つめると、違う女をみているようでドキドキする。黒い髪がぴっちりと頭の左右でセットされている。鼻筋はすうっと通っている。その下には完成された大人の女のたいが繋がっているのだ。
 左右のマイヤとソフィアの肩に手を回す。
 左の赤髪と右の銀髪が同時にぴくりと震える。
 まず左側のマイヤのほうを向き、えいやっとその唇を吸う。
 ぶちゅっと唇と唇どうしが触れあう。
 思えばこれがマイヤとの初せっぷんな気がする。
 記憶のあいまいな幼いときのはノーカウントとして。
 マイヤは伏せられた赤い睫毛を震わせて目を瞑っていた。
 表情をじっくり観察するために、舌を長く伸ばしてマイヤの唇の輪っかをめまわす。
 このあいだもソフィアの右肩にはウィルの右手がかかったままであった。
 唇を離すと短い唾液の橋が架かる。

「えへへ」

 マイヤは夢見心地で微笑み、唇を舌で舐めた。
 次は、三つ編みの王冠クラウン・ブレイドのソフィアに唇を吸い寄せる。
 ソフィアの腔内は、マイヤに比べて熱っぽく滑った感じがした。
 ずっと緊張して唾液を飲み込むのを忘れていたのか、舌を差し入れるとぴちゃぴちゃと音がした。
 そしてソフィアの白い喉が鳴って、男女の混ざり合った唾液を飲み込んだ。
 初めて接吻を交わしたとき、トリスに『唾液は頂きなさいね』と言われたことを覚えていたのかもしれない。
 唇を離すと、ソフィアは肩を上下に揺らしながら、戸惑うようにそっと自らの唇に指を当てた。
 ウィルは、肩から下に手をすべらせて、ふたりの胸をなぞると、左手は柔らかいほのかな膨らみがあり、右手は無乳に近かった。
 ふと、おもわず正面トリスのほうを見つめた。
 そこには二人とは違って、そこにあるだけで存在感を放つ豊満な胸の膨らみがあった。
 トリスは、二人の少女の身体をまさぐるウィルのほうを、じいっと見つめている。
 季節は夏だが、今日は少し肌寒い冷えた夜だった。あそこに挟めば温かいだろうなとウィルは思った。

「おみ足を失礼します」

 トリスはそう呟くと、ウィルの靴を脱がしはじめた。
 それと同時に今度は自身の襟元を緩めると、黒いレースのブラジャーとその谷間が顔をのぞかせた。
 すぐに靴下まで脱がされる。

「あッ――!」

 とあげたのはウィルの声である。
 ウィルの足の指が、トリスの唇に包まれたのだ。

(そ、そんなところまで舐めるなんて……)

 足の指を、一本一本、股の間まで舐めていく。

「今度、それ、オレもやってやるよ」

 赤毛の少女の唇がそっとウィルに合わせられる。

「んっ。そんなに強く掴まないでくれッ!」

 乳首をウィルの両手で探り当てられたソフィアがそう抗議の悲鳴をあげる。
 湿ったウィルの足先が、今度は温かく柔らかい乳房の感覚に包まれた。トリスの前の襟にすきに足先が差し込まれていた。
 トリスは、いまやウィルの足置き台オットマンだった。


「……全員、服を脱いで」

 ウィルの言葉に三人の女が返答を返す。

「喜んで――」
「あいよ」
「わ、分かった」

 いま少女二人が来ている黒い女中服は、首の後ろにボタンが二つ付いていて、外すと首から上に抜くことができる。
 左右の女がもぞもぞと亀のように首を引っ込めて、女中服を上に脱ぐと、足先から靴下と、ガーターベルト、ついでショーツが見える。
 トリスは主人に見せつけるようにゆっくりと黒いブラウスのボタンを外していた。
 トリスだけが黒で左右の二人は白だった。
 トリスは細かい刺繍の入った黒いブラジャーをつけていて、左右のふたりは、薄い胸もとを蝶のような刺繍でおおわれた白いレースのスリップをつけていた。
 肩紐を外すだけでそのまま下に脱がせられそうだった。

「お、オレ、なんか恥ずかしい……。こ、こんな高そうな下着履いているの初めてだし………」

 意外にも羞恥心を露わにしたのはマイヤだった。

「似合っているよ」
「ほ、本当か」
「うん」

 男を誘うようにもとに濃いめのアイシャドーをした女の服を剥ぐと、意外に清純な下着をつけていたのでギャップが面白かった。
 ソフィアのほうはそのままのイメージである。脱いでもなんとなく神々しい。じっと見つめると、僅かに顔を右側にそむけ、頬に赤みがさしたので何か安心する。
 全くの無反応なら、王族の着替えを手伝う下男のような気分になったことであろう。

「二人とも後ろを向いて四つん這いになって」

 ウィルが命令すると、二人は素直に従った。
 壮観である。
 同世代の少女二人が、自分の言葉に従って犬のように四つん這いになって、下着に包まれた尻を少年の目の前に晒しているのである。
 まず二人の付きだした尻を同時に撫でると、びくりとした少女たちの戸惑いが手の平に伝わってきた。
 それから、ベッドの二人の間に膝立ちになって、左右から二人の胸を触り比べた。
 ソフィアの胸は、立った姿勢だとほとんど膨らみを感じないが、四つん這いになると、揉めないこともないことに気がついた。
 マイヤのほうは、その姿勢だともう結構揉みでがある。

「トリス、ぼくの服を脱がせろ」

 ウィルは、前を向いたまま、後ろのトリスに命令をした。
 そしてその後、思わず振り返って「こういうのって駄目?」と確認を取ってしまう。
 このあたり、まだ少年は年相応であった。

「いいえ。だんだんと女中メイドの使いかたがお上手になられています。女中を自分の快楽に奉仕させてください。そして女中にとっても、それが当然と感じられるようにおしつけくださいませ」

 要領よく脱がされ、気がついたら、パンツ一枚の格好になっていた。
 少し迷ったすえに、最後の一枚もトリスに脱がさせる。一言も命令することなく、右足を上げ、ついで左足を上げたときに、ウィルは素っ裸で男根を立てていた。
 左手の少女の尻にぼっした男根をすりつける。
 その体勢で、胸の青い芯を潰さないように揉むとマイヤは、甘い吐息を漏らしはじめた。
 そのまま下着のうえに射精してもいいくらい気持ちがいい。
 ソフィアのほうは、胸を触られようが尻を触られようが、なるべく反応を見せまいと銀色の眉をひそめていたが、後ろからウィルのちょうで股間をすりつけられると耐えかねたように身を震わせた。
 四つん這いの体勢のまま、ふたりのレースのスリップを捲り上げ、頭から引き抜く。
 ソフィアは健康的な白い背中をしており、マイヤのほうは色素がないのかと思うくらい真っ白な背中だった。
 淡い桃の乳首がそれぞれ見えた。それぞれ後ろから指の腹で擦っていく。
 どちらもびくっびくっと震える背中が面白い。
 マイヤのほうの背筋を舐め上げると、少女は一気に荒い呼吸に変わった。
 ソフィアに同じことをすると、ぷるぷると小刻みに体を震わせた。
 あまりに不慣れで感覚をどう受け止めてよいか分からないかのようであった。

「毎日、胸をお触りになられるのがよいかと思います。そうするとご主人さまの手のひらのなかで乳房が成長していく様子が実感できますから。そして女のほうも成長が促され、乳房がやわらかく大きくなります。女も自分の乳房を大きくしてもらったのは、ご主人さまだという自覚が生まれます」

 ソフィアは、退路をふさがれたのを悟った野性の獣のように瞳を見開いていた。
 一方のマイヤは黒茶色の睫毛を伏せて、それもいいかなというような、まんざらでもない視線でウィルを見つめた。
 四つん這いのマイヤを後ろから覗くとレースの下着の中央は湿っていた。
 ショーツを膝まで下に脱がす。
 マイヤの秘所が露わになった。トリスやフローラのように成熟した女性器と違って、チューリップのつぼみのような趣がある。

「あっ」

 ウィルの鼻息がかかったときにマイヤは短い悲鳴をもらした。
 そのあとに蜜がとろみを増したので嬌声かもしれない。
 入り口は三つの穴が空いた複雑な構造をしていた。
 フローラの縦に割れた形とは違って、三つの小さな仕切り紐が真ん中の処女膜に繋がっている。
 そこに舌先をすぼめて、それぞれの区切られた穴の周囲をつるっと舐めると、マイヤはがくがくと膝をふるわせ、ベッドの上につっぷした。
 次いで、ソフィアのお尻の後ろからショーツのひもに手をかけたとき、硬い声が響く。

「ウィル。分かっていると思うが、――わたしの純潔を破ったら、殺すからな」

 お尻を突き出した格好で、女性器を覆う布の下からソフィアがこちらをにらみ上げていた。
 この少女はその気になれば赤子のようにウィルをひねり殺す力を持っている。

「もちろん、分かっているよ」
「おいおい! ウィルを殺すなんて言うなよ。そんなことをしたらオレがおまえを噛み殺すぞ」

 ショーツを膝まで下ろした格好で、四つん這いの尻をウィルに晒したマイヤが、躾の良い番犬のようにソフィアに唸り声を上げた。
 そうすると、ソフィアはひどく困った声で「わたしは他に選択肢がない」と答えた。

「仕方ありませんねえ。そういう約束ですから」

 後ろでトリスがそう溜息をついた。
 もしかすると、トリスはソフィアを見張るために来たのかもしれない。

「ソフィア。仰向けになって、こちらに股を開いた姿勢で、ショーツを下ろして」
「なっ」
「親切で言っているんだ。後ろからだと、本当にぼくが処女膜をやぶらないかどうか監視できないだろ?」

 なおも、ソフィアはちゅうちょしているようだった。
 さきほども十分すぎるほど恥ずかしい格好をしていたが、男に正面から向き合って、自分の股を広げるには抵抗があるらしかった。

「止めようと思えば、ぼくが処女を奪われる前でないといけないんだ。処女膜が突き抜かれると、君は神子みことしての力を失うよ。れられた後だと復讐する手段を失うぞ」

 トリスの「ああ」という声は溜息に彩られていた。
 きっと額に手を当てていることだろう。
 声には、なんで馬鹿正直に教えてしまうのかという感情がありありだった。

「わ、わかった」

 ソフィアは仰向けに横たわる。
 ソフィアの三つ編みの王冠を両手で挟むと、マイヤのあそこを吸った直後の唇で、少女の可憐な唇を吸った。
 そのまま舌を筆のように伸ばして顎から首へと舐め下ろしていく。
 胸の二つの突起を経由したときに、ソフィアは悩ましげに銀色の眉を寄せた。
 少女の二つの小さな胸の蕾は、つつましくだがはっきりと尖っていた。
 やがてウィルは、ソフィアの顔をまたぐようにして四つん這いになって、少女の下腹部に顔面を埋めた。

「なんだってこんな体勢で……」

 頭上を見上げたソフィアが困惑の声をあげる。
 三つ編みの王冠の直上には、びくびくと起立して震えるウィルの男根が見えるはずだ。
 ウィルのほうはというと、少女の布地に鼻を当てて、すうっと息を吸い込んだ。

(澄んだ甘い匂いがする……)

 羞恥によるものなのか「あ、あ……」とソフィアはくぐもった声をあげた。
 白いレースの下着を膝元まで降ろすと、三角形の頂点の頂とその斜辺のあたりに、花冠を包む銀色のがくのように毛が生えていた。
 少女の花弁はを思わせた。
 トリスのあそこが妖艶に咲き誇る黒薔薇であるなら、ソフィアのものはあさつゆに濡れた白薔薇の蕾だろう。
 合わせ目がほんのりと桃色に色づいている。
 そこから先は色素が沈着しないのか、構造は違えど、どちらも蕾のなかの色はそう変わらないように思えた。
 ウィルの上半身の体重を、ソフィアは下半身で受け止める格好になる。
 まずウィルは、ソフィアの性器の周辺の土手の部分を舐めた。
 そのたびに、足がびくびくと震える。
 ショーツが破れてしまいそうだったので、トリスに目で合図をすると、足首から引き抜かれた。
 少女は白いガーターベルトだけを腰回りにひっかけた格好となった。
 土手の内側のよりぬかるんだ部分に舌をすすませる。ソフィアの肢体がもだえするのを胸で受け止めた。
 少女という生き物は、幼女の時代に全身に散らばっていた性感帯が成熟していくごとに、次第に生殖器付近に集まってくるという。
 その少女の土手の左右にそって、土手の合流地点の敏感なにくを舌でつついたその瞬間――
 突然、ソフィアの白い腹が、ウィルの胸を打ちつけた。

「ぶっ」

 ウィルの呼吸が止まった。

(わ、わ……!)

 そして一瞬の浮遊感。
 視点が切り替わる。
 少女がちょっと腹筋を打ち付けただけで、ウィルの身体全体が一瞬浮いたのだ。
 高さ自体はそれほどでもないが、空中を泳いだ格好となる。
 ソフィアの肢体がクッションとなる。ソフィアの顔面にウィルの男性器がのしかかった。

「……なに。いまの、すっげえ跳ねた」

 四つん這いのままのマイヤが横をむいて目を丸くしていた。
 まるで北海のオヒョウ漁師にでもなった気分である。
 人の身長よりも大きいヒラメの化け物のような魚――オヒョウのヒレ打ちをくらうと容易に内臓を破裂させるという。
 胸で受けていたからいいものの、頭に食らっていたら、首の骨を折っていたかもしれない。
 本気で洒落になっていない。

「すまない。自分を制御できなかった……」

 声音には恥じ入るような感情が込められていた。
 ウィルは、どうしてソフィアのこんな細い体からそのような怪力が生まれるのだと、しみじみ不思議に思った。
 ウィルの背中をさする手の平の感覚があった。
 トリスがウィルの背骨が折れていないか、確認しているようであった。
 頭のうえで、ほっとした溜息が零れた。

(この体勢だと何をされているか分からないから、不安に感じるのかもしれない)

 ウィルは、少女の背中に枕を何枚か差し入れ、少女自身の股ぐらを覗き込むようなそんな姿勢を取らせた。
 少年は止まらない。あきれるような視線を背中に受けながら、

「舌で舐めるよ」

 少女の両の足首を掴み、それを左右に開く。
 今度はシックスナインの体勢ではないので、自分の花弁がよく見えるはずだ。

「う……」

 よほど恥ずかしいのかソフィアは息をまらせた。
 ウィルが、土手の内側を舐め上げると、「う……あっあ……」すぐに息も絶え絶えになった。
 起伏の小さい畝を越えた後、だんだんと高度が低くなっているなだらかな湿地帯が続き、そこの中央にぽつんと小さな穴が空いていた。
 小指の先が入るかは入らないかくらいの大きさだ。
 フローラやマイヤのように、仕切りがついている形とは違っていて真円であった。
 穴は周囲の肉に引っ張られて、わずかにひくひくと湿っていた。そこには血管の通った筋も見えた。

「ひゃ!」

 舌先で舐めてみたが、どこまでがちつこうでどこからが処女膜なのか分かりにくかった。
 いかにも少女の粘膜という感じで、みずみずしいかすかなしょっぱさを感じたが、ほとんど無味であった。
 しばらく円の縁をなぞるように注意深くなめていると、すっとソフィアの体から力が抜けて一気に緊張した。
 さっきのがまた来るかと、ウィルは慌てて頭を離した。
 あんな調子で腰を跳ね上げられたら、今度こそ頸の骨を折りかねない。
 ――しかし突然、

「貴様ッ!」

 ソフィアは絞り出すような声で急にそう叫んだのだ。

(な、なに!? どうしたの……?)

 身に覚えのないウィルは戸惑うしかない。
 むっくりとソフィアは起き上がると、

「よくも約束をやぶったな!」

 爛々とソフィアの琥珀色の瞳が輝く。
 先ほどまで寝転がっていたこともあり、銀髪は怒り狂った獣のように逆立っている。
 少女は、裸のまま膝立ちになって、ウィルを睨みつけたのだ――




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